パンデミックワクチンの接種の優先順位の議論が始まった
パンデミックH1N1 2009(新型インフルエンザ)のワクチンの初期の供給量が少ない中、誰に接種するのか議論(新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会 厚生労働省 2009.08.20開催 27開催予定)が始まったようです。毎日新聞が報じていました。
また、時事通信によれば年内に用意できるワクチンは、1300万~1700万人分だそうです。日本の人口を12,761万人(2009.02.01現在/総務省)として単純計算すれば、年内は10人に1人程度接種が可能になります。
新型インフルエンザとして想定されている鳥インフルエンザH5N1よりも病原性が遥かに低い今回のパンデミックインフルエンザ(鳥インフルエンザの致死率は現時点で60%、パンデミックH1N1 2009は0.5%(ユトレヒト大の推定))だから、ワクチンの接種の優先順位をめぐって社会的な問題になることは少ないのかもしれません。
関連エントリ:パンデミックH1N1 2009 の致死率は0.5%との推定 (2009.08.19)
ただ、接種の優先順位は受益者を選別することにもなるから、様々な意見が出るでしょうね。そして、結論に対する十分な説明が大切だと思います。
優先順位の上位として、治療に当たる医師や看護師の優先順位が高いのは当然だよね。それと、基礎的疾患のある人や妊婦など感染した場合に重症化するリスクの高い人や、子どもや高齢者などの免疫力や体力が弱い人も。
僕らの生活を支えてくれる警察、消防などもそうだし、電気、ガス、水道、交通関係はどうだろう。対策の方針を決定したり実行する政治家や公務員は?情報を伝えるマスコミは・・・
そう考えると、議論は百家争鳴、議論沸騰なんだろうな。
関連エントリー:プレパンデミックワクチン接種の優先順位 (2008.09.20)
現在も将来も社会的な貢献の少ない僕なんか優先順位は低いんだろうな。
じゃあ、どうするのか。
これから感染が拡大しウイルスが変異し病原性を強めたり(当然、低い病原性のままだったり、より病原性を弱める可能性もある)、タミフルなど治療薬に対する耐性を獲得する(当然、獲得しない可能性だってある)前に感染し免疫をつけておく(これは暴論です。感染した場合のリスクがあるし、ウイルスを他人に広め感染を拡大させる恐れがあります。)か、感染しないように手洗いを十分して人ごみをさけ、ワクチンが十分量確保されるまでウイルスから逃げて回るか・・・
どうしたらいいんだろうね。
だた、このパンデミックワクチンの接種効果はどの程度あるのだろう。接種したから必ず発病しないというこはないだろうけれど、副作用はどの程度なのだろう。
1976年に米国で豚インフルエンザが発生した時、その対策ワクチンの副作用が問題になったこともあるから、少し気になるところです。勿論、それを教訓にして今回のワクチンの安全性は検証されているだろし、副作用はどんな薬にもつきもので100%の安全なんてないから、得られる効果と被るリスクを天秤にかけての判断だろうけどね。
まあ、あわてず騒がず、情報を選別し(多分、やたらと危険をあおる情報や非難するだけの非建設的な情報も発信されるでしょう)、自然体にってところかな。
新型インフル:妊婦や若年層の接種が争点に ワクチン順位
国内で新型インフルエンザワクチンの接種を巡る議論が始まった。海外でも重症化のリスクが高い人や医療関係者に優先的に接種する方向で議論が進んでいるが、国内では新型の重症化のリスクが高いとされる妊婦や、若年層への接種が議論の争点になりそうだ。
世界保健機関(WHO)が7月に出した勧告では、新型のワクチンについて「必要な医療体制を維持するため」として、優先順位の筆頭に医療従事者を挙げた。その上で妊婦や慢性的な持病がある生後6カ月以上の人などを考慮するよう提案した。しかし、国内で安全性に対するデータの蓄積が不十分だとして、国は妊婦に季節性インフルエンザのワクチン接種を勧奨していない。また、若年層については、季節性ではあまりみられない入院例が相次いでいるため、「ワクチンで発症数を抑えなければ、現場の医療機関がパンクする」との懸念が出されている。しかし若年層を接種対象に含めれば必要なワクチンの量が大幅に増えるため、輸入の是非も含めて確保策が議論になる。
一方、米疾病対策センター(CDC)は「初期段階では限られた量しかワクチンが利用できない可能性がある」として妊婦▽6カ月未満の乳児の同居者 ▽患者と接する医療従事者▽6カ月~4歳の小児▽5~18歳までの慢性の持病を持つ小児--の優先接種を勧告した。さらに65歳以上の高齢者は新型の感染リスクが若者より低いとして、「若年者への供給が満たされたときに65歳以上に提供すべきだ」と指摘している。
この他、独や韓国は警察、消防、救急隊員も対象者に挙げた。
2009/08/20/毎日新聞
ワクチン優先順位、来月にも決定=医師や患者団体が議論-厚労省
厚生労働省は20日、医師や患者団体関係者による「新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会」を開き、ワクチン接種の優先順位について議論を始めた。政府対策本部の専門家諮問委員会などにも意見を求め、来月にも優先順位を決める見通し。接種は10月以降になるとみられている。
出席者は「死亡者を減らすことが目的」として、呼吸器疾患や糖尿病などの持病がある重症化リスクが高い人を優先すべきとの意見でおおむね一致。感染者の治療に当たる医師や看護師を優先すべきとの声も相次いだ。
一方、感染者が多い10代が大勢入院することになれば、病院がリスクの高い人を受け入れることができなくなるとして、10代の接種を求める意見も医師から出された。
新型インフルは既に流行入りした可能性があり、秋冬には感染者がさらに増える見通し。年内に準備できるワクチンは当初2500万人分程度とみられていたが、増殖力が弱く1300万~1700万人分に下方修正。接種の優先順位決定が急がれている。
2009/08/20/時事通信
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