バイバイ、ブラックバード/伊坂幸太郎
「バイバイ、ブラックバード」というジャズのスタンダード曲のタイトルに惹かれて読み始めました。
この物語は、借金を返せなくなった星野という男がバスに乗せられて何処かへ連れて行かれる前に、付き合っている女性に別れを告げるという話です。
その付き合っている女性が5人!そして、それぞれの女性がそれぞれに問題を抱えています。
星野が付き合っている女性が5人というのもすごいけれど、わざわざ別れを告げに行くというのもすごい。さらに、彼女らが抱えている問題を少しでも解決しようとするのって、要らぬお節介だよね。
でも、それがどこかほのぼのとして切ないのは、伊坂幸太郎ならではなのかな。
星野がバスに乗せられるまで、逃げないように監視し行動を共にするのが、繭美という巨漢で暴力的でデリカシーのない女性です。
そして、繭美はことあるごとに「常識」とか「気遣い」とか「マナー」とか様々な肯定的な言葉をサインペンで塗りつぶしてある辞書を見せます。
「辞書」が最後の最後で物語全体を見通す大きな意味を持ちます。ああ、そうだったんだと。
読んでいて、繭美は伊坂の「死神の精度」にでてくる死神に似ているなぁとふと感じました。
「バイバイ、ブラックバード」は、星野と女性たちの物語であるけれど、繭美の物語でもあるんですね。
バイバイ、ブラックバード
伊坂幸太郎(Isaka Kotaro)/双葉社/2010
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