パンデミックH1N1 2009 のワクチン不足には冷静に対応しなきゃね
本来ならインフルエンザウイルスの感染力が弱まる高温・多湿の夏になっても、国内のパンデミックH1N1 2009(新型インフルエンザ)の感染が広がっているようです。
沖縄と神戸では、パンデミックウイルスの感染により亡くなられる人(亡くなられた人はふたりとも持病があり、インフルエンザに感染した場合に重症化するリスクを負っていたそうです。)が出たり、秋以降のインフルエンザシーズンにむけて少々、気になる状況です。
WHOの解説(Pandemic (H1N1) 2009 - update 61)によると世界的に広がっているインフルエンザは、南アフリカの例外があるもののパンデミックウイルスが主流になっているようです。
国内の現在発生しているインフルエンザのほとんどが、パンデミックウイルスであるという報道もあります。
パンデミックH1N1 2009が、高温・多湿でも感染力を持っているのか、このウイルスに対し免疫を持っている人が少ないからなのかわかりませんが、今、夏の南半球でもパンデミックウイルスが広がっていることから、秋以降、インフルエンザシーズンをむかえる日本でも、パンデミックウイルスが主流になるかもしれませんね。
仮に、この秋以降、パンデミックウイルスの第2波の感染拡大が広がった時、タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬や製造が進められているワクチンが、積極的な対抗策になると思います。
タミフルについては、まだ広がりをみせてはいませんがタミフル耐性のパンデミックウイルスが確認されていて、少し気になるところです。
関連エントリー:パンデミック・インフルエンザ H1N1 2009は、秋以降どうなるのだろう? (2009.08.09)
一方、ワクチンについては供給力に対する不安(接種を希望する人すべてにワクチンが接種できない)があります。
ワクチンは、季節性のインフルエンザワクチンでも接種したから100%インフルエンザに感染しないとも限らないから、パンデミックワクチンの実際の効果は今のところよくはわかりませんが、有効な対抗手段のひとつであるのだと思います。
パンデミックワクチンの十分な量が確保できない場合は、接種の対象者に優先順位をつけて(例えば、想定される新型インフルエンザH5N1が発生した時のように)、医療関係者や感染したときに重篤な症状に陥りやすい人から接種をすることになるのでしょうね。
関連エントリー:プレパンデミックワクチン接種の優先順位 (2008.09.20)
その時には、パニックにならないように冷静に対応しなきゃね。
大流行に「備え」必要=死者受け、専門家ら指摘-新型インフル
国内で新型インフルエンザ患者が確認されてから3カ月余、ついに死者が出た。通常の季節性インフルエンザでも毎年多くの人が亡くなっており、流行が広がれば重症者や死者が出るのは時間の問題とみられていた。大半は軽症で済むため特段恐れる必要はないが、重症化しやすい人への感染機会を極力減らすとともに、適切な治療を提供できる体制の整備が重要となる。
世界保健機関(WHO)によると、6日までに約17万7000人の感染が確認され、このうち1462人が死亡。これまでの状況から、ぜんそくや心疾患といった持病のある人や、免疫が低下している妊婦などが重症化しやすいことが分かっている。
一方、極めて少数ながら若くて健康な成人も死亡している。季節性で高齢者によくみられる2次的な細菌性肺炎ではなく、ウイルスが直接作用するウイルス性肺炎が特徴だ。
国内では5000人以上の患者が確認されながら、8月中旬まで重症者はゼロだった。ほかの国と比べ非常に少なく、抗ウイルス薬治療の普及を理由に挙げる専門家もいる。WHOの進藤奈邦子医務官は先月、「まだ表面的な流行しか起きておらず、高リスクの人に届いていないため」としていた。
押谷仁東北大教授は「今はまだ地域で急速に広がっていない状況。重症者が出たときにどう対応するか、どう死者の数を減らすか、大流行への備えが必要だ」と話している。
2009/08/15/時事通信
インフルエンザ、流行目前=新型、夏でも感染拡大か
インフルエンザの患者がこの夏急増しており、全国的に流行入り目前となっていることが15日までに、国立感染症研究所(感染研)のまとめで分かった。ほとんどが今春登場した新型とみられ、季節性インフルエンザに比べて感染力が強く、夏にも感染が広がる恐れがあることが確認された格好だ。
中でも沖縄県では感染が拡大しており、慢性腎不全を患っていた男性(57)が同日、新型インフルエンザに感染し死亡した。
感染研によると、7月27日から8月2日までの週に約4800カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者は2655人で、1カ所あたり0.56人。4週連続で増え続けており、今後1人を超えると流行入りとみなされる。
沖縄県は11.79人と、流行の本格化が警戒されるレベルに達した。「医療機関には年末年始並みに患者が殺到している」と、同県の糸数公結核感染症班班長。「検査で判明する95%以上が新型」という。
一般にインフルエンザウイルスは高温や湿気に弱い。夏でも患者は発生するものの、大規模な流行になることはまずなかった。沖縄では夏に流行入りした年もあったが、今回は大阪府内でも定点当たりの報告数が10人を超えた地域があるなど、全国的に流行入りする恐れがあるのが特徴だ。
感染研のまとめでは患者は10代が約4割、5~9歳が約2割を占め、児童生徒が中心。沖縄に次いで患者が多い大阪府の担当者によると、学校が休みでも部活やキャンプなど課外活動での集団感染がみられる。「夏の間に落ち着くことは期待できず、学校が始まった時が心配だ」と話す。
東京都の担当者も「学校が休みなのである程度抑えられている。今は若い人に集中しているが、社会の中で広がるようになると重症者も出てくる」と懸念。医療機関の準備は整えられつつあるが、「急激に増えると対応できないこともあり得る」とし、感染予防など一般向けの普及啓発に努めたいとしている。
2009/08/15/時事通信
神戸で新型インフル死者、透析治療中の70代男性
神戸市は18日、新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)に感染した同市垂水区の男性(77)が市内の病院で死亡したと発表した。
感染経路は不明。男性は糖尿病による腎不全で人工透析を受けていた。新型インフル感染者の死亡は、沖縄県宜野湾市の男性(57)に続き2例目で、市は国立感染症研究所に検体を送り、ウイルスの病原性などを調べる。
発表によると、男性は16日に38度の熱が出て、17日朝、市内の透析医院で受診。簡易検査でA型陰性だったが、肺炎の疑いがあるとして総合病院に入院した。
同日午後、再検査でA型陽性を示し、呼吸困難などの症状があったため、医師がタミフルを投与したが、18日午前6時20分、急性気管支炎による肺気腫の悪化で死亡した。約9時間後、遺伝子検査で新型インフルの陽性が確認された。
男性の家族や通院先の患者らに感染者は確認されていないという。
2009/08/18/読売新聞
Epidemiological Update on the Global Situation and Preliminary Overview of the Southern Hemisphere Winter Influenza Season (as of 6 August 2009)
Pandemic influenza H1N1 has now been reported in over 170 countries and territories worldwide. While the case counts no longer reflect actual disease activity, WHO is actively monitoring the progress of the pandemic through frequent consultations with the WHO Regional Offices and member states.
Of particular interest is the situation in temperate countries of the Southern Hemisphere, which are now passing through their winter season. This season, pandemic H1N1 has been the predominant influenza virus in nearly all of the temperate regions of Southern Hemisphere, with South Africa being a notable exception. Australia and countries in the southern part of South America experienced rapid increases in cases of pandemic influenza early in their winter season. These same areas are now starting to report decreases in the numbers of people seeking care and being admitted to hospital. Although the virus is still circulating in these areas as it moves into areas not affected earlier, the overall national trends are downward. South Africa, in contrast, experienced an early influenza season with a seasonal subtype, influenza A (H3N2). As the influenza season in South Africa reached its peak in early to mid June and began to decline, pandemic influenza H1N1 appeared and has now become the dominant subtype seen there as well.
In the temperate areas of the northern hemisphere which experienced early outbreaks of pandemic H1N1 influenza, including countries in North America and Europe, the virus continues to spread to new areas and cause intense local outbreaks. However, the overall national trend in cases is downward in the Americas.
Tropical regions of the world, which typically experience year round transmission of influenza viruses with peak transmission at different and often multiple times in a year, are now seeing increases in cases, for example in tropical areas of Central and South America and in South and South East Asia.
In summary, the overall picture of transmission globally is one of declining transmission in the temperate regions of the Southern Hemisphere with the exception of southern Africa. The season in these areas was characterized by rapid rise and fall of respiratory disease numbers, as is seen in a normal influenza season. The impact and severity of the season in these areas in terms of proportion of cases which developed severe disease and the load imposed on health care infrastructure is still being evaluated but generally appeared slightly worse than a normal influenza season in most places with increased hospitalization requiring respiratory critical care. The northern hemisphere is experiencing continued spread of the virus but declining activity is being observed in areas affected early in the course of the pandemic. Tropical areas of the world are now experiencing increasing numbers of cases at a time when the usual seasonal peaks would occur. As the pandemic H1N1 influenza virus is now the dominant strain in most areas of the world, it can be expected to persist into the coming influenza season in the Northern Hemisphere. Additionally, there is a risk of further spread of virus in highly populated areas as community spread starts occurring in Asia and Africa.
2009/08/06/Pandemic (H1N1) 2009 - update 61/WHO
ワクチン供給、9月開始の見通し WHO、新型インフル
世界保健機関(WHO)のキーニー・ワクチン研究部長は6日の記者会見で、新型インフルエンザ用ワクチンの供給が9月に開始されるとの見通しを明らかにした。WHOはこれまで、ワクチン供給時期を「9~10月」としていたが、オーストラリア、米国、英国、ドイツ、中国の5カ国で臨床試験が始まり、各国保健当局による最初の認可が9月前半にも出せる状態になってきたと説明した。
ただ、世界のインフルエンザワクチンの製造能力には限りがあり、供給当初は極端な品薄状態が予想されている。WHOは医療従事者への優先接種を推奨しているほか、各国当局は新型インフルエンザに感染した場合に重症に至る危険性が高い妊婦や既往症のある人も優先対象として検討する見込みだ。
欧米などの保健当局は、早期のワクチン流通に向け認可手続きを簡素化する構えも見せているが、キーニー部長は「安全性を犠牲にはできない」と述べ、認可に当たり十分な安全性確保に努めるよう各国に求めた。
また、WHOとしてもワクチン接種後の副作用の発生状況などを注視する姿勢を示した。
2009/08/07/共同通信
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