鳥インフルエンザウイルスの侵入リスクマップ
2010/11シーズンは鳥インフルエンザA/H5N1亜型ウイルスが、日本の各地のコハクチョウやオオハクチョウなどの野鳥やニワトリなどの家きんで多数確認されました。
この時に僕は、朝鮮半島や大陸からカモ類などの渡り鳥により持ち込まれたH5N1ウイルスが国内で定着してしまったのかと思いました。
しかし2011/12シーズは渡り鳥などの野鳥でH5N1が確認されず、前シーズンとは逆の様相でした。
大陸や朝鮮半島でウイルスの密度が下がったのか、日本に渡ってくるまでに感染した鳥は死亡してしまったのかわかりませんが、シーズンによる確認数の大きな違いが不思議です
関連エントリー
・ 鳥インフルエンザはH5N1は日本定着した? (2011.03.03)
・ 今シーズンの野鳥の高病原性鳥インフルエンザの感染はどうなんだろう (2012.01.23)
参考
・ 昨シーズン(22-23年度)の野鳥における高病原性鳥インフルエンザの発生に関する考察 (2011.09.08)/環境省自然環境局 PDF 589KB
・ 平成23-24年シーズンの野鳥における鳥インフルエンザウイルス保有状況調査の結果について (2012.08.22)/環境省自然環境局 PDF 195KB
国立環境研究所から渡り鳥により国内にウイルスが持ち込まれるリスクを10kmメッシュで色分けして示した地図が公表されました。
【図】鳥インフルエンザウイルスの侵入リスクを示したマップ (拡大)
S. Moriguchi, M. Onuma and K. Goka, Potential risk map for avian influenza A virus invading Japan, Diversity and Distributions, in press, DOI: 10.1111/ddi.12006 図2を改変
リスク指数とは、鳥インフルエンザウイルスが侵入する可能性を0~1で表した指数である。1に近づくほどウイルスが侵入しやすい環境条件がそろっており侵入リスクが高いことを示す。
リスクの高いオレンジ~赤色の地域はインフルエンザウイルスの自然宿主のマガモなどカモ類の個体数の多い地域となっています。
これまでの野鳥や家きんなどからウイルスが確認された地域と近いものがあり意外性のある地図ではありません。
2012/13シーズンも始まり冬鳥の渡りの季節になりました。今シーズの国内の鳥インフルエンザの状況はどうなるのだろう?
日本における鳥インフルエンザウイルスの侵入リスクマップの作成について
そこで我々は鳥インフルエンザウイルス侵入のリスク管理の一環として、どの地域に鳥インフルエンザウイルスが侵入するリスクが高いのかを予測する方法として、本ウイルスが渡り鳥によって運ばれることに着目し、野鳥の鳥インフルエンザウイルス発生地点を、標高や土地利用などの環境条件や宿主となるカモ類の個体数データに基づいて推定する分布予測モデル(リスクマップ)を作成しました。本研究により、ウイルスの自然宿主とされるマガモなどの植物食のカモ類の個体数が多い地域ほど侵入リスクが高くなるという結果が得られました。また、今回得られた予測結果を過去5年間の鳥インフルエンザウイルス陽性地点データと比較した結果、侵入予測エリアは実際に陽性反応が検出された地域を確実にカバーしており、予測の信頼性が高い事も分かりました。このリスクマップに基づき、鳥インフルエンザウイルスの侵入リスクが高い地域のモニタリングを強化することにより、国内へのウイルス侵入の早期発見に結びつくと期待されます。
2012/11/15/独立行政法人 国立環境研究所
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