インフルエンザウイルスの研究が生物兵器を生み出す!??
日米欧など新型インフルエンザの研究者が、60日間その研究を自主的に停止すると声明を出したことを時事通信が報じていました。
現在、新型インフルエンザとして出現することが最も恐れられているのが鳥インフルエンザ A/H5N1亜型です。
まだ、H5N1ウイルスのヒトへの感染は稀で、WHOが確認している患者は2003年から'12年1月15日までで582人です。ただ、恐ろしいのはそのうち343人が死亡という致死率59%の病原性の強さです。
このウイルスがこのままの病原性を維持したままヒトのインフルエンザウイルスに変異したら人類に相当のダメージを与えるかもしれません。
そのためウイルスの性状や変異の状態の研究が遺伝子レベルで進められ、その成果が公衆衛生、ワクチンや抗ウイルス薬の開発に活かされているのだと思います。
でも、これが悪用され生物兵器の開発に利用されたら‥ 政府機関が研究の成果にナーバスになるのも理解できます。
それで、研究者達はウイルスの管理の厳格さや研究の重要性を訴えるために60日間の研究停止になったようでです。
1918年頃に世界中に流行して数千万人の命を奪ったとされるスペインインフルエンザ(H1N1)。現状のH5N1のヒトに対する病原性はスペインインフルエンザよりも強いのでしょう。
鳥インフルエンザ H5N1が仮に変異して新型インフルエンザになったとしても、スペインインフルエンザが新型として出現した時と違うのは、研究の成果によってある程度ウイルスの正体がわかってきていることです。
それによって、僕らはウイルスに対抗するしかないと思うんだけど、難しい問題ですね。
どのように決着するのだろう。
大流行懸念の中、研究停止=強毒性鳥インフルのヒト感染―テロ悪用論で
養鶏場で被害が多発している強毒性鳥インフルエンザA型H5N1亜型について、日米欧などの主要な研究者39人が60日間、ヒトでの感染拡大防止を目指す研究を自主的に停止すると声明を発表した。H5N1は遺伝子変異による大流行が懸念されるが、米政府当局が遺伝子変異の詳細がテロに悪用されるとして論文公表に反対したり、安全保障専門家が変異ウイルス流出の恐れを指摘したりしたためだ。
研究者らは、停止期間中に世界保健機関(WHO)が開く会合などで研究施設の病原体封じ込め対策の厳重さや研究の重要性を訴え、各国政府に問題解決を求める一方、米当局と研究者限定の情報公開制度新設を協議するという。
◇テロ経験国で懸念
きっかけは昨年9月、地中海のマルタ島で開かれた学会で、オランダ・エラスムス医療センターのロン・フーシェ教授が、H5N1の感染力が高まる遺伝子変異について、フェレットを使った動物実験の概要を明らかにしたことだった。2001年の米同時テロ直後に炭疽(たんそ)菌がばらまかれ、5人が死亡する事件が起きた米国では、安全保障専門家を中心に変異ウイルスの流出、テロへの悪用を懸念する意見が高まった。
米国立衛生研究所(NIH)から研究資金を得ているフーシェ教授らはこの実験の論文を米科学誌サイエンスに投稿したが、昨年12月、NIHのバイオセキュリティー委員会が同誌に対し、論文中の実験データを公表しないよう勧告。米ウィスコンシン大の河岡義裕教授(東大医科学研究所教授兼任)らが英科学誌ネイチャーに投稿した同様の論文についても同じ勧告をし、両誌は論文掲載を見合わせた。
◇「アシロマ会議」参考に
科学研究は論文を読んだ研究者が追試で確認し、創意工夫を重ねることで発展する。危機感を持った両教授らは研究仲間に呼び掛け、今回の声明発表に至った。遺伝子組み換え技術が開発されて間もない1975年、米カリフォルニア州アシロマに研究者らが集まり、自主的に規制案を検討したことが参考になったという。
39人の中には、日本の国立感染症研究所の田代真人インフルエンザウイルス研究センター長も名を連ねる。米研究者と共同研究したり、米政府機関から資金を得たりしている日本人研究者は多く、規制が強化されれば影響を受けるとみられる。
2012/01/22/時事通信
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