良い談合と悪い談合、奥行きのある議論かもしれないね
亀井静香金融担当大臣と公正取引委員会の委員長他幹部と「いい談合、悪い談合」で議論を交わしたそうです。朝日新聞が報じていました。
新聞報道なのでどこまで正確に内容を伝えているのかわからないけれど、亀井大臣は、資本力のある大企業が採算割れをするような価格で応札する入札が行われるので、中小企業は受注できない状況になる。亀井さんが言う「いい談合」とは、大企業と中小企業を同じ土俵で競争させたら中小企業が負けるから、ある程度、制限が必要だろうということかな?
公正取引委員会とすれば、談合で不当に高く受注されることと過当競争が行われることは別の問題で、それぞれを監視し取り締まっていけばいいのではといった考えなのかもしれません。
亀井さんの真意は分からないけれど、「いい談合、悪い談合」といった言葉は刺激的で誤解を生むかもしれません。
でも、これは奥の深い問題のように思います。
採算割れをするような過当な競争は長くは続かないし、最終的には寡占状態になるだろうから、なんらかの方法で価格の健全性を維持して行かなければならないだろうから。
ところで、談合を法的にどこで禁止しているのか調べたら独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)の第3条でした。
もう少しあれこれ条文が書かれていると思ったら、これがシンプル、「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」とあるだけです。
再生産が可能な仕組みづくりが必要なんだよね。
独占禁止法の規制内容
独占禁止法は,私的独占,不当な取引制限(カルテル,入札談合等),不公正な取引方法などの行為を規制しています。
2. 不当な取引制限について
不当な取引制限は,独占禁止法第3条で禁止されている行為です。不当な取引制限に該当する行為には,「カルテル」と「入札談合」があります。「カルテル」は,事業者又は業界団体の構成事業者が相互に連絡を取り合い,本来,各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを共同で取り決める行為です。「入札談合」は,国や地方公共団体などの公共工事や物品の公共調達に関する入札に際し,事前に,受注事業者や受注金額などを決めてしまう行為です。
公正取引委員会
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 昭和22年法律第54号
第2条第6項 この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
第3条 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。
談合は、高度成長期の物価が右肩上がりに上昇している時は、余り問題にされなかったのかもしれません。
役所は、入札予定価格を直近の物価や同種の入札結果などから決めると思います。一方、業者は予定価格に限りなく近い金額で受注したいから、談合によって誰が予定価格に近い金額を入れるかを決めるのかも。
ただ、実際、工事などを施工するときは予定価格を決めた時より物価が上がっているし、業者も談合によりある程度、安定して仕事を受注できるのでそれはそれでよかったのかもしれませんね。
でも、今は物価が上昇するような経済じゃないし、税収だって伸びない時代だから、競争によりより安く公共事業を行うのが当然のことでしょう。
問題は競争がどこまで許されるかてことだと思います。コストダウンするために、過度に人件費や研究開発費が削られたりすれば、将来の発展がないものね。
「良い談合ある」「だめです」 亀井氏と公取委が火花
「中小企業が助け合う『良い談合』を推奨する」とかねて言っている亀井静香金融相と、談合を取り締まる公正取引委員会の竹島一彦委員長ら幹部が21日夕、金融庁で「火花」を散らした。そもそも、所管大臣のいない公取委の幹部が大臣に呼び出されるのは異例だという。
金融庁17階の大臣室。
「良い談合、悪い談合というものはありません。談合はだめです」(竹島委員長)
「日本の生活文化の中で、適正な受発注が行われるわけで、それを考えてくれ」(亀井氏)
談合は、公共事業などの競争入札で、業者らが水面下で話し合い、どの業者が仕事を取るかを決めること。独占禁止法などに違反するが、亀井氏は様々な場で「良い談合もある」と繰り返してきた。代表を務める国民新党の政権公約にも「明るく正しい良き談合の仕組みをつくる」と書いているほどだ。
06年4月、衆院国土交通委員会に公取委を呼んだ亀井氏の質問をたどってみると、大企業が利益を独占するのを「悪い談合」、地方の中小企業が仕事を分け合うのを「良い談合」と考えているようだ。
一方、「企業が競い合うことで、より良い技術や商品が生まれ、経済の成長にもつながる」というのが公取委の考え方だ。旧大蔵(現財務)官僚出身の竹島委員長はその筆頭。就任は小泉首相時代の02年で、経済界には「競争原理主義者」の声さえある。
出席者らによると、結局、談合論議は深まることなく、亀井氏が、大企業が中小企業に対して不当に不利益を与える独禁法の「優越的な地位の乱用」や、不当に下請け代金を値引きさせる下請法違反などの取り締まりに力を入れるよう求めて終わったという。
亀井氏の「良い談合」論について、談合を摘発された企業の代理人弁護士は「地方、特に中小企業の談合の摘発は控えるべきだ」と理解を示す。摘発を受ければ高額の課徴金に加え、地元の自治体など発注する官庁から指名停止処分も受けるからだ。「倒れてしまう業者も少なくない」と言う。
一方、公取委の幹部は「良い談合論には、そのお金がだれのものか、という発想が欠けている。それは国民であり、消費者なのだ」と批判。談合で業者は潤うが、競争するより高額で公共工事が発注されることになるという。
公取委の「実績」を08年度でみてみると、談合やカルテルなど独禁法違反17件を摘発。のべ87社に約270億円の課徴金の支払いを命じた。また、下請法違反を認定して親会社などに勧告したのは15件。不当に下請け代金が減額されたとして、親会社50社から下請け2022社に、約29億円が返還された。
2009/10/22/朝日新聞
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