温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の地球全大気の二酸化炭素濃度の測定結果はすごいね
2009年年初に打ち上げられた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の二酸化炭素濃度の測定結果が、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、国立研究開発法人国立環境研究所(NIES)及び環境省から公表されました。
「いぶき」は高度660kmの軌道で地球を約100分で周回している観測衛星で、地球的規模で約5,600点温室効果ガスを測定しています。今回、そのデータをもとに月別の地球全大気の二酸化炭素(CO2)濃度の推定結果が公表されました。
個々の数値データについては、NIESから近日公開予定とのことで個人的にグラフに落とし込むことはできません。
ただ、公表された2009年から2015年の月別二酸化炭素濃度の推移のグラフを見ると、植物の光合成量の影響で濃度は夏に下がり冬に上がる季節変動を繰り返しながら、少しずつ上昇をしています。
NIESのプレスリリースでは、2015年7月の二酸化炭素全大気平均濃度は397.1ppm、同月の推定経年平均濃度値は398.2ppm、過去1年間(2014年7月~'15年7月)の増加量は2.0ppm/年となり、このまま推移すれば近いうちに400ppmに達するとしています。
この二酸化炭素濃度400ppmや年増加量2.0ppmはどういった意味を持つのだろう?
ずいぶん前に読んだジェームス・ラブロックの「ガイアの復讐」では、温暖化の臨界点を500ppmとしています。また、IPPC第5次評価報告書では、21世紀において気温上昇が2℃未満に収まる可能性の高い温室効果ガスの二酸化炭素換算濃度を430~480ppmとしています。
もっとも気候変動については、温暖化説が有力だけど太陽活動の状態から寒冷化を唱える研究者もいるし、よくわかりません。
でも「いぶき」によって地球全体の二酸化炭素濃度の推移が把握されることは、有意義なことだね。設計寿命が5年と短いことが気になるけれど。
参考
・ 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の観測データに基づく月別二酸化炭素の全大気平均濃度の公表について (2015.11.16)/国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
・ 「いぶき」の観測データに基づく全大気中の月別二酸化炭素濃度 速報値/国立研究開発法人国立環境研究所
・ 気象変動2014総合報告書 政策決定者向け要約/気象庁(気候変動に関する政府間パネル) PDF: 4.00Mb
関連エントリー:ガイアの復讐/ジェームス・ラブロック (2006.12.14)
温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の観測データに基づく月別二酸化炭素の全大気平均濃度の公表について
温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT(ゴーサット))は、環境省、国立研究開発法人国立環境研究所(NIES)及び国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同で開発した世界初の温室効果ガス観測専用の衛星であり、平成21年1月23日の打上げ以降、現在も観測を続けています。
「いぶき」観測データを使って、地上から上空までの「地球大気全体(全大気)」の二酸化炭素平均濃度を算出したところ、月別平均濃度は季節変動をしながら年々上昇し、平成27年5月に約398.8ppmを記録しました。さらに推定経年平均濃度※は平成27年7月に約398.2ppmに達したことがわかりました。このままの上昇傾向が続けば、月別平均濃度や推定経年平均濃度はともに、遅くとも平成28年中に400ppmを超える見込みです。これは、「いぶき」の観測によって地球大気全体の平均濃度が400ppmに近づくことを初めて示すことになり、衛星による温室効果ガス観測の重要性を表すものと言えます。
※ 推定経年平均濃度:季節変動を取り除いた2年程度の平均濃度値
2015/11/16/国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 国立研究開発法人国立環境研究所 環境省
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