11月に青森、新潟の家きんで発生した鳥インフルエンザ H5N6は同時期の野鳥のウイルスと同一由来
2016年11月に青森県のアヒル、新潟県のニワトリの鳥インフルエンザ H5N6亜型ウイルスのゲノム解析結果について、農業・食品産業技術総合研究機構がプレスリリースしていました。
この青森と新潟のウイルスは、8本のRNA全てにおいて99.2%の相同性を持っているとのことです。
また、鹿児島県出水市のナベヅルのねぐらの水から分離したウイルスとも99.3%以上の相同性を有するとのこと。
さらに、韓国で発生しているウイルスとも97.4%以上の相同性を持つそうです。
青森、新潟、鹿児島、韓国と8本のRNAすべてで相同性の高いことが確認されたことから、それぞれが大陸からどのような経路で渡って来たかはわからないけれど、今、日本で発生しているH5N6はほぼ同じ由来のものなんですね。
このウイルスは、2015年に流行したH5N6ウイルスと1本のRNAは別のものであるということ。細胞に感染、RNAが8本それぞれが増殖し、再集合する際に1本のRNAが他のウイルスのRNAと入れ替わる変異が起きたということで、面白いです。
高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)国内発生株の遺伝学的特徴 - ゲノムから推定するウイルスの由来と病原性 -
ポイント
・ 2016年11月青森県及び新潟県で発生した高病原性鳥インフルエンザ1)の原因ウイルスの全ゲノム配列を解読しました。
・ ゲノム配列から国内の野鳥由来のH5N6亜型2)ウイルスと同一の由来であると推定されました。
・ これらのウイルスは中国で分離されたH5N6亜型ウイルスとその他の鳥インフルエンザウイルスとの遺伝子再集合3)ウイルスであることがわかりました。
・ このウイルスが直接、人に感染する可能性は低いと推定されました。
概要
1. 農研機構動物衛生研究部門では、11月28日に青森県および新潟県で発生した高病原性鳥インフルエンザ(Highly pathogenic avian influenza: HPAI)の原因ウイルスの亜型を同定すると共に、全ゲノム解析を行い遺伝子レベルでウイルスの由来や病原性の推定を行いました。
2. 青森県および新潟県で発生したHPAIの原因ウイルス(青森株、新潟株)をH5N6亜型高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAIV)4)と同定するとともに、次世代シークエンサー5)を用いて、それぞれのウイルスゲノムの99.5%(青森株)および100%(新潟株)の塩基配列を決定しました。決定した2つのウイルスの塩基配列は、8本のRNA分節6)全てにおいて相互に99.2%以上の相同性を持ち、また鹿児島出水市のナベヅルのねぐらの水から分離したウイルスとも99.3%以上の相同性を示しました。
3. 8本のRNA分節について、公共遺伝子データベースで公開されているインフルエンザウイルス遺伝子との比較を行ったところ、全ての分節において韓国で分離されたH5N6亜型HPAIV(韓国株)と97.4%以上の相同性を持つことが明らかとなりました。また、8本の遺伝子分節のうち7本の遺伝子分節は、2015年流行していたH5N6亜型HPAIVと、1本の遺伝子分節はその他の鳥インフルエンザウイルス(AIV)とそれぞれ97%以上の相同性を示しました。
※ただし、この結果は直接的なウイルスの由来を示すものではありません。
4. 決定された塩基配列から推定されるアミノ酸配列をもとに、人への感染のリスクを評価しました。青森株及び新潟株には、これまでに報告されている人への感染性に関与すると考えられるアミノ酸変異は認められなかったことから、本ウイルスが直接、人に感染する可能性は低いと考えられます。
2016.12.08/農業・食品産業技術総合研究機構
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