ワクチン接種に踏み切る宮崎県の口蹄疫対策
宮崎県の牛や豚で発生している口蹄疫について、防疫体制が敷かれた後は、ウイルスの潜伏期間が過ぎ発病するものはあっても、徐々に終息していくものと僕は思っていました。
しかし、その後も新たな発生が続き、農林水産省の発表では、5月20日現在、146例、125,266頭(牛 95例 13,758頭、豚 52例 111,503頭、山羊 3例 5頭)になっています。
1例目の都農町の繁殖牛で感染が判明したのが4月20日で、それから1ヶ月経過した時点でも、感染が拡大しています。と言うことは、防疫体制が敷かれる前に地域内のウイルス密度がすでに高まっていて、防疫体制をすり抜け、新たな感染が続いているのかな。
ただ、発生場所は、まだ、川南町、都農町、高鍋町、新富町、(西都市(疑い事例))の地域とえびの市の2地域にとどまっています。
そこで、農林水産省は地域内からウイルスを一掃するため、えびの市を除く移動制限区域の半径10km内の牛や豚はすべて殺処分、搬出制限区域の半径10〜20kmは早期出荷して、地域内から牛や豚をいったんいなくするそうです。
ただ、殺処分される牛や豚は20万頭にもなり、現在も不足している埋却場所を探す時間を稼ぐため、事前に殺処分される牛や豚にワクチンを接種し、殺処分までのウイルスの排出量を少なくするようです。
ただ、搬出制限区域内の早期出荷される牛や豚が口蹄疫に感染していないことをどうやって確認するのだろう?
それと、野性のシカやイノシシまで感染が拡大していないんだろうか。
そんなことを疑問に思いました。
この方法で確実にウイルスが一掃されるかわからないけれど、今考えられる最善の方法だろうから、うまくいって欲しいなぁ。
それにしても、2007年年初の鳥インフルエンザH5N1亜型にしろ、今回の口蹄疫にしろ、宮崎県は重大な家畜伝染病に見舞われ、関係者の御苦労は相当のものと思います。
関連エントリー:高病原性鳥インフルエンザ感染経路究明チームの報告書は、推理小説のようで面白い (2007.10.25)
参考資料
・ 口蹄疫ウイルスと口蹄疫の病性について/村上洋介(農林水産省家畜衛生試験場)
・ 口蹄疫に関する情報/農林水産省
10キロ圏の全頭殺処分決定=新たに20万頭、全額補償も―政府、口蹄疫で新対策
宮崎県で口蹄(こうてい)疫の被害が拡大している問題で、政府は19日、首相官邸で「口蹄疫対策本部」(本部長・鳩山由紀夫首相)を開き、新たな口蹄疫対策をまとめた。発生地から半径10キロ圏内の全頭の家畜にワクチンを投与した上で殺処分することを決定。これにより約20万頭の牛や豚が新たに殺処分されることになる。また、10~20キロ圏内の農家に家畜の早期出荷を促す。さらに、感染により家畜を殺処分した農家に対し、特別交付税を活用して国が全額補償することも決めた。感染地域の広がりを抑えるとともに、経済的に厳しい状況に直面している農家を支援する。
赤松広隆農林水産相は同日記者会見し、今回の対策について「(口蹄疫を)とにかく抑え込み、清浄化させるのが重要だ。全力を挙げる」と強調。費用に関しては「少なくとも300億~400億円かかる」との見通しを示した。平野博文官房長官は「足りないなら迅速に追加していく決意だ」と述べ、必要に応じてさらなる対策を検討する意向を示した。
口蹄疫対策でワクチンを使用するのは国内で初めて。殺処分の対象は、初めて口蹄疫への感染が確認され、拡大を続ける都農町や川南町などの地域。農水省によると、殺処分の対象は牛が約5万頭、豚が約15万5000頭。農家には殺処分奨励金と経営再開のための支援金を交付する。
また、10~20キロ圏内の家畜については、感染地域との緩衝地帯とするため、家畜が未成熟でも農家に早期出荷を促す。このエリアでは牛が約1万6000頭、豚が約1万5000頭。対象の農家には早期出荷により価値が低下した分を補てん、経営再開支援金も支払う。
ただ、感染例が出ているえびの市に対しては地元の慎重な意見を踏まえ、今回は殺処分や早期出荷の対象外とする。今後、現地の対策本部で対応を協議する。
感染により家畜を殺処分した農家に対しては現在、国が家畜の評価額の8割を支援金として交付している。これについては標準評価額を定め、概算払いを行う。残り2割は、宮崎県が見舞金などとして農家に支払い、全額を国が特別交付税で措置する。
このほか、殺処分された家畜を埋めるための用地を円滑に確保していくほか、獣医師や自衛隊員などの増員も決めた。
2010/05/19/時事通信
西都市で口蹄疫症状の牛 種牛6頭の避難先
宮崎県西都市は21日、市内の農場で口蹄疫の症状がある牛1頭が見つかったことを明らかにした。動物衛生研究所による遺伝子検査の結果はまだ出ていないが、同農場で飼育する牛約200頭を処分する方針。遺伝子検査で感染疑いが確認されれば、同市で初の疑い例となる。
西都市は、既に被害が出ている同県新富町の西側に隣接。市内には宮崎県が種牛6頭を避難させた仮設牛舎があるが、今回の農場から10キロ以上離れているという。
西都市によると、20日午前11時ごろ、発熱した牛がいると農場から宮崎家畜保健衛生所に通報があった。立ち入り検査で採取した検体を、東京にある動物衛生研究所関連施設に送った。
2010/05/21/共同通信
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