日本でもパンデミックA/H1N1 2009に対して免疫を持っている人がいる可能性
パンデミックA/H1N1 2009に対し、一部の高齢者に抗体が確認された国立感染症研究所の調査結果を読売新聞が報じていました。
以前、米国疾病対策センター(CDC)からも同様の報告がありました。
これは、1957年から1958年に新型インフルエンザとして発生したA/H2N2(アジアインフルエンザ、アジア風邪)以前に生まれた人が、パンデミックA/H1N1 2009に対し免疫を持っているというものです。
アジアインフルエンザの発生とともにA/H1N1(スペインインフルエンザ、スペイン風邪)とそれから変異したウイルスは、いったん鳴りを潜めました。しかし、それ以前に生まれた人はスペインインフルエンザやそれから変異したA/H1N1に感染したことがあり、その時獲得した免疫が、今回のパンデミックA/H1N1 2009にも有効であったのではないかという考え方です。
関連エントリー:今回のインフルエンザに対する免疫がある人がいるみたい (2009.05.23)
今回の国立感染症研究所の調査結果でも60~100歳代の高齢者から抗体が確認されたということだから、もしかしたらスペインインフルエンザの免疫記憶が高齢者にあるのかもね。
ちなみに、国内の7月7日現在の60歳以上の患者数は、全体のわずか1%です。まあ、これは高齢者ほど行動が活発でなく集団生活の度合いが少ないため、感染機会も少ないことが原因なんだろうけど。
ただ、この調査からはわからない50歳代以下の世代の状況を知りたいところです。
また、現在、季節性のインフルエンザとして毎年流行するA/H1N1(ソ連型)との関係はどうなんだろう。
これから調査や研究が進むと、免疫を持っている人が一定数いることがわかったりして、パンデミックA/H1N1 2009は、パンデミックウイルスではあるけれど、日本で言う「新型」ではなかったということになるのかもしれないね。
また、時事通信には、パンデミックA/H1N1 2009と季節性インフルエンザの違いを報じていました。
これは、季節性インフルエンザのウイルスは、鼻やのどでしか増えないのに対し、パンデミックA/H1N1 2009は肺でも増殖することができるという、河岡義裕東大医科学研究所教授の実験結果です。
この性質は、パンデミックA/H1N1 2009が豚由来とされていることが関係しているのかなぁ。
関連エントリー:少しずつ新型インフルエンザに近づく鳥インフルエンザ (2007.10.06)
国内高齢者にも新型インフル免疫ありの可能性
国内の高齢者の一部が新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)への免疫を持っている可能性があることが、国立感染症研究所の調査で分かった。
新型インフルエンザの感染者に高齢者が少ない原因の一つと考えられ、感染研は対象を広げて詳しく調べる方針。
調査したのは、小田切孝人・インフルエンザウイルス研究センター第一室長のチーム。チームは福岡県内の医療機関から提供された60~100歳代の高齢者30人(平均年齢83.4歳)の血液を分析。4割にあたる12人から新型インフルエンザのウイルスに反応する「抗体」が確認された。過去に、新型インフルエンザに似たウイルスに感染して、免疫を獲得した可能性があるという。
新型インフルエンザの感染者は若年層に多く、米疾病対策センター(CDC)も高齢者に免疫がある可能性を示した研究結果を公表している。高齢者に免疫があると確認された場合、ワクチンの接種順位の決定にも影響するため、感染研は1000人規模の調査を行い、どの年代が抗体を保有しているか調べる。
2009/07/06/読売新聞
新型インフル、重症化を懸念=早期治療がカギ-東大医科研教授
インフルエンザウイルス研究の第一人者、が3日、都内で新型インフルエンザについて講演し、重症化への懸念を示した。大阪府で見つかったタミフル耐性ウイルスについては「普通に出てくる。ただし流行しにくい」と述べ、現時点では心配ないとした。
国内外で感染者が増え続けており、同教授は「もはや数をリポートする意義はゼロ。それくらいウイルスは広がっている」と指摘。重症度が「季節性インフルエンザと変わらないというのは誤解」とし、季節性のウイルスが鼻やのどでしか増えないのに対し、新型は肺でも増殖するとの実験結果を示した。
国内で重症者や死者が出ていないことについて「決定的に違うのは抗ウイルス薬による治療体制が確立されていること」と同教授。早期治療が重症化を防ぐ大きな要因であるとし、冬に大流行した場合の医療体制に懸念を示した。
ウイルスは絶えず変異しており、人への感染力が高まる可能性のある変異が一部で確認されているという。また、重症度が増す変異の可能性も示唆した。
2009/07/03/時事通信
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