単純な脳、複雑な「私」/池谷裕二
以前、このブログでも紹介した池谷裕二の「進化しすぎた脳」は、ニューヨークの邦人高校生に行った大脳生理学の講義を本にしたものでした。
今回、紹介する「単純な脳、複雑な「私」」は、池谷の母校(静岡県立藤枝東高)の生徒に対し、最新の研究結果などをもとに脳のシステムの講義をまとめたものです。
全校生徒に対して行った講演と、希望した生徒9人対する3日の連続講義の構成にまとめられています。
「進化しすぎた脳」同様、面白いです。
神経細胞(ニューロン)ひとつひとつは、単純なことしかしていないのに、ネットワークとして機能すると複雑な処理をする、すごいと思うとともに不思議さを感じます。
感覚器から入った情報、過去の記憶などを総合的に処理し、無意識のうちに予測しているのだから、錯覚や思い違いは起こるべくして起こるのですね。
講義で使われた動画などは、下記のURLで実際に見ることができます。
url:http://www.asahipress.com/brain/
ふと、外山滋比古の「思考の整理学」で漠然と脳の機能として書かれていることが、この本で紹介される実験データや考察に合致するんだなぁと思いました。
単純な脳、複雑な「私」 - または、自分を使い回しながら進化した脳をめぐる4つの講義
池谷裕二 (Ikegaya Yuji)/朝日出版社/2009
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