パンデミックH1N1 2009に対する免疫は90歳以上?
現在、世界的にも日本国内でも感染が広がっているインフルエンザ、パンデミックH1N1 2009について、高齢者が免疫を持っているという調査の結果がいくつか報告されています。
以前に本ブログでも紹介したCDCや国立感染症研究所の調査では、1957年のアジアインフルエンザ(アジア風邪)A/H2N2が発生する前に生まれた人の一部にパンデミックH1N1 2009に対し抗体を持っているという結果です。
今回、報じられている東大医科学研究所の調査結果では、1918年のスペインインフルエンザ(スペイン風邪)A/H1N1が発生する前に生まれた人の一部にこのウイルスに対する抗体が確認されたとのことです。
パンデミックH1N1 2009に対する抗体があるということは、以前にこのウイルスに類似したウイルスに感染した経験があるということで、ある年を境に抗体の有無がわかれるという面白い結果です。
その境目が、スペインインフルエンザの発生以前かアジアインフルエンザ発生以前かというふた通りの調査結果が出ているところも興味深いですね。
パンデミックH1N1 2009は豚インフルエンザH1N1が変異したものだと言われています。
その豚インフルエンザにスペインインフルエンザH1N1の一部分が引き継がれて、さらにパンデミックH1N1 2009に引き継がれたから、現在の高齢者で以前にスペインインフルエンザに感染したことのある人に抗体がるということなんだろうか?
スペインインフルエンザH1N1とその変異したH1N1が広がった1918年からアジアインフルエンザが新型インフルエンザとして出現した1957年までにH1N1に感染し、免疫を獲得したのか、スペインインフルエンザは変異が激しく初期に感染した人のみが免疫を獲得したのか、どちらなんだろう?
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新型インフルエンザ:90歳代以上に免疫 スペイン風邪で抗体東大など
新型インフルエンザに対する免疫を1918年以前に生まれた人は持っている可能性があることを、東京大医科学研究所などが明らかにした。また、新型ウイルスは季節性と違い、肺で増殖するなど強い毒性を持つことが動物実験で示された。医科研の河岡義裕教授(ウイルス学)は「秋冬の流行時には広い世代で早期治療を心がける必要がある」と注意を促している。13日の英科学誌ネイチャー(電子版)に掲載された。
河岡教授らは、献血などのため新潟大などに保管されていた日本人約250人の血液を調べた。新型ウイルスに対する抗体を持っていたのは、多くがスペイン風邪が発生した1918年より前に生まれた人だった。
新型インフルエンザに関して、米疾病対策センター(CDC)などの調査から60歳以上に免疫がある可能性が指摘されている。だが、河岡教授は「18年のウイルスは人で流行するうちに大きく変異した。一方、新型ウイルスはほとんど変異しないまま豚で流行していたため、20年代以降に生まれた人に免疫はないとみられる」と指摘している。
さらに、イタチの仲間で実験したところ、新型ウイルスに感染させた3匹は気道内で広く増殖して肺に侵入し増殖するのに対し、季節性に感染させた3匹は鼻などの上気道にとどまった。
米国などでも健康な人がウイルス性肺炎を起こして重症化する例がある。河岡教授は「新型ウイルスには季節性にはない毒性があることを示す結果で、今後さらに毒性を増す恐れもある。6080代の高齢者も免疫がないとみられ、十分な警戒が必要だ」と話している。
2009/07/14/毎日新聞
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