2009インフルエンザA/H1N1の性質が少しずつわかってきたんですね
2009インフルエンザA/H1N1の解析が様々な機関で進められているようで、ウイルスの性質について興味深い記事が掲載されていました。
ひとつは、今回のA/H1N1は豚インフルエンザが起源とされているけれど、今年の1月頃に豚インフルエンザから変異しヒトのインフルエンザになったのではという、英国の研究チームの研究結果です。産経新聞が報じていました。
豚に特化したウイルスからヒトのウイルスへの変異は、意外と短期間に行われるのですね。
また、大阪府や兵庫県で広がったウイルスの感染力についてのユトレヒト大学の分析結果を、時事通信が報じていました。
大阪府や兵庫県で広がったウイルスの1人からうつる人数は2.3人と、メキシコで広がったウイルスの推定値1.4~1.6人よりも大きいとういう結果です。
これは、メキシコよりも大阪府や兵庫県のほうが人口密度が高いのなど感染しやすい状況にあるのか、ウイルスが感染力を強める方向で変異をしているのか、何を意味しているのでしょう。
一方、東京大学医科学研究所は、世界各地で広がっている2009インフルエンザA/H1N1の一部でヒトの体内で増えやすい変異を起こしていることを確認したと、NHKが報じていました。
ウイルスが細胞に進入するとき働くタンパク質のヘマグルチニン(H1N1のH)がヒトの細胞と結びつきやすく変異しているとのことです。
変異の報告では、メキシコのA/H1N1が米国カリフォルニア州のA/H1N1と比較して、ヘマグルチニンが変異しているというアドルフォ・ルッツ研究所の報告を時事通信が報じていました。
2009インフルエンザA/H1N1は、予想されていることとはいえ、少しずつ変異しているのですね。
秋以降の第2波の発生の時、ウイルスがどのように変異をしているのか、その時、僕らにどのような影響があるのか、興味があります。
豚から人への感染は流行数カ月前か 英誌 新型インフル
豚を起源とする今回の新型インフルエンザウイルスが最初に人に感染した時期は、現在の流行が確認される数カ月前だったとする研究結果を英国などのチームがまとめ、12日までに英科学誌ネイチャー(電子版)に発表した。
研究チームは、今年3~5月に分離された新型インフルエンザウイルスの遺伝子を詳しく解析して変異の割合を調べた。すると、今年1月ごろに共通の祖先から枝分かれしていたことが分かり、この時期に人への感染が起きたと推定された。
一方で新型インフルエンザウイルスは、約9~17年前に存在した豚のウイルスと同じ起源を持つことも判明。しかし、この豚のウイルスはその後、検知されておらず、豚の間だけでまん延していたと考えられるという。研究チームは豚でのインフルエンザ監視の必要性を訴えている。
2009/06/12/産経新聞
1人からうつる人数2.3人=未成年者間で強い感染力-兵庫・大阪の新型インフル
神戸や大阪の高校を中心に広がった日本の新型インフルエンザで、1人の感染者からうつる人数は2.3人と推定されることが13日、オランダ・ユトレヒト大の西浦博研究員(理論疫学)らの分析で分かった。世界保健機関(WHO)の研究チームによるメキシコでの推定値1.4~1.6人よりも大きい。欧州の感染症専門誌ユーロサーベイランスに発表した。
未成年者間に限ると2.8人とさらに大きかった。インフルエンザは学校で広がりやすく、流行拡大の端緒になることは経験上知られているが、西浦研究員は「初めて客観的に示すことができた」としている。
感染力を示すこの人数は「再生産数」と呼ばれ、流行初期の感染者数の増え方などから算出する。通常の季節性インフルエンザでは、1.1~1.4とされる。
同研究員らは、今月1日までの日本の確定患者371人中、兵庫県と大阪府での感染が濃厚な361人の疫学データを分析。約8割が高校生ら10代で、人から人への感染にかかる日数をWHO研究チームと同様に1.9日として計算すると、再生産数は2.3人となった。
さらに、各時点ごとの再生産数である「実効再生産数」を計算したところ、最初の国内感染者が確認された翌日の5月17日以降、1を下回った。1未満なら流行が縮小していることを意味し、同研究員は「両府県で行われた学校閉鎖や接触者追跡調査などの対策が効果的だった」としている。
2009/06/13/時事通信
体内で増殖 遺伝子変異を確認
各国で確認された新型インフルエンザのウイルスを調べたところ、一部でヒトの体内で増えやすくなるおそれのある遺伝子の変異が起きていることを東京大学医科学研究所の研究グループが確認しました。研究グループでは、こうした変異を起こしたウイルスが増えると、この冬の流行が大きくなると指摘しています。
東京大学医科学研究所の河岡義裕教授らの研究グループは、新型インフルエンザのウイルスがどのような変異を起こしているか調べるため、アメリカなど各国で取られたウイルスの遺伝子を分析しました。その結果、ヒトの細胞の表面に結び付く働きのある「ヘマグルチニン」というたんぱく質の一部に、ヒトの細胞とより結び付きやすくなる変異が起きていることが確認されたということです。研究グループでは今後、ヒトの間で感染を繰り返す間にのどや肺などで増えやすいタイプに変化するおそれがあるとしています。河岡教授は「ヒトの体内で増えるようになるとこの冬の流行が大きくなり、重症の患者が出る危険性も高まる。新型のウイルスの変化を注意深く監視する必要がある」と話しています。この研究はイギリスの科学雑誌、ネイチャーの電子版に掲載されます。
2009/06/15/NHK
新型インフルに変異種=毒性変わらず、ワクチン有効-ブラジル
ブラジル・サンパウロ州のアドルフォ・ルッツ研究所は16日、世界中で感染が広がる新型インフルエンザウイルスが変異した新たな亜種が見つかったと発表した。
同研究所は、メキシコから帰国後に感染が判明した男性(26)の呼吸分泌物を採取して遺伝子を解析。米カリフォルニア州由来のウイルスと比較した結果、表面の突起状糖たんぱく質(HA)のアミノ酸配列などがわずかながら変化していた。
ただ、同州保健当局は「ウイルスの毒性を強める変異は特定されなかった」と指摘。現在開発が進む新型インフルエンザのワクチンは、変異種にも有効との見方を示している。
南半球のブラジルやアルゼンチン、チリなどでは、冬の到来で感染者が急増。変異が一層拡大し猛威を振るう恐れも出ている。
2009/06/16/時事通信
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