地球深部探査船「ちきゅう」が南海トラフ境界部を掘削するそうです
清水港を母港とする海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」が、この冬に熊野灘の南海トラフ境界部の掘削を行うそうです。日本経済新聞が報じていました。
・ 地球深部探査船「ちきゅう」 清水港袖師埠頭
・ 地球深部探査船「ちきゅう」 ※ 海洋研究開発機構のサイトから引用
南海トラフは、西日本を形成するユーラシアプレートにフィリピン海プレートが沈み込み、巨大地震の震源とされています。
現在は地上の地震計やGPSによって地表の動きを継続的に測定して南海トラフの動きをモニターしています。
これが「ちきゅう」の調査で、ふたつのプレートの境界の物理的な変化が捉えられれば、かなり具体的なことがわかるのでしょう。
結果が楽しみです。
「巨大地震の巣」核心部に迫る 南海トラフを掘削
海洋研究開発機構は10月、巨大地震を繰り返し起こしてきた南海トラフの深部の探査を始める。海底を深く掘削できる地球深部探査船「ちきゅう」を使い、海底下5200メートルまで掘り進む。プレート(岩板)境界部の巨大断層まで到達し、岩石を集めるほか、ひずみの蓄積状況を調べる。巨大地震の核心部に迫る世界初の試みで、巨大地震や津波の発生メカニズムの解明へ期待が集まっている。
日本の太平洋側の海底では、日本列島がある陸のプレートの下に、海のプレートが沈み込んでおり、ひずみを少しずつ蓄積している。ため込んだひずみにプレート境界部が耐えられなくなって大きくすべると、南海トラフや東日本大震災のような巨大地震が発生する。境界部の断層は「巨大地震の巣」だ。
現在は地上の地震計や全地球測位システム(GPS)の測定データから、プレート境界の状況や巨大地震のメカニズムなどを推測している。「断層を直接観測して実態を把握できる」と、探査に参加する東京大学の木下正高教授は説明する。
ちきゅうによる南海トラフの掘削は、国際プロジェクトとして2007年に始まった。掘削地点の紀伊半島沖の熊野灘は世界のプレート境界の中でも浅いことから選ばれた。これまでの探査で、海底下約3000メートルまで掘り抜いている。ちきゅうは10月10日に静岡県清水港を出航、さらに穴を掘り進める。境界部の断層には2019年1~2月に到達する予定だ。
今回の探索では、過去に巨大地震を起こした部分を重点的に調べる。断層が高速にすべると、摩擦熱で岩石が溶けてガラスのようになる。採取した岩石を地上に持ち帰って分析し、どのくらいの力に耐えられるかなどを調べる。掘削しながら穴の状況などを観測し、断層付近にかかるひずみを推定する。
2018/09/14/日本経済新聞
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