富士五湖の水は富士山周辺の表流水かもしれないという話
朝日新聞に山梨県環境科学研究所の”えっ!?”と思うような研究結果が載っていました。
富士五湖(山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖)の水や白糸の滝や忍野八海の湧き水のバナジウム含量を分析した結果、五湖の水は周辺の湧き水の12~120分の1だったそうです。
バナジウムを多く含む水は、美味しい水として特産品になっていますが、これは富士山に降った雨や雪が地中に浸透し伏流水となった時に水に混ざり、それが湧き水として出できたものです。
そのバナジウムの含量が少ないことから、五湖の水は、主に富士山周辺に降った雨や雪が地表を流れ、湖に注ぎ込んだものではないかという考察です。
五湖の水は、富士山に降った雨や雪がいったん地中深く浸透し、それが湧き水として浸み出してきたものだと思っていたので、この研究結果からの考察に、僕は意外だなぁと感じました。
まぁ、そのことによって富士山やその周辺の価値が変わるわけではないので、いいのだけどね。
富士五湖の水、本当にわき水? 成分ほとんど一致せず
富士山(3776メートル)に降った雨が長い年月をかけて地中をしみ通ってわき出した湖と伝えられてきた山梨県の富士五湖の定説が覆るかもしれない。同県環境科学研究所が、五つの湖の水と、周辺のわき水の成分を分析したところ、ほとんど一致しないことが分かった。富士五湖の水はどうやら、地中深く流れる「伏流水」ではなく、富士山の表面を流れてきた水らしい、という。
調査は10年前から研究所が実施してきた。五つの湖の場所も深さも異なる42地点の水と、やはり富士山のふもとにある白糸の滝(静岡県富士宮市)や忍野八海(おしのはっかい、山梨県忍野村)のわき水や地下水10カ所を比べた。忍野八海は、日本の名水100選に選ばれている。
決め手となったのは、微量元素「バナジウム」だった。富士山のわき水は、伏流水が玄武岩の間を数十年にわたってゆっくり流れるうちにバナジウムを多く含んで地上に出てくるとされる。
研究所は富士山天然水ブームの火付け役ともなったこの成分に着目して比較したところ、湖水のバナジウム含有量はわき水の12~120分の1と極端に少なかった。リンの濃度も、湖水はわき水の10分の1以下で、明らかに水質が異なっていた。この結果から、富士五湖の水は富士山の山肌から流れ込む雨水がたまったものとみられるという。
同研究所によると、富士山の伏流水は、富士五湖よりさらに深い場所を流れていることが推測される。調査を担当した同研究所自然環境・富士山火山研究部の輿水達司部長は「これまでの富士山の常識が覆ることになるかもしれないが、五湖の水は、ほとんどが地表を流れてきた雨水や雪解け水だ」と話す。
従来、富士五湖の水は富士山の伏流水というのが定説で、ガイドブックなどでもそう紹介されてきた。定説が見直されることについて、富士山観光の拠点・山梨県立富士ビジターセンター(富士河口湖町)の職員は「伏流水ではなくても、多くの観光客が訪れる湖の魅力は変わらない」と話している。
2010/03/16/朝日新聞
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