フィッシュストーリー/伊坂幸太郎
売れないロックバンドの最後のレコーディング、一発録りのやり直しなしの録音、曲の間奏でボーカルの亮二が唐突にのんびりと言った言葉。
「なあ、誰か、聴いているのかよ。今、このレコードを聴いている奴、教えてくれよ。届いているのかよ。」 フィッシュストーリー 157-158ページ
結局、この曲の間奏をカットも編集もせず、無音にしただけで発売されたレコード、そして、この曲のもととなった10年前に死んだ作家の文章を起点に、10年、20年、30年後の別々の物語がつながりながら語られます。
伊坂幸太郎は、違った時間をほんの少しだけど重要なことで、つながりをつけるのがうまいなあと思います。
作家の残した「僕は世界に見捨てられたわけじゃない」という言葉、録音から消された「なあ、誰か、聴いているのかよ。」という言葉が、しっかりと受け継がれ素敵な物語になります。
「フィッシュストーリー」は、この「フィッシュストーリー」のほか、「動物園のエンジン」「 サクリファイス」「ポテチ」の3つの物語が収録され、伊坂の洒脱な文章が楽しめる短編集です。
フィッシュストーリー
・ 動物園のエンジン
・ サクリファイス
・ フィッシュストーリー
・ ポテチ
伊坂幸太郎/新潮社/2007
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コメント
副隊長さん、コメントありがとうございます。
「フィッシュストーリー」は、伊坂作品の中では地味な部類に入るのかもしれません。
でも、なかなか素敵な物語ですので、読んで損はないと僕は思います。
投稿: Kaze | 2009.02.14 21:37
はじめまして。
伊坂さんの作品が
好きなんですが、
「フィッシュストーリー」
は未読ですので、
今度、読んでみます。
投稿: 副隊長 | 2009.02.14 15:26