プレパンデミックワクチン(鳥インフルエンザ)の副反応
インフルエンザワクチンといっても、今、話題になっているパンデミックH1N1 2009(新型インフルエンザ)用のワクチンでなくて鳥インフルエンザが新型インフルエンザに変異した時のためのプレパンデミックワクチンの話です。
情報を掲載した朝日新聞には「強毒の鳥インフルエンザの変異」とあるだけだけど、鳥インフルエンザA/H5N1亜型の新型インフルエンザへの変異に対応したプレパンデミックワクチンだと思います。
三重県予防センター長のグループのこのプレパンデミックワクチンの臨床試験によると、熱性けいれんなどの重症例はないものの、2歳以下の7割以上、3~6割強が37.5℃以上の副反応などが出たとのことです。
一方、ワクチン接種の効果は9割と判断されるとのことです。
大人を対象とした試験では発熱は2%程度というので、副反応の原因の究明やワクチンの改善などがこれから進められるのでしょう。
鳥インフルエンザA/H5N1が人に感染した場合の致死率は、今のところ59%と非常に高率です。このウイルスが人から人へ容易に感染する新型インフルエンザに変異したとき、病原性がどの程度になるかわかりません。
ただ、病原性を維持したまま新型に変異した場合、プレパンデミックワクチンを打つことの効果が副反応などのリスクよりも遥かに大きくなるのでしょうね。
まあ、H5N1の新型インフルエンザは、まだ、出現していないわけで、プレパンデミックワクチンは次善の策ではあるけれど。
今年に入ってから鳥インフルエンザH5N1の人への感染は、インドネシアやベトナムに替わってエジプトが増えています。ただ、エジプトの致死率は31%(2009年は11% 2009.09.24現在)と低い(季節性やパンデミックH1N1 2009 に比べれば遥かに高いですが)ものになっています。この原因は、何なんだろう。H5N1が病原性を低下させる方向で変異をしているのならいいのだけど。
ところで、朝日新聞はいまだに、現在、感染拡大をしているインフルエンザをパンデミックH1N1 2009とか新型インフルエンザと呼ばず、「新型の豚インフルエンザ」と呼ぶのだろう。
関連エントリー
・ パンデミックH1N1 2009の致死率が低いのは病原性が低いから? (2009.09.05)
・ 豚インフルエンザの真実/外岡立人 (2009.09.03)
・ 朝日新聞は何故、パンデミックH1N1 2009 を豚インフルエンザと呼ぶのだろう? (2009.08.22)
鳥インフルワクチン、6割の幼児が接種後発熱 臨床試験
強毒の鳥インフルエンザの変異による大流行に備えたワクチンの臨床試験で、接種した小児の6割が37.5度以上の熱を出していたことがわかった。入院などが必要になるほど重い副作用につながった子はおらず、ワクチンの効果は9割で確かめられた。
試験を実施した神谷斉(ひとし)・三重県予防接種センター長らのグループが、米微生物学会の会議で発表した。
神谷さんは「ワクチン接種後の一時的な発熱は欧米では許容されているが、日本の子どもの保護者は慣れていない。発熱を減らす製法の工夫などが必要だろう」という。
ワクチンは鳥インフルの患者が目立つアジア地域のウイルス株をもとに、国内2社が製造。海外企業と製法は違うが、小児の臨床試験は例がなく結果が注目されていた。
臨床試験は、国内2社のワクチンを対象に日本医師会の協力で、生後6カ月~19歳の187人ずつ実施。打つ量は年齢によって異なるが、全員2回ずつ打った。
1回目に打った後、2歳以下の7割以上、3~6歳の6割強が、37.5度以上の熱を出した。39度台、40度台の高熱の子もいたが、熱性けいれんなどの重症例はなかった。
1回目の後、頭痛の訴えは2割強。倦怠(けんたい)感や嘔吐(おうと)も1割前後いた。打った部位に痛みを感じた子は4割ほどで、赤く腫れたのは2割ほど。
これに対し、鳥インフルへの免疫力をみる指標(抗体)が、打つ前の4倍以上となり、効果があると判断されたのは9割を占めた。
今回のワクチンには、免疫補助剤が入っている。季節性インフルや、いま政府が打つ準備を進める国内産の新型の豚インフルワクチンには入っていない。免疫補助剤で効果が高まったが、発熱などの反応も強く出たと見られている。ただ、5500人の大人を対象にした臨床試験では発熱は2%。大人と違う理由ははっきりしない。
2009/10/05/朝日新聞
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