鳥インフルエンザ遺伝子4箇所の変異で新型インフルエンザへ
鳥インフルエンザウイルスH5N1亜型の遺伝子4箇所の変異で新型インフルエンザが出現するという東京大学医科学研究所の河岡教授他の研究論文が発表されたそうです。日本経済新聞が報じていました。
新型フルへの変異が懸念されている鳥フルH5N1亜型は、WHOのデータによると2003年からこれまでにインドネシア、エジプト、ベトナムなどで603人の患者が確認されうち365人が死亡、致死率59%と病原性の強いウイルスです。
まだヒトがH5N1に感染するのは稀で、ヒトからヒトへ容易に伝播する新型フルにはなっていません。
4箇所のH5N1の遺伝子が変異すると新型フルになり、既にエジプトのウイルスは2箇所が変異しているとのことです。
研究は遺伝子操作をしながら変異の仕組みを解明し新型フル対策を進めるために行われているけれど、悪用すればバイオテロ用のウイルスを作れるので、米政府は研究成果の発表にナーバスになっているのでしょうね。
実際、2005年に河岡さんが出した新書「インフルエンザ危機」の中にも米国政府機関の職員と思われる者が研究室に訪ねてきて研究内容について聞かれたことが書かれていました。
遺伝子操作の技術を使えば自然界に存在しないタイプのウイルスを人工的に作り出すことも可能なわけで、良くも悪くも使い方は人間次第なんだよね。
これは科学技術全般に言えることなんだけど・・・
鳥インフルの感染解明 論争呼んだ論文公表 ワクチン開発に道
東京大学医科学研究所の河岡義裕教授らは、強毒性の鳥インフルエンザウイルス「H5N1」が哺乳類同士でも感染する仕組みを解明した。将来、大勢の死者を出す懸念がある新型インフルエンザの病原体になる可能性を示す成果で、論文が3日、英科学誌ネイチャー(電子版)に載る。世界的な大流行(パンデミック)を回避する予防ワクチン開発に道を開く。
同論文を巡っては、米政府が生物テロに悪用されかねないとして、掲載前、出版元に内容の一部削除を求め、論争を巻き起こした。
河岡教授らは、イタチの一種で哺乳類のフェレットで実験をした。遺伝子操作で感染に関わる2つのアミノ酸を改変したH5N1をフェレットに投与、鼻の粘膜で増えることを確認した。
さらに、感染したフェレットとそうでないフェレットとを狭い空間で一緒に飼育すると、飛沫感染することが判明。ウイルスを採取して調べると、アミノ酸が4つ変異しており、このわずかな変化で、哺乳類同士で感染すると結論づけた。
H5N1はこの十数年、主にアジアや中東地域で散発的に鳥の間で流行している。濃厚接触によって鳥から人にうつる例も報告されており、致死率は約60%。ただ、人から人へ感染するかどうかは意見が分かれており、ウイルスにどのような変異が必要なのかも、よく分かっていない。哺乳類同士でも感染することが今回明らかになり、人への脅威にもなりうることが分かった。
河岡教授によると、4つの変異のうち、すでに2つは、最近エジプトで鳥から見つかったH5N1で確認されているという。「エジプト株を参考にしたワクチン製造、備蓄を急ぐ必要がある」と話す。
2012/05/03/日本経済新聞
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