原発を終わらせる/石橋克彦 編
東京電力の福島第一原子力発電所の事故以降、原子力発電について気になっています。そして、これまで僕はあまりにも原発や放射性物質について知らなかったし知ろうともしなかったんだと思いました。
これじゃぁ、原発について僕の立ち位置すら定められないよね。
そんなこともあって、最近、原子力や放射性物質についての本や文献を少しずつ読んでいます。
「原発を終わらせる」はタイトルのとおりその危険性から原発廃止の方向で書かれた本です。編者の石橋克彦さんは東海地震説を提唱者した地震学者で、このブログでも彼の著作「大地動乱の時代」を紹介しました。
「原発を終わらせる」は、石橋さんをはじめ14人の専門家が福島原発電事故を中心にそれぞれの立場からその危険性といったん事故が起きた場合の影響の大きさから廃止すべきとの見解が書かれています。
考えさせられたのは今回の原発事故が津波ではなく地震そのものに起因している可能性を指摘している点です。
先日、東電から公表された「福島原子力事故調査報告書(中間報告書)」では、事故の主原因は津波としており、地震から津波の到達までは電源喪失はあったものの重大な損傷はなくバックアップ電源により原子炉は確実に停止し冷却の段階に入っていたとしています。
参考:福島原子力事故調査 中間報告書の公表について (2011.12.02)/東京電力
「原発を終わらせる」と東電の事故原因の考察は違ったものになっていて、恐らく主な原因をどこに置くかで、今後の原発の可否も含めて対応や対策が大きく違ってくると思います。
原子力発電について様々な見解が様々なところから、これから示されると思います。
そうして僕ら一人ひとりが判断を求められ、覚悟を決めなければならないのでしょう。難しことだけどね。
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執筆者
01 福島第一原発事故(田中三彦、後藤政志、鎌田 遵)
02 原発の何が問題か ー 科学・技術的側面から(上澤千尋、井野博満、今中哲二、石橋克彦)
03 原発の何が問題か ー 社会的側面から(吉岡 斉、伊藤久雄、田窪雅文)
04 原発をどう終わらせるか(飯田哲也、清水修二、諸富 徹、山口幸夫)
原発を終わらせる/石橋克彦 編 (Ishibashi Katuhiko)/岩波書店(岩波新書)/2011
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