バースデイ・ガール/村上春樹
新作かと思って読み始めたら、どこかかなり前の村上春樹の雰囲気がする物語だと感じました。
あとがきを読むと、15年ほど前にバースディ・ストーリーを集めて翻訳した本に、村上が書き下ろした短編だそうで、それで納得しました。読んでいませんでした。
「バースデイ・ガール」は、彼女が二十歳の誕生日に経験した不思議な出来事とその後についての物語です。
村上作品らしく物語には結論がありません。
ただ、
人間というのは、何を望んだところで、どこまでいったところで、自分以外にはなれないねっていうこと。ただそれだけという彼女の言葉が何を意味するのか、考えるより感じることかも。
そして、
あなたはきっともう願ってしまったのよと、主人公の「僕」に向けられる彼女の言葉は、読んでいる僕にも向けられた言葉です。
村上の短編を久し振りに読んで、はっとさせられました。
バースデイ・ガール
村上春樹 (Murakami Haruki) イラストレーション:カット・メンシック(Kat Manschik)/新潮社/2017
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