感染症進入阻止の難しい問題
エボラウイルス病の発生地域からの入国者に対する隔離措置について、米国ニューヨーク州が混乱したと時事通信が報じていました。
混乱は、医療従事者を含めエボラウイルス病患者に直接接触し、ジョン・F・ケネディ空港に帰着した者に対し、症状の有無にかかわらず隔離するというニューヨーク州の措置に端を発したものです。
患者に接触しても症状のない者に対しても隔離措置を講じることは、発生国での医療従事者の確保に問題を生じるとの懸念もあり、帰国時に体調を崩していない者は自宅待機等の措置に落ち着いたようです。
でも、これは難しい問題ですね。
エボラウイルスは、厚生労働省の資料によると、患者の体液やその体液に汚染された物質に触れた際、ウイルスが傷口や粘膜から進入し感染し、空気感染はしないとのことです。また、感染していても症状の出ていない潜伏期間の患者からは感染しないようです。しっかりした知識と注意があれば、致死率が高く恐ろしいウイルスであっても、感染爆発は起こりにくいのかもしれません。
参考
・ エボラ出血熱とは/国立感染症研究所
・ エボラ出血熱に関するQ&A/厚生労働省
ただ、発生が懸念される新型インフルエンザウイルスのような致死率が高く、空気(飛沫)感染をし、伝搬力の病原体の場合はどうだろう?
伝搬力が強いから水際での阻止は現実としてかなり難しいと思うけれど、それでも感染国からの入国者の隔離が第一の疫学的措置だと思います。
その時に発病していない者に対する強制的な隔離策は、人道的・感情的な反発が出るかもしれません。
こういう問題は平時の時に十分議論と理解を得ておかなければいけない政治的な課題ですね。
帰国者の隔離措置緩和=エボラ熱対応めぐり混乱―米NY州
米ニューヨーク州のクオモ知事は26日、声明を発表し、先に表明したエボラ出血熱が流行中の西アフリカ3カ国から帰国した医療従事者らに対する隔離措置を緩和する方針を明らかにした。知事は24日、医療従事者を含め、リベリアなどでエボラ熱患者に直接接触しニューヨーク州のジョン・F・ケネディ空港に帰着した全員に、症状を呈していなくても隔離措置を取ると発表していた。
しかし、連邦当局や専門家からは、隔離策によって医師らが西アフリカ渡航をためらい、「震源地」でのエボラ熱封じ込めに悪影響を与えかねないと懸念が出ていた。隔離措置の緩和はそうした懸念に応えたものだが、わずか2日での政策変更はエボラ熱対応をめぐる米当局の混乱ぶりを印象付けた。
米メディアによると、オバマ政権はニューヨーク州などに隔離措置見直しを働き掛けていた。オバマ大統領は26日、バーウェル厚生長官ら閣僚を集めて対応を協議。「エボラ熱を発生源で封じ込め、終息させるには医療従事者が必要だ」と述べ、医療従事者のやる気をそがない帰国受け入れ策を検討するよう指示した。
ニューヨーク州では緩和により、帰国時に体調を崩していない人は自宅や当局提供の住居での待機となる。21日間、経過観察が行われる。家族は共に滞在することが許される。
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ニュージャージー州のニューアーク空港では24日、シエラレオネから帰国し、無症状で隔離された女性看護師が、州の対応を「非人道的だ」などと非難。AFP通信はこの看護師について、シャワーがなくベッドと非水洗トイレしか備えていないテントに隔離されたと伝えている。ロイター通信によると、看護師は数日内に隔離措置を不服として提訴する意向だ。
2014/11/27/時事通信
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