今回のインフルエンザの呼び方、「新型」「豚」「新らしい」?
朝、起きたらなんだか喉と頭が少し痛くって、今日は雨が降っているし一日家でのんびりしていようと思いながら、朝日新聞の朝刊を読んでいました。(もしも、熱があり医療機関に受診することになれば、静岡の場合「発熱外来」に行くことになるんだろうなあ。熱があるなんて極一般に起こる体調の変化だから、発熱外来もすぐパンクするなあと思いつつ・・・)
朝日新聞の今回のインフルエンザA/H1N1に関する記事を読んでいて、目に留まったのが、今回のH1N1の表記の仕方です。
朝日新聞では、「新型の豚インフルエンザ」と表記しています。
これじゃあ、豚に新たな亜型のインフルエンザウイルスが出現したみたいにとらえられると感じました。
・ 朝日新聞 2009年5月24日朝刊1面 (赤線は筆者が引きました)
新聞社は、言葉の使い方に慎重の上に慎重を期すでしょうから、朝日新聞は何か考えがあってこう表記しているのでしょう。
それで、他の新聞では今回のH1N1をどのように表記しているのか、ネットの主な新聞社のサイトで調べてみました。調べたのは、5月23日付けで発信されたインフルエンザ関連の情報です。
● 朝日新聞:新型の豚インフルエンザ
● 日本経済新聞:豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザ
● 読売新聞:新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)
● 毎日新聞:新型インフルエンザ
● 産経新聞:新型インフルエンザ
● 共同通信:新型インフルエンザ
並べてみると、毎日、産経、共同が単に「新型」と表記しています。これは、厚生労働省が4月28日に「新型インフルエンザに係る対応について」で、今回のH1N1を「新型インフルエンザ等感染症」に位置づけたことによるものでしょう。それから、行政は「新型」と呼ぶようになったものね。
関連エントリー:新型インフルエンザと Influenza A(H1N1) (2009.05.01)
読売は「新型」の表記だけど括弧書きで「豚」も併せて表記しています。何で「豚」も併記するのかわからないけれど、発生当初の豚インフルエンザを引きずっているのかな?
日本経済新聞の「豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザ」という表記が一番丁寧なように思います。本来、豚のインフルエンザであったものが変異してヒトの間で感染するインフルエンザになったといわれているから。日本経済新聞は、鳥インフルエンザH5N1についても他の報道機関がほとんど取り上げていない時から、報道をしていたので、今回のH1N1についてもていねいな表記になっているのかなあ。
一方、WHO(世界保健機関)では、'new influenza A (H1N1) virus'、CDC(米国疾病予防管理センター)では"Novel influenza A (H1N1)"と「新たな」と表記しています。
今回のインフルエンザA/H1N1に免疫を持っている人もいるという話もあるし、まだ全体像がわかっていないので、様々な呼び方をしているのかもしれませんが、いずれ定まってくるものと思います。
関連エントリー:今回のインフルエンザに対する免疫がある人がいるみたい (2009.05.23)
WHOの「Influenza A(H1N1) - update 37」によると、5月23日現在、43ヶ国 感染者 12,021人 致死率 0.72%となっていて、新型インフルエンザに変異することが恐れれている鳥インフルエンザA/H5N1の致死率61%に比べ相当低い病原性になっています。
新型インフル、7都府県の338人 感染確認数は減少
検疫を除く国内初の新型の豚インフルエンザ感染が神戸市で確認されて以来、感染者は24日午前0時現在で7都府県の338人に増えた。感染確認数はおおむね減少傾向だが、高校生中心だった年齢層が広がり、首都圏でも感染が確認され始めた。妊婦や糖尿病を患う人が感染すると症状が重くなる懸念があるため、厚生労働省は警戒を緩めていない。
2009/05/23/朝日新聞
新型インフル感染者、国内で338人 20日ピークに減少傾向
豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザの国内発症が初めて確認されてから23日で1週間が過ぎた。患者は同日で検疫段階の5人を含め338人に達したが、新たな患者確認は20日をピークに減少傾向が続く。「休校の影響ではないか」とみられる。ただ兵庫、大阪の2府県から7都府県に感染は拡大しており、休校明けでさらに広まらないよう注意が必要だ。
2009/05/23/日本経済新聞
新型インフル患者数、「新規発症は減少」と厚労省
厚生労働省は23日、神戸市で初めて新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の国内感染が確認されて以来1週間の患者数の推移を公表し、「ピークは20日で、ここ数日は新規の発症者が減ってきた」との見方を明らかにした。
2009/05/23/読売新聞
新型インフル:感染338人に
新型インフルエンザ国内感染者は23日、兵庫県、大阪府などで新たに確認され333人になった。成田空港の検疫で見つかった大阪府の4人と韓国人男性を含めると計338人になる。
2009/05/23/毎日新聞
【新型インフル】ピークは20日 大阪府「すでに流行ではない」
新型インフルエンザの全国の感染確定者数が、20日をピークに減少傾向にあることが23日、厚生労働省のまとめで分かった。大阪府の橋下徹知事が同日、発症者数が減少に転じていることから「すでに流行ではない」と宣言しており、厚労省も「大阪府の調査と矛盾しない」としている。
2009/05/23/産経新聞
新インフル確定20日がピーク 「減少傾向か」と厚労省
厚生労働省は23日、国内で新型インフルエンザ感染が発生した16日以降の1日あたりの確定事例の報告件数が20日の77件をピークに減少していることを明らかにした。自治体を通じて確定報告があった件数をまとめたもので、実際の発症日とはずれがあるという。
2009/05/23/共同通信
Clinical management of human infection with new influenza A (H1N1) virus: initial guidance
Introduction
Since late April 2009, the World Health Organization (WHO) has received reports of sustained person to person infections with a new influenza A (H1N1) virus in Mexico and the United States. The virus has now spread to multiple countries in Europe, the Americas and the Far East. Given the widening risk of disease caused by this virus and its unique genetic and antigenic characteristics as an influenza A (H1N1) variant of animal origin, WHO, in accordance with established procedures, ncreased the influenza pandemic alert level from phase 3 to phase 4 on 27 April 2009 and to phase 5 on 29 April 2009.
2009/05/21/WHO (PDF 203KB)
A New Influenza Virus
Novel influenza A (H1N1) is a new flu virus of swine origin that was first detected in April, 2009. The virus is infecting people and is spreading from person-to-person, sparking a growing outbreak of illness in the United States. An increasing number of cases are being reported internationally as well.
2009/05/22/CDC
※ 引用文中の赤字は筆者が着色しました。
----------
PDF形式のファイルの閲覧には、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをお持ちでない方は、下のバナーのリンク先からダウンロードしてください。
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- 静岡市の公式サイトで不正アクセスが発生(2024.09.25)
- JR富士駅-新富士駅間を結ぶ自動運転車両の実証実験の計画(2024.09.21)
- マイナ保険証の利用率11%(2024.09.04)
- 小型月着陸実証機(SLIM)の月面活動が終了した(2024.08.28)
「ウイルス、細菌、微生物」カテゴリの記事
- 新型コロナウイルス感染症は夏と冬にピークがある?(2024.09.01)
- 新型コロナウイルス抗原検査キットを使ってみた(2024.08.18)
- 新型コロナウイルス感染症は夏と冬にピークがある?(2024.07.28)
- 新型コロナウイルス感染症が少し増えてきました(2024.07.17)
- 2024年3月の新型コロナウイルスN抗体の保有割合は64.5%(2024.05.28)
コメント