パンデミックH1N1 2009とスペインインフルエンザ
時事通信にインフルエンザの免疫について、米国立衛生研究所と米疾病対策センターの研究チームの興味深い研究結果が掲載されていました。
それは、インフルエンザウイルスがヒトの細胞内に侵入する際に使うウイルス表面のたんぱく質ヘマグルチニン(HA)の形状が、パンデミックH1N1 2009(新型インフルエンザ)やスペインインフルエンザ(A/H1N1)と季節性インフルエンザとでは違っているということです。
パンデミックH1N1 2009とスペインインフルエンザでは、HAに糖鎖のカバーがないのに対し、毎年流行を繰り返す季節性インフルエンザには、カバーがあるとのこと。
インフルエンザがヒトの間で感染を繰り返すうちに、HAに対する免疫抗体を持ったヒトが増えて、大流行をしづらくなります。それに対抗するためウイルスは、そのHAにカバーをつけ抗体の対応をしにくくしているということかな。
これは、アジアインフルエンザ(A/H2N2)や香港インフルエンザ(A/H3N2)が新型として登場した当初にもあったのだろうか。
ヒトへ侵入優先か、抗体防御か=新型インフルと季節性の違い解明-米チーム
新型インフルエンザや1918年に大流行したスペイン風邪を、同じタイプの季節性インフルエンザと比べると、ウイルスの表面にあってヒト細胞への侵入に使うスパイク状のたんぱく質「ヘマグルチニン」の頭部2カ所に大きな違いがあることが分かった。新型などには糖鎖の「カバー」がなく、侵入しやすさを優先しているのに対し、季節性ウイルスは少なくとも1カ所にカバーを付けることで、ヒトの免疫抗体に邪魔されないよう、防御していた。
米国立衛生研究所(NIH)と疾病対策センター(CDC)の研究チームが26日までに、米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン電子版に発表した。今後、このカバー部分を狙えば、ワクチンを効率良く開発できる可能性があるという。
スペイン風邪世代の高齢者は、新型に免疫があることが明らかになっているが、研究チームはマウスの実験で、免疫抗体に互換性があることを確認した。一方、新型などと季節性ウイルスとの間では、互換性がなかった。季節性ウイルスは、スペイン風邪が流行した後、免疫を持つ人が増えたのに対応し、カバーを付けるように進化したと考えられるという。
新型も今後、カバーを付けるように変異する可能性がある。研究チームは、子供がワクチンで免疫を付けておけば、将来、再びカバーなしタイプのウイルスが出現した際に有効との見方を示した。
新型やスペイン風邪のウイルスは、A型のH1N1亜型に分類されるが、この「H」はヘマグルチニンのタイプを示している。
2010/03/26/時事通信
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