よだかの星/宮沢賢治
このところ夜の早い時間から東の空にシリウスが昇るようになりました。
この青白く輝くおおいぬ座の一等星を眺めながら宮沢賢治の「よだかの星」のよだかは、燃えてシリウスになったんだと思いました。
・ 月、シリウス、アルデバラン、プロキオンなど 2012.12.27 20:51 静岡市葵区平野部 東の空
少し気になったので久し振りに(子供の時以来)読み直すと、僕の思い違いだということがわかりました。
生きていることに絶望し行き場を失ったよだかは、それでも誰かを照らす光になればと大空に飛び立ちます。
最初に訪ねたのは太陽、そしておおいぬ座(たぶんシリウス)、次がオリオン座(たぶんリゲル)、おおくま座(たぶん北斗七星のどれか)、わし座(たぶんアルタイル)と訪ね、どの恒星にも星になることを断られます。
そして最後の力をふりしぼってカシオペア座のそばで燃えて星になるのですが…
「銀河鉄道の夜」の中で少女に語らせる蠍の火にこれと似た話がでてきます。
イタチに追われたサソリが、今まで多くの昆虫などを食べてきた自分が何故逃げ回るのか。サソリのために食われてしまわないのか悔いる。そして最後は燃えてさそり座のアンタレスになるという話です。
賢治のこの自らを殺し他人を利するという思いはずいぶんとしんどいです。
僕は「よだかの星」を小学校の頃の授業で読みました。
当時、鈍感な僕は深く思いもせず読み流してしまったのだけれど、多感な子供や問題を抱えた子供はこの救いのない物語を読んで何を思うのだろう。
そしていまも小学校のテキストとして「よだかの星」が読まれているかはわかりませんが、大人たちは何を読み取らせようとしているのだろう。
よだかが星になったカシオペア座の周辺は、オリオン座やおおいぬ座、こいぬ座、ぎょしゃ座などの一等星が多い空よりも静かです。
賢治はよだかを何故、少し静かなカシオペア座のそばで星にしたのだろう。
・ カシオペア座の恒星 2012.12.23 19:04 静岡市葵区平野部 北の空
新編 銀河鉄道の夜
・ 双子の星
・ よだかの星
・ カイロの団長
・ 黄色のトマト
・ ひのきとひなげし
・ シグナルとシグナレス
・ マリヴレンと少女
・ オツベルと象
・ 猫の事務所
・ 北守将軍と三人兄妹の医者
・ 銀河鉄道の夜
・ セロ弾きのゴーシュ
・ 饑餓陣営
・ ビジテリアン大祭
宮沢賢治/新潮文庫/1934(発表)
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