資本主義はなぜ自壊したのか/中谷 巌
先日、内橋克人の「もうひとつの日本は可能だ」を紹介しました。そして、この本と平行して読んでいたのが、今回、紹介する中谷 巌の「資本主義はなぜ自壊したのか」です。
この立ち位置が以前は違っていた二人の著者のこの2冊の本に書かれている内容は、似通ったものになっています。
すべてを市場に判断に委ねる市場原理主義は、制御不能になり人間社会を破壊すると。
中谷は、小泉政権が進めた米国の市場原理主義を範にした、構造改革政策のブレイン的存在でした。その彼が、自らの考えの間違いを認め、これからの日本はどうあるべきかを語っています。
内橋のように一貫して人間中心の社会の在り方を提言し、市場原理主義、構造改革の危険性、暴力性を批判してきた人にとっては、中谷の主張の転換は、今更何をてところなんでしょうね。
僕自身も、10年前に言ってくれればよかったのにと思いながら、この本を読んでいました。
ただ、市場原理主義者だった著者の自戒の書ということもあって、経済の混乱、雇用の不安、貧困の増大など、今起こっている問題が理解しやすい面もあります。
ちょっと、観念的な雰囲気を感じないわけではないけどね。
資本主義はなぜ自壊したのか - 「日本」再生への提言
中谷 巌/集英社/2008
・ 書籍の紹介一覧 B0092
・ MediaMarker
※ 「おすすめ度」は、Amazon.co.jpのカスタマーレビューにおけるおすすめ度です。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 福井県立図書館の「覚え違いタイトル集」(2022.04.21)
- 『立花隆が持っていた本が欲しい人』でなく、本の内容そのものに興味がある人の手に渡るようにしてほしい(2022.04.12)
- 「2022 清水エスパルスオフィシャルイヤーブック」が届きました(2022.03.07)
- ONEPE 巻九十九、百、百一の表紙はつながるカバー(2021.12.06)
- 銀河鉄道の夜 サウンドトラック/加賀谷 玲(2021.11.29)
「書籍の紹介」カテゴリの記事
- 見えない絶景 深海底巨大地形/藤岡換太郎(2021.10.13)
- ゆでめん/野上眞宏・鈴木 茂(2021.10.02)
- 緊急提言 パンデミック/ユヴァル・ノア・ハラリ(2021.07.25)
- ナミヤ雑貨店の奇跡/東野圭吾(2021.07.05)
- 大滝詠一 A LONG VACATION読本 40th ANNIVERSARY /大瀧詠一(2021.04.03)
コメント