飛べないテントウムシ!
飛べないテントウムシを人為的に作って生物農薬として活用できないかという名古屋大学の研究グループの研究を、中日新聞が報じていました。
生物を利用した農薬として、ウイルスや細菌を事前に接種することにより病原性ウイルスやカビとの干渉や拮抗作用を利用したもの、昆虫の性フェロモンを利用し交信攪乱により交尾をする確率を減らすもの、昆虫やダニに寄生したり捕食したりするカビや昆虫・ダニなどの天敵生物を利用したものなど、様々なものが実用化されています。
よく知られているように、ナミテントウやナナホシテントウなど、テントウムシの中には幼虫や成虫が、植物に寄生するアブラムシを餌とする種類があります。
・ アブラムシを捕食するダンダラテントウの成虫(写真は翅のある正常なテントウムシです。念のため。)
今回の研究は、翅のないテントウムシを作って効率的にアブラムシを捕食させようってことだと思います。
新聞の情報だけでは詳しくはわからないけれど、研究の内容は、テントウムシの翅を作る遺伝子とその情報を伝達するRNAが発見され、このm-RNAを分解し働かないようにして、翅を作らせないようにすることなのでしょう。
遺伝子組み換えを行わないため、この作用は世代間の伝達はないようだから、将来的には翅のできない形質の持った幼虫を利用し、幼虫から成虫まで効率的にアブラムシを捕食する生物農薬の可能性があるのだろうね。
テントウムシの羽作る遺伝子発見 名古屋大研究グループ
名古屋大の研究グループは、テントウムシの羽を作る遺伝子を発見し、それを応用して、飛べないテントウムシを作り出すことに初めて成功した。このテントウムシを、害虫のアブラムシを食べる「生物農薬」として活用すれば、さらに効果が期待できるという。
名大大学院生命農学研究科の新美輝幸助教(資源昆虫学)と大学院生大出高弘氏らのグループで、英昆虫科学専門誌(21日付電子版)に掲載される。
昆虫の羽形成の中心遺伝子は「ベスティジアル(vg)遺伝子」と呼ばれる。これまではショウジョウバエでしか見つかっていなかったが、グループは、遺伝子配列の一部にショウジョウバエと似た部分を見つけ出し、テントウムシのvg遺伝子であることが分かった。
その上で、遺伝子のDNA指令を伝えるリボ核酸(RNA)を分解して働かないようにするため、同じ配列をした人工のRNAを幼虫に注入すると羽のない成虫になった。
このテントウムシは、アブラムシを食べるなど、羽がない以外は通常と同じだった。
グループによると、2006年にノーベル賞を受賞した「RNA干渉法」と呼ばれるこの方法は遺伝子を直接、組み換えないため、生態系に影響は与えず、交尾しても通常のテントウムシが生まれるという。
新美助教は「世界中で化学農薬による環境汚染が問題になっている。飛べないテントウムシのような新しい生物農薬ができれば、農業に寄与する可能性がある」と話している。
2009/07/22/中日新聞
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