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2009.05.04

今回のインフルエンザA/H1N1は、豚・人・鳥由来なんだって

メキシコや米国から多くの国に感染が広がっているインフルエンザA/H1N1の由来について、米国コロンビア大学などの研究チームの解析結果を、5月3日付けの朝日新聞が掲載していました。
今回のウイルスは、ヒトのH3N2(A香港型)とブタのH1N1(北米豚型)に鳥インフルエンザが混合してできたブタのH3N2(3種混合タイプ豚型)とブタのH1N1(北米豚型)が混合してできたブタのH1N2(北米豚型)とH1N1(北米豚型)にブタのH1N1(ユーラシア豚型)が混合して出現したとのこと。ややこしいね

朝日新聞に変異のフロー図が掲載されていたので、それを参考に下の図にしてみました。
10年くらいの期間をかけて、変異をしたそうです。

新型のウイルスができるまで - 朝日新聞2009.05.03朝刊記事を基に作成 -

僕が新型インフルエンザに興味を持ったのは、菅谷憲夫さんの「インフルエンザ 新型ウイルスの脅威」を10年くらい前に読んでからです。その時、漠然と、新型インフルエンザは21世紀初頭に僕らが対峙しなければならない問題のひとつだなあと思いました。
それ以来、関係する本を読んだり、興味をひかれたことは、このブログのカテゴリー「ウイルス、細菌、微生物」に感想を書いたりしてきました。

そんな中で、興味を持ったひとつにインフルエンザウイルスの変異のしやすさがあります。
もともと、インフルエンザウイルスは一本鎖のRNAウイルスで、DNAウイルスのように二本鎖でポジとネガのような構造をしていないから、増殖する時にミスコピーの起こる確率が高く、変異しやすいんだろうなあと思っていました。

ただ、インフルエンザウイルスの変異はそれだけではなく、ドラスティックに変異することを知りました。
インフルエンザウイルスのRNAは8つのパーツに分かれていて、2種類のウイルスが同時に感染している時、お互いのパーツが入れ替わって大きな変異が起こるのだと。
随分、乱暴な変異の仕方だけど、数多くの変異の中には新たなタイプとして勢力を拡大するウイルスもいるのでしょうね。

そして、まさにこういうことを言うんだなあと、今回のインフルエンザA/H1N1の由来が豚、人、鳥のインフルエンザウイルスが混ざり合ったものという新聞報道を読んで思いました。

インフルエンザA/H1N1は、各国に感染が拡大していますね。ただ、救いは鳥インフルエンザH5N1のように人に対して病原性が低いということかな。今後、人の中で感染を繰り返すうちに病原性を強めるってこともないわけではないけれど。

インフルエンザA(H1N1)の国別感染者数と死亡者数(2009.05.03現在)

冬のインフルエンザの流行期にAソ連型のH1N1と今回のH1N1が同時に発生したら、このふたつを見極めるのは難しいだろうなあ。

引用文新型ウイルス、由来は「人鳥豚豚」 10年かけ4種混合
新型の豚インフルエンザウイルスは人と鳥、2種類の豚が持っていた計4種類のウイルスが複雑に混じりあってできたことが、米国や日本の研究チームの解析でわかった。米疾病対策センター(CDC)や世界保健機関(WHO)が公開する新型インフルの遺伝子情報をもとに調べた。予防や治療の基礎データとなるウイルスの正体が明らかになってきた。
米コロンビア大などのチームは、今回のウイルスと過去の研究でわかっている豚のウイルスの遺伝子情報を照らし合わせた。この結果、ウイルスに8本あるリボ核酸(RNA)のうち、6本が北米の豚に感染するウイルスから受け継がれたもので、2本が欧州やアジア由来のユーラシア型の豚ウイルスから受け継がれたことを見つけた。前者の6本には、人、鳥のそれぞれに感染するウイルスに由来するRNAも混ざっていた。
人は通常、豚や鳥のインフルにはかからないが、豚は人や鳥のインフルにも感染する性質を持つ。98年ごろ、北米で豚インフルが流行したときに、豚の体内で豚ウイルスと人のA香港型ウイルス、鳥ウイルスが混じり合って、まず「3種混合」のウイルスができたとみられる。
これが北米の豚ウイルスと交雑を重ね、最終的にユーラシア型の豚ウイルスと合わさって「4種混合」の新たな豚ウイルスになったという。このウイルスの表面のたんぱく質が、人に感染しやすい変異を起こした可能性が高い。
生物資源研究所(沖縄県名護市)の根路銘(ねろめ)国昭所長たちは、北米の豚ウイルスから受け継がれた6本のRNAのうち、1本が人、2本が鳥、3本が豚(北米)由来であることを示した。
国立感染症研究所のウイルス研究室長などを務めた根路銘所長は「ルーツが詳しくわかってきたことで、対策につなげられる可能性がある。今後もウイルスは変化する可能性があり、監視が必要だ」と話している。
2009/05/03/朝日新聞

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