アミューズド・トゥ・デス/ロジャー・ウォーターズ
このアルバムが発売されたのは1992年です。
ベルリンの壁が1989年11月に崩壊し、翌12月に米国とソ連の両首脳が冷戦の終結を宣言しました。僕はブッシュとゴルバチョフがマルタで握手したというニュースをラジオで聞いたとき、少し早いクリスマスプレゼントだと温かい気持ちになりました。
でも、それは僕の浅はかな気持ちで、その後、湾岸戦争が始まり、それからますます世界は混迷を深めています。
「アミューズド・トゥ・デス」はそんな時期に発表された作品です。
湾岸戦争の時も連日、イラクを空爆する多国籍軍をテレビは報じていました。
遠く離れた国で行われている戦争が、テレビでエンターテイメントのひとつとして映し出されることに対するロジャー・ウォーターズの憤りが、このアルバムのテーマになっています。
ピンク・フロイドの時代からウォーターズは、重く暗く行き場のない詞に美しいメロディをのせます。
このアルバムも同様で、ギターにジェフ・ベックを起用し、物語が深いものになっています。
思えば、ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモア、最初のソロアルバム「ヒッチハイクの賛否両論」のエリック・クラプトンと、ウォーターズの憂鬱と憤りを表現するためには一級のギタリストが必要なのかもしれません。
このアルバムは、リマスタリングして2015年夏に再発されました。
発売後にアンカラで自爆テロ、ロシア旅客機の墜落、ベイルートで自爆テロ、パリで銃撃・自爆テロが立て続けに起こっています。
ウォーターズのメッセージは今も生きているし、もっと状況は混迷を深め解決策を見つけ出せないでいます。
AMUSED TO DEATH
Roger Waters/Sony Music Japan/1992(2015)
01. THE BALLAD OF BILL HUBBARD
02. WHAT GOD WANT,PART 1
03. PERFECT SENSE,PART 1
04. PERFECT SENSE,PART 2
05. THE BRAVERY OF BEING OUT OF RANGE
06. LATE HOME TONIGHT,PART 1
07. LATE HOME TONIGHT,PART 2
08. TOO MUCH ROPE
09. WHAT GOD WANT,PART 2
10. WHAT GOD WANT,PART 3
11. WATCHING TV
12. THREE WISHES
13. IT'S A MIRACLE
14. AMUSED TO DEATH
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