2014年/'15年シーズンに日本で発生した鳥インフルエンザH5N8の侵入経路
2014年/'15年シーズンに宮崎、山口、岡山、佐賀の養鶏場で発生した鳥インフルエンザA/H5N8亜型の日本への侵入経路について、農林水産省の高病原性鳥インフルエンザ疫学調査チームが9月に公表した「平成26年度冬季における高病原性鳥インフルエンザの発生に係る疫学調査報告書」が面白いです。
鳥インフルエンザウイルスは自然宿主のカモ類などの渡りに伴い、シベリア、朝鮮半島から日本に持ち込まれるというのが定説です。
今回の調査報告書に書かれた昨シーズンに日本に持ち込まれたH5N8ウイルスの侵入経路は、野鳥の渡りによって持ち込まれるにしても、かなり複雑だなあと感じました。
昨シーズン発生したたH5N8ウイルスは、2014年4月に熊本で分離されたウイルスではないということ。
また、韓国で2014年に継続して発生し国内で認められていない系統とも別であるということ。
報告書の考察では、昨シーズンに国内の養鶏場で発生したH5N8は、更に前シーズン(2013/’14)に韓国で発生していた別系統のウイルスが、春の北への渡りによって夏はシベリアで維持され、秋の南への渡りで日本や韓国に持ち込まれたということです。
この夏にシベリアで維持されていたH5N8は、渡りにより南下するとともに、東西にも伝搬し北米や欧州でも確認されているそうです。
鳥インフルエンザウイルスは、変異を繰り返しながらダイナミックに伝搬しているんですね。
参考:平成 26 年度冬季における高病原性鳥インフルエンザの 発生に係る疫学調査報告書(平成27年9月9日)/農林水産省(PDF:4,310KB)
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