2024年産の静岡県の荒茶生産量が、統計開始以来初めて鹿児島県に抜かれ2位に転落したことが、NHKをはじめテレビや新聞などで話題になっています。
静岡県の茶の生産は、牧之原台地や磐田原台地など平坦で広い産地もありますが、静岡、川根など山間地の狭い傾斜地で多く栽培されています。一方、鹿児島県は平坦で広大な茶園で機械化が進んでいるため、効率の面で静岡県は不利です。
また、価格が低迷するのに加え、近年の茶の需要はペットボトルが主流で、昔ながらの茶葉を急須で淹れて飲む需要は減ってきています。
そのような中で、低コストで栽培ができる鹿児島県に抜かれるのも理解ができます。
でも、農林水産省が公表した数字を見ると、単純に荒茶の生産量が逆転したとも言えないのかなとも思います。
確かに、年間の荒茶の生産量は鹿児島県のほうが多くなっています。ただ、4月下旬から5月上旬に採れる価格の良い1番茶は依然静岡県が多くなっています。
ただ、気になるのは10a当たりの生葉収穫量が鹿児島県に比べ静岡県は少ないことです。これは傾斜地での栽培が多く生産性が低いためでしょう。
まあ、日本一になることも大切だけど、茶の生産者がしっかり経営できることのほうが大切だと思います。

参照:令和6年産茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量(主産県) 2025.02.28/農林水産省
「荒茶」生産量 日本一から陥落 “お茶王国”静岡がなぜ?
製品として仕上げる前の「荒茶」と呼ばれるお茶の去年の生産量が発表され、静岡県はこれまで60年あまり維持してきた日本一の座を鹿児島県に奪われ、初めて全国2位に陥落しました。
新茶の価格が過去最低の水準となり、二番茶以降の生産を調整する動きが相次いだことが生産量の落ち込みに影響したということです。
農林水産省が18日発表した去年の荒茶の生産量は、静岡県が前の年より1400トン少ない2万5800トンだったのに対し、これまで2位だった鹿児島県は前の年より900トン多い2万7000トンでした。
この結果、鹿児島県が静岡県を1200トン上回り、静岡県は記録が残る昭和34年以降、60年あまり維持してきた日本一の座を鹿児島県に奪われ、初めて2位に陥落しました。
静岡県お茶振興課によりますと、去年、春先の気温上昇などで茶葉の生育が進んだため、新茶は収穫量が多くなった一方で品質が低下し、価格が過去最低の水準となりました。
このため、さらに価格が下がるのを防ごうと二番茶以降の生産を調整する動きが相次いだことが生産量の落ち込みに影響しているということです。
このほか、国内の需要の低迷や高齢化などでお茶づくりをやめた農家もいることも要因のひとつではないかと分析しています。
2025.02.19/NHK静岡