青森、秋田、北海道のオオハクチョウから検出された鳥インフルエンザH5N1の感染ルート
今年の4月下旬から5月上旬にかけて十和田湖、野付半島、サロマ湖のオオハクチョウで感染が確認された、鳥インフルエンザH5N1亜型の感染経路について調べている環境省の「感染経路等調査ワーキンググループ」の報告について、時事通信が報じていました。
報道によると、H5N1ウイルスは、韓国やロシアで今年分離されたウイルスと相同性が高く、ハクチョウに感染したウイルスは、大陸や朝鮮半島からの渡り鳥によって日本へ持ち込まれたのではないかとのこと。
ハクチョウがカモなどの他の渡り鳥から感染したのか、どの時点で感染したのかは、記事からはわかりません。
そのこととは別に、朝鮮半島からロシアの繁殖地に帰るルートとして、朝鮮半島→日本→ロシアと日本列島を経由する余り知られていないルートの存在にふれているところに興味を持ちました。
以前、紹介したこのワーキンググループの委員でもある樋口広芳さんの「鳥たちの旅」には、渡り鳥のいくつかの渡りの経路が紹介されています。
下に引用した図は、はオオハクチョウの東日本→サハリン→ロシアの繁殖地のルートです。
引用:鳥たちの旅/樋口広芳(日本放送協会) P75
また、次に引用した図は、マナヅルの西日本→朝鮮半島→ロシアの繁殖地のルートです。
引用:鳥たちの旅/樋口広芳(日本放送協会) P29
いずれのルートも渡りとしては合理的だなあと思っていたので、朝鮮半島からわざわざ日本列島を経由してロシアの繁殖地に向かうルートは、少し不思議ですね。
衛星を利用した渡り鳥の追跡は、まだまだ調査数が少ないので、これから多くの調査が行われれば、え と思うような意外なルートで渡る鳥もいるのかも知れません。
9月には報告書が公表されるそうだから、読んでみたいと思います。
関連エントリー:ハクチョウに感染したH5N1ウイルスの感染ルートの糸口?(2008.05.15)
ウイルス、国外からの可能性=3道県の鳥インフル-環境省
鳥インフルエンザ対策を協議する環境省の専門家会合が6日開かれ、4月から5月にかけて北海道と青森、秋田両県で相次いで確認された強毒性のH5N1型ウイルスの感染経路について、大陸や朝鮮半島からの渡り鳥を介して国内の野鳥に広がった可能性があるとの見方で一致した。8月中に感染経路報告書や野鳥が感染した場合の対応マニュアルをまとめ、9月をめどに公表する。
3道県で回収したオオハクチョウから分離されたウイルスを遺伝子分析した結果、韓国やロシアで今年分離されたウイルスと非常に似ており、これまで国内で確認されたものとは異なることが分かった。
このため、国内で今年確認されたウイルスは、3月から4月に朝鮮半島から日本列島を経てロシア東部に抜けるという、これまであまり知られていないルートを通る渡り鳥を介して国内に持ち込まれた可能性などが考えられるとした。専門家会合は、野鳥への感染を早期に把握するためのモニタリング体制強化も打ち出す方針だ。
2008/08/06/時事通信
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