論争よりも時間が、真理やあやまりをえり分けてくれるだろう
中谷 巌の懺悔の書「資本主義はなぜ自壊したのか」を読んで以来、経済についてまったくといっていいほど知識のない僕は20世紀前半の経済学者 ジョン・メナード・ケインズのことが気になっています。
関連エントリ:資本主義はなぜ自壊したのか/中谷 巌 (2009.06.10)
そんなわけで読んでいる高橋伸彰の「ケインズはこう言った」の中にケインズの「論争よりも時間が、真理とあやまりをえり分てくれるだろう。」という言葉が引用されて心にとまりました。
実際、ケインズは『一般理論』の草稿で次のように語っている。
経済学においては、反論者は既存の理論をまちがっていると断定することはできず、あやまりを納得させることができるだけである。しかしこちらの議論が正しくても、説得力や表現力がなかったり、あるいは相手がすでに反対の考えに凝り固まっているならば、相手を納得させるできない。[・・・・・][この場合は]論争よりも時間が、真理とあやまりをえり分てくれるだろう。
ケインズはこう言った 迷走日本を古典で斬る/高橋伸彰/NHK出版新書 P89
自分が正しいと思っても、また仮に正しいことでも凝り固まった相手の考えを変えるのは難しく、議論は平行線、落しどころさえ見つからないことがあるよね。
ていねいな主張をすること、そしてそれを続けることは必要だししなければならないでしょう。でも時間の経過を待つということもある。
先送りとか棚上げとかいって好ましいことではないのかもしれないけれど、時にはそれが最善のことである場合も。
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