iPadで電子書籍を読んでみた
本はページを追って読んでいるのだけれど、時にページを遡ったり進めたりして読むことがあります。
そんな読み方は電子書籍ではできるのだろうかと思って、どちらかというと僕は電子書籍に否定的でした。本はやっぱり紙だよね…
でも、本は場所をとるしおまけに重いから、狭い家に住んでいると、収納に苦労します。収納スペースのことを考えると、電子書籍もありかなと思ったりもします。
それで、iPadを買ったこともあり電子書籍を読んでみました。
最初にApp Storeで買ったのが村上 龍の「歌うクジラ」です。
村上 龍は折にふれて読んできた作家だし、電子書籍には積極的だから、彼がどんな感じで電子化するのか興味がありました。
それはそうと、村上は電子書籍会社を立ち上げるそうですね。朝日新聞が報じていました。
「歌うクジラ」は横書きで書かれています。紙の書籍版は縦書きですが、横書きが書き手や読み手に何か影響を与えるのか、少し興味があります。
また、表示はiPadの縦位置専用で、拡大表示にも対応していません(バージョンアップでそれらの機能が追加されるかもしれないけど)が、読むのは苦にはなりませんでした。
また、音楽が流れるページがあり、音楽は坂本龍一が担当しています。
静かな部屋で読んでいて、ページをめくると突然音楽が流れてビックとします。音楽が流れることには賛否があると思います。自分のリズムで読んでいるときに、音楽が邪魔をすることもあるしね。
まぁ、スピーカーをオフにしておけばいいのだけれど。
電子書籍ならではという機能は音楽が流れることくらいで、目立った特徴はありません。
単行本の「歌うクジラ」は、上下巻合わせて3,360円、iPad版は1,500円と電子書籍のほうが半額以下です。
小説の内容は僕の好みにはあいませんでした。
・ 歌うクジラ/村上 龍 /クレオ/2010/P339
岩崎夏海の「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」(もしドラ)は、ベストセラーだそうです。小説としては、ストーリーや言葉の選び方、使い方など凡庸と感じました。
ただ、経済にあまり興味のない僕がピーター・ドラッカーを何冊か読んでみようと思ったから、ドラッカーの入門書・導入書としては成功しているのでしょう。
「もしドラ」は縦書きです。縦位置にも横位置にも対応していて、縦位置では1ページが、横位置では2ページが表示されます。文章の拡大には対応していないようですが、読むのは苦になりません。
また、文章にマーカーを引いたり、Goo辞書やWikipediaで調べることができます。こういったところが電子書籍ならではかな。
なお、単行本の「もしドラ」は1,680円、iPad版は800円で、やはり電子書籍が半額以下の値段です。
・ もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら/岩崎夏海/ダイヤモンド社/2009/P100
・ もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら/岩崎夏海/ダイヤモンド社/2009/P100-101
「草枕」は言わずと知れた夏目漱石の代表作のひとつです。「草枕」は、何故か気になる作品で、何年かに1回、読み返しています。
漱石の芸術論ですね。
「草枕」は、著作権が消滅した書籍を扱う青空文庫なので本自体は無料です。
青空文庫をiPadで読むためのインターフェース、"i文庫HD"が800円で提供されています。このi文庫HDは、なかなか使いやすいソフトです。
縦位置では1ページ表示、横位置では2ページ表示になって、縦書き横書きのどちらにも対応し、明朝とゴシックのフォントを選べたり、文字の大きさを変えることができます。
また、辞書の検索やしおりにメモができ、便利に使えます。ただ、文章にルビが振ってあるけれど、ルビの非表示はできないようです。
・ 草枕/夏目漱石/青空文庫/1999/P6-7
電子書籍を数冊読んだだけだけど、思ったほど読みにくくはなかったし、書籍の形態として電子書籍もありかなと思います。
ただ、まだ、規格は書籍によってまちまちだだから使い勝手はこれからかなと感じました。
それと、せっかく電子化してインターネットともつながっているのだから、電子書籍ならではというのもがあってもいいと思います。辞書とリンクしていることなんかにその一端を感じるけれど、もっとダイナミックなつながり方があるんじゃないかな。
個人的には、引用元や原典にリンクし読めるようになれば面白いと思います。著作権などクリアしなければならない問題は多いのでしょうが…
村上龍さん、電子書籍会社を設立へ 他の作家の作品も
作家の村上龍さんが電子書籍を制作・販売する会社を設立することが2日、分かった。村上さんだけでなく他の作家の作品も扱い、よしもとばななさんの未発表短編なども販売する。4日に村上さんらが記者会見をする。
新会社「G2010」は村上龍さんと、電子書籍版「歌うクジラ」などを手がけたデジタルコンテンツ制作・配信会社「グリオ」が出資する。
新会社は電子化にかかるコストを透明化し、フェアな売り上げ配分を徹底することを目指す。小説・エッセーなどの場合、著作権者には原則的に売り上げの30%から50%を支払う。村上さんの作品の場合、これまで紙の書籍を出してきた出版社と話し合い、原稿のデータ化や特別な共同作業があった場合にはそれに応じた対価を支払う。
2010/11/02/朝日新聞
・ MediaMarker
※ 「おすすめ度」は、Amazon.co.jpのカスタマーレビューにおけるおすすめ度です。
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