カテゴリー「地震・火山」の52件の記事

2025.02.12

富士山の標高が3775.51mから5cm高い3775.56mに

国土地理院が、昨年夏に富士山に設置している電子基準点と三角点の測量作業を行ったそうです。国土地理院がプレスリリースしています。

その結果、富士山の標高が3775.51mから5cm高い3775.56mになったそうです。

ただ、一般的な標高はm単位で表されるため、馴染の深い3376mに変わりはありません。

これが1m単位で変わったら3376mが定着しているので、結構な話題になるんだろう。

引用文衛星測位を基盤とする三角点「富士山」の新しい標高~基準点の標高成果の改定に向けた取組~
国土地理院は、全国の基準点の標高成果について、令和7年4月1日に改定します。今回、その改定に向けた準備の一環として、富士山において測量作業を実施し、その結果、富士山の三角点の標高成果が現在より5cm高い値となります。
国土地理院では、国土地理院が管理する電子基準点、三角点、水準点等の基準点の標高成果について、令和7年4月1日に衛星測位を基盤とする最新の値に改定します。これにより、長年の地殻変動で累積した標高成果のズレを解消するとともに、衛星測位を使用することで水準測量による標高取得よりも迅速に標高の取得等が可能になります。
令和6年7月25日に、標高成果の改定に向けた準備の一環として富士山に設置している電子基準点と三角点の測量作業を実施しました。測量作業では、電子基準点と三角点の高低差を水準測量で測定し、衛星測位を基盤とする電子基準点の最新の標高成果を基に、三角点の新しい標高成果を算出しました。三角点の新しい標高成果は、現在の標高成果より5cm高い結果となります。
  二等三角点「富士山」標高成果 3775.56m (現在の標高成果 3775.51m)
  ※新しい標高成果は、まだ測量には使用できません。
なお、富士山の最高地点は、今回測量した三角点より高いところにありますが、標高は「3776m」のままで変更はありません。また、二等三角点「富士山」以外の基準点の標高成果は、令和7年4月1日に公開を予定しており、令和7年3月初旬には標高体系の移行に関する詳細をお知らせいたします。
2024.12.24/国土地理院

| | コメント (0)

2025.01.21

南海トラフ地震の真実/小沢慧一

amazon のアソシエイトとして、コン テナ・ガーデニングは適格販売により収入を得ています。


先日、地震調査研究推進本部から南海トラフ地震の30年発生確率値(2025.1.1時点)が、80%程度と発表がありました。

それで、思い出したのが中日新聞社(東京新聞)の記者 小沢慧一さんのルポルタージュ「南海トラフ地震の真実」です。

この本では、地震調査研究本部が発表する南海トラフ地震の発生確率は、同本部が発表する他の海溝型地震と算出方法が違い、言わば水増しされたものだということが書かれています。

本部が発表する「長期評価による地震発生確率値」は、活断層で発生する地震と海溝型地震(プレート境界型)で発表され毎年更新されています。

海溝型地震は、千島海溝(超巨大地震、十勝沖、根室沖)、日本海溝(超巨大地震、青森県東方沖及び岩手県沖北部、宮城県陸寄りの地震)、相模トラフ、日本海東縁部(北海道北西方沖、同西方沖、同南西沖)、南海トラフ、日本海東縁部(青森県西方沖、山形県沖、新潟県北部沖)で確率を算出しています。

この算出には、過去の地震の発生間隔を平均して割り出す「単純平均モデル」が使われていますが、南海トラフ地震だけは「時間予測モデル」という別の計算式が使われています。

そして、南海トラフ地震の30年確率は、時間予測モデルで70~80%(2013年)、他の海溝型地震と同じ単純平均モデルで20%と大きな差が出るというものです。

本部の地震調査委員会では、南海トラフ地震にのみ期間予測モデルを使うことに地震学者からは科学的でないとの意見があったようです。一方、行政・防災の担当者からは確立を大幅に引き下げた場合、行政が進める地震対策や危機意識に影響が出るという意見が出され、議論の結果、時間予測モデルが採用されることになりました。

この本では、議論の経過や時間予測モデルのデータのとり方に対する問題点などが詳細な取材により書かれています。

さて、南海トラフ地震の震源域の東のはずれに住む僕はどう受け止めたらいいのだろう?

結局、確率が0%でない限り明日地震が起きてもおかしくないので、日々の防災対策を怠るなということですね。

参照:時間予測モデル/」地震調査研究推進本部

関連エントリー:南海トラフ地震の30年発生確率が70~80%から80%程度に引き上げられたけれど 2025.01.20

本南海トラフ地震の真実
小沢慧一(Ozawa Keiichi)
東京新聞(中日新聞東京本社) /2023

書籍の紹介一覧 B0168

-----
amazon アソシエイト南海トラフ地震の真実/小沢慧一

| | コメント (0)

2025.01.20

南海トラフ地震の30年発生確率が70~80%から80%程度に引き上げられたけれど

地震調査研究推進本部地震調査委員会が、南海トラフ海溝型地震の2025年1月1日時点の30年発生確率値を80%程度と発表しました。

これは、前年の70~80%に比べ引き上げられています。ただ、これは前年74~81%だったものが75~82%と平均発生間隔88.2年の経過率が1年で0.02%上がり0.90%になったためです。

海溝型地震の発生確率値更新前後の比較(算定基準日 2025.1.1)
250120
資料:長期評価による地震発生確率値の更新について 2025.01.01/地震調査研究推進本部 地震調査委員会 から抜粋

一方、10年確率の30%程度、20年確率の60%程度は前年と変わっていません。

南海トラフ地震の発生確率については、新聞記者の小沢慧一さんのルポルタージュ「南海トラフ地震の真実」を読むと別の計算の方法では20%としています。

発生確率の計算方法はいくつかあるのでしょうが、起こることは確実と言われているので、防災対策は必須です。

参照:長期評価による地震発生確率値の更新について 2025.01.01/地震調査研究推進本部 地震調査委員会

| | コメント (0)

2025.01.16

令和6年能登半島地震はこれまでに経験したことのない事象 - 地震調査委員長見解

「 令和6年能登半島地震」(2024年1月1日に石川県能登地方で発生したM7.6の地震及び2020年12月以降の一連の地震活動)について、地震調査研究推進本部の平田 直地震調査委員会長が、「これまでに経験したことのない事象」と見解を出しています。

能登半島北東南西に延びる150㎞程度の範囲で、約2年間の間にM6以上の地震が複数回起きています。

250116

日本では、陸・沿岸地域の地震活動でこのような現象は観察されたことがなく経験したことのない事象で、今後の活動を見通すことは難しいという見解です。

能登半島沖は、プレート境界域から離れているけれど活断層が多い地域です。地震のメカニズムを解析するのが難しいのかな。

引用文「令和6年能登半島地震」に関する「地震調査委員長見解」(抜粋)
石川県能登地方では、2020年12月から地震活動が活発になっており、活動当初は比較的規模の小さな地震が継続する中、2022年6月にM5.4の地震(最大震度6弱)、2023 年5月にM6.5の地震(最大震度6強)などの規模の大きな地震が発生し、2024年1月には、一連の活動の中で最大規模の地震であるM7.6の地震(最大震度7)が発生しました。2023年12月までの地震活動の範囲は能登半島北東部の概ね30㎞四方の範囲でしたが、M7.6 の地震の直後からの地震活動は非常に活発になり、北東南西に延びる150㎞程度の範囲に広がりました。その後、M7.6の地震の地震活動域では、時間の経過とともに活動が徐々に低下してきていますが、そのような中で2024年6月にM6.0の地震(最大震度5強)、11月にM6.6の地震(最大震度5弱)が発生するなど、引き続き規模の大きな地震が発生しています。今回の地震活動のように、数年にわたって続く上に、M7.6の地震に加えてM6.6、M6.5のようなM6クラスの規模の大きな地震が何度も発生するような陸・沿岸域の地震活動は、日本ではこれまでに観測されたことはありません。
これまでに経験したことのない事象に直面し、地震活動がいつまで続くのかなど今後の活動を見通すことは難しい状況です。能登半島周辺には海域活断層が数多く存在するなど規模の大きな地震が今後も発生する可能性が依然としてあることから、地震調査委員会としての情報発信をより強化する必要があると考えます。これまでに取り組んできた地震活動の評価に加え、「地震調査委員長見解」として、関連する情報を発信することとしました。
2025.01.15/地震調査研究推進本部 地震調査委員会

参照:「令和6年能登半島地震」に関する「地震調査委員長見解」 2025.01.15/地震調査研究推進本部 地震調査委員会 PDF 8.6MB

| | コメント (0)

2025.01.14

南海トラフ地震臨時情報(調査中)は「調査終了」に

2025年1月13日21時19分頃 日向灘で発生しM6.9(評価結果は6.7)最大震度5弱の地震について、気象庁から南海トラフ地震臨時情報(調査中)が発表されていましたが、「調査終了」になり特段の防災対策をとるは必要はないとなりました。

250114
・ 地震情報/気象庁
※ 画像をクリックすると別ウインドウに拡大表示します。

参照:南海トラフ地震臨時情報について 2025.01.14 00:15/気象庁 PDF 1.4MB

関連エントリー:南海トラフ地震に関連する情報の種類 2024.12.21

| | コメント (0)

2025.01.09

異常震域の地震

1月7日17時32分頃、鳥島近海でM6.0、深さ420kmの深発地震がありました。

この地震では、震央より少し離れた関東や東北で震度2〜1の揺れが観測される一方で、西の東海地方や近畿地方では震度1以上の揺れが観測されませんでした。

250109
・ 地震情報/気象庁
※ 画像をクリックすると別ウインドウに拡大表示します。 

このような震央に近い場所より遠い場所で揺れが大きくなる現象を「異常震域」と呼び、深い場所で発生する地震で見られる現象だそうです。

深い場所で発生する地震の場合、地表まで地震波が到達する距離が長いため、地震波が伝搬する過程に減衰しやすい地層がある場合、ない場合に比べて震度が小さくなるようです。

今回の地震は、太平洋プレート(海洋プレート)内で発生したとみられています。西側では太平洋プレートがフィリピン海プレート(海洋プレート)に沈み込み、さらにフィリピン海プレートはユーラシアプレート(陸のプレート)に沈み込んでいます。一方、東側は太平洋プレートが北米プレート(陸のプレート)に沈み込むという複雑な構造をしているので、異常震域が発生したんですね。

【防災メモ】 ~異常震域について~ PDF 294KB
一般に、地震の揺れは震源に近い場所ほど強く、遠い場所ほど弱くなります。しかし、深い場所で発生する地震(深発地震)では、震源に近い場所よりも遠く離れた場所の方が強く揺れる場合があり、この現象を「異常震域」と呼びます。
日本周辺の深発地震の場合、震源に近い側の地表に到達する地震波は、震源直上の地震波が減衰しやすい領域を通る一方、太平洋側の地表に到達する地震波は、地震波が減衰しにくい海洋プレートを通ります。その結果、震源から遠く離れた太平洋側で震度が大きくなります。
異常震域を生じるような深発地震で津波が発生することはまずありませんが、被害の可能性がないわけではありません。地震の規模が大きくなれば震源から離れていても強く揺れるだけでなく、長周期地震動(2021年10月防災メモ参照)の影響を受ける可能性があることにも留意が必要です。
【防災メモ】 ~異常震域について~ /気象庁から抜粋

| | コメント (0)

2024.12.21

南海トラフ地震に関連する情報の種類

南海トラフ地震に関する情報の種類を気象庁の資料をもとにまとめてみました。

情報は、南海トラフ地震臨時情報(調査中、巨大地震警戒、巨大地震注意、調査終了)と南海トラフ地震関連解説情報があります。

-----

南海トラフ地震に関連する情報の種類

【南海トラフ地震臨時情報】
情報発表条件:
○南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、その現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合、または調査を継続している場合
○観測された異常な現象の調査結果を発表する場合

■「調査中」 下記のいずれかにより臨時に「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」を開催する場合
・監視領域内※1でマグニチュード6.8以上の地震※2が発生
・1カ所以上のひずみ計での有意な変化と共に、他の複数の観測点でもそれに関係すると思われる変化が観測され、想定震源域内のプレート境界で通常と異なるゆっくりすべりが発生している可能性がある場合など、ひずみ計で南海トラフ地震との関連性の検討が必要と認められる変化を観測
・その他、想定震源域内のプレート境界の固着状態の変化を示す可能性のある現象が観測される等、南海トラフ地震との関連性の検討が必要と認められる現象を観測

■「巨大地震警戒」 想定震源域内のプレート境界において、モーメントマグニチュード8.0以上の地震が発生したと評価した場合

■「巨大地震注意」
・監視領域内※1において、モーメントマグニチュード7.0以上の地震 ※2 が発生したと評価した場合(巨大地震警戒に該当する場合は除く)
・想定震源域内のプレート境界において、通常と異なるゆっくりすべりが発生したと評価した場合

■「調査終了」 (巨大地震警戒)、(巨大地震注意)のいずれにも当てはまらない現象と評価した場合

※1 南海トラフの想定震源域及び想定震源域の海溝軸外側50㎞程度までの範囲
※2 太平洋プレートの沈み込みに伴う震源が深い地震は除く

【南海トラフ地震関連解説情報】
情報発表条件:
○観測された異常な現象の調査結果を発表した後の状況の推移等を発表する場合
○「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の定例会合における調査結果を発表する場合(ただし南海トラフ地震臨時情報を発表する場合を除く)

※すでに必要な防災対応がとられている際は、調査を開始した旨や調査結果を南海トラフ地震関連解説情報で発表する場合があります。

| | コメント (0)

2024.10.02

西之島の火口に池?が

拡大を続ける小笠原の火山島 西之島を、海上保安庁が9月18日に撮影した写真に火口に池?が写っています。

2022年6月にも火口に赤銅色の池のようなものが確認されたけれど、今回は濁った水色をしています。

雨が溜まって池のようなものができたのか、地下の水蒸気の影響なのか、できた原因はわかりませんが、刻々と変化する西之島は面白いです。

24100201
・ 西之島 南方から撮影 2024年9月18日 画像:海上保安庁

24100202
・ 西之島 火砕丘中央火口 2024年9月18日 画像:海上保安庁

24100203
・ 西之島 火砕丘中央火口 南方から撮影 2022年6月17日 画像:海上保安庁

参照:海域火山データベース 西之島/海上保安庁

| | コメント (0)

2024.08.21

地震が頻発しているようだけど、静岡ではあまり大きな地震は起きていないんだよな

8日に日向灘でM7.1 最大震度 震度6弱、9日に神奈川県西部でM5.3 最大震度 震度5弱、19日に茨城県北部でM5.1 最大震度5弱と8月に入って、震度5弱以上の地震が起き、結構あちこちで揺れているなと感じます。

静岡に住んでいて大きな地震が起きると、とうとう東海地震が起きたかと思います。

僕が中学の頃、プレートテクトニクスといわれる地球を覆うプレートの移動が巨大地震に原因となるという話が出て、その理論をベースとした小松左京さんの小説「日本沈没」が出版、映画化され大きな話題になりました。

高校の頃だったか、東大の石橋克彦さんが駿河湾沖でユーラシアプレートに沈み込んだフィリピン海プレートとのひずみ解消のため巨大地震が起きる「東海地震説」が発表されました。

そのことがあって、静岡県では行政が中心となって地震対策や啓発などを積極的に行ったため、僕は大きな揺れを感じるたびに、とうとう東海地震がきたかと感じるようになりました。

あれから、1995年 兵庫県南部地震、2004年 新潟県中越地震、'11 東北地方太平洋沖地震、'16 熊本地震、'18 北海道胆振東部地震、'24 能登半島地震と最大震度7の地震が発生していますが、静岡は大きな揺れはありません。

気象庁の「震度データベース」によると、統計のある1919年1月1日~2024年8月19日に全国で観測された最大震度5弱以上の地震は617あります。

静岡市内で1919年以降、震度5弱以上の地震は5回あり、一番大きなものは1935年7月11日の震度6の地震(静岡地震)です。

240821

東海地震説が発表されてから半世紀経ちますが、南海トラフ地震の震源域の東のはずれにある静岡・駿河湾、静かにエネルギーを溜めているのか恐ろしいです。

2009年と'11年の地震については当ブログに記載がありました。

関連エントリー
・ 昨日の地震があれほど揺れたんだから、東海地震を思うとゾッとするよ 2009.08.12
・ 昨日の駿河湾沖の地震は揺れました 2011.08.02

| | コメント (0)

2024.08.15

南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)発表に伴う政府の「特別な注意の呼びかけ」が終了した

8月8日に気象庁から発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が、地震の発表から1週間が経ち、政府の「特別な注意の呼びかけ」が終了されました。

気象庁の「南海トラフ地震関連解説情報(第7号)」によると、この1週間、「南海トラフ地震の想定震源域ではプレート境界の固着状況に特段の変化を示すような地震活動や地殻変動は観測されていません。」とのことで、「特別な注意の呼びかけ」が終了されました。

終了の根拠として、1. 8日の地震の震源付近の地震活動が時間の経過とともに低下している 2. ひずみ観測点で、地震後に通常みられる変化以外は観測されていないこと 3. 東海から紀伊半島の深部低周波地震活動に伴う変化がは従来からも繰り返し観測されてきた現象であることなどがあげられています。

ただ、南海トラフ沿いは、いつ大規模地震が発生してもおかしくない状況にあることに変わりはないので、日頃からの地震への備えを引き続き実施するよう呼び掛けています。

南海トラフ地震関連解説情報(第7号) 令和 6 年 8 月 15 日 17 時 02 分発表

** 見出し **
8月8日16時43分頃に日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生しました。この地震の発生に伴って、南海トラフ地震の想定震源域では、大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると考えられたことから、8月8日19時15分に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表しました。8日の地震の発生後、南海トラフ地震の想定震源域ではプレート境界の固着状況に特段の変化を示すような地震活動や地殻変動は観測されていません。地震の発生から1週間経過したことから、本日(15日)17時をもって、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)発表に伴う政府としての「特別な注意の呼びかけ」を終了しています。南海トラフ沿いでは、いつ大規模地震が発生してもおかしくないことに留意し、「日頃からの地震への備え」を引き続き実施してください。

** 本文 **
8月8日16時43分頃に日向灘を震源とするマグニチュード7.1(モーメントマグニチュード7.0)の地震が発生しました。この地震の震源付近の地震活動は、8日の地震発生当初は活発でしたが、時間の経過とともに低下しています。しかし、平常時より地震が多い状況が継続しており、現状程度の地震活動は当分続くと考えられます。
8日16時から本日(15日)14時までに南海トラフ地震の想定震源域(8月8日の地震の震源域周辺を含む)で発生した震度1以上を観測した地震の回数(速報値)は次の通りです。
8日16時から24時まで8回(震度6弱:1回、震度2:2回、震度1:5回)
9日00時から24時まで11回(震度3:1回、震度2:2回、震度1:8回)
10日00時から24時まで2回(震度2:1回、震度1:1回)
11日00時から24時まで2回(震度3:1回、震度1:1回)
12日00時から24時まで1回(震度1:1回)
13日00時から24時まで0回
14日00時から24時まで0回
15日00時から14時まで0回

また、ひずみ観測点では、マグニチュード7.1の地震に伴うステップ状の変化が観測されていますが、地震後に通常みられる変化以外は今のところ観測されていません。東海から紀伊半島の深部低周波地震(微動)活動に伴う変化が付近のひずみ計等で観測されていますが、従来からも繰り返し観測されてきた現象です。8月8日21時頃から、日向灘及び九州地方南東沖で浅部超低周波地震を観測しています。この現象は従来からも繰り返し観測されてきた現象ですが、発生頻度・規模等発生様式については今後も観測・研究が必要です。また、8日の地震発生後、宮崎県南部を中心に、地震後の余効変動と考えられる地殻変動を観測しています。余効変動自体はM7クラス以上の地震が発生すると観測されるものですが、今回の余効変動は、そのような地震後に観測される通常の余効変動の範囲内と考えられます。なお、地震直後に余効変動のメカニズムを見極めることは困難であり、ある程度の期間、観測を続ける必要があります。
そのほか、8月5日頃から、紀伊半島沖で地殻変動に起因するとみられる孔内間隙水圧の変化を観測しています。この現象は従来からも繰り返し観測されてきた現象です。
このように、8日の地震の発生後、南海トラフ地震の想定震源域ではプレート境界の固着
状況に特段の変化を示すような地震活動や地殻変動は観測されていません。

8月8日の地震と南海トラフ地震との関連性について検討した結果、南海トラフ地震の想定震源域では、大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると考えられたことから、8月8日19時15分に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表しました。
政府では、8月8日16時43分頃の日向灘を震源とする地震の発生から1週間経過したことから、本日(15日)17時をもって、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)発表に伴う政府としての「特別な注意の呼びかけ」を終了しています。
過去の世界的な事例をみると、大規模地震の発生の可能性は、最初の地震(8日の地震)の発生直後ほど高く、時間の経過とともにその可能性が低下していく傾向がありますが、最初の地震から 1週間以上経過した後に大規模地震が発生した事例もあります。
南海トラフ沿いの大規模地震(マグニチュード8から9クラス)は、「平常時」においても今後30年以内に発生する確率が70から80%であり、昭和東南海地震・昭和南海地震の発生から約80年が経過していることから切迫性の高い状態です。
南海トラフ沿いでは、いつ大規模地震が発生してもおかしくないことに留意し、「日頃からの地震への備え」については、引き続き実施してください。
気象庁では、引き続き注意深く南海トラフ沿いの地殻活動の推移を監視します。

※モーメントマグニチュードは、震源断層のずれの規模を精査して得られるマグニチュードです。気象庁が地震情報等で、お知らせしているマグニチュードとは異なる値になる場合
があります。

** 次回発表予定 **
今後は、次回の定例の南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会(9月6日開催予定)までの間、毎週1回「南海トラフ地震関連解説情報」で地殻活動の状況等を発表します。次回の情報発表は、22日15時30分頃を予定しています。

関連エントリー:「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表された 2024.08.08

参照:令和6年8月8日16時43分頃の日向灘の地震について(第8報)及び南海トラフ地震関連解説情報(第7号)について 2024.08.15/気象庁地震火山部 PDF 10.5MB

| | コメント (0)

より以前の記事一覧