新型インフルエンザと命の優先順位
2008.01.21のエントリーでも取り上げた与党の新型インフルエンザ対策のプロジェクトチームの提言がまとまったそうです。朝日新聞が報じていました。
その中で、プレパンデミック・ワクチンを医療関係者や治安・ライフラインの関係者に加えて、若者にも優先的に接種するとの提言も盛り込まれているとのことです。
スペイン風邪(H1N1亜型)が1918年に新型インフルエンザとして出現した時は、本来免疫力が強いはずの若年層に死亡者が多かったそうです。
その原因が、免疫の過剰反応、サイトカイン・ストームではないかと言われています。
本来ならサイトカインは防御反応として機能する物質なんだろうけれど、未知の強毒のウイルスが入ってくると過剰反応を起してしまうということなんだろうか。
まあ、多くの若者が亡くなってしまうと、パンデミック後の社会復興に大きな支障が出るから当然と言えば当然かな。
また、現時点での有力な抗インフルエンザ薬であるタミフルと異常行動などとの因果関係は、これまでの臨床データや動物実験の結果から認められていないようですね。時事通信が報じていました。
プレパンデミック・ワクチンにしろタミフルのような抗インフルエンザ薬にしろ、実際、新型インフルエンザが発生していない状態では、何処まで効果があるのかはわかりません。
また、量を確保し、時間の遅れが無く、希望する人全員に行き渡るようにするのが最善なのでしょう。でも、量的に時間的に難しいとなると、誰を優先的にという、命の優先順位をつけることになるのでしょう。
その際、パニックにならないように国民の合意をとるのは、行政や政治の仕事なんだろうね。とても大変な仕事だけど・・・
そして、こういった議論を盛り上げるのがマスコミの役割なんだと思うけれど。
いずれにしても、社会貢献の少ない中年の僕なんかは、緊急時の対策の優先順位は低いんだろうから、ある程度の覚悟はしておかなきゃ。トホホ。
・ 関連エントリー:プレパンデミックワクチン接種の優先順位(2008.09.20)
新型インフル、若年層もワクチン優先の提言 与党チーム
新型インフルエンザ対策で与党プロジェクトチーム(川崎二郎座長)は20日、発生時には重症化の恐れが高いとみられる若年者らも優先してワクチン接種する、などとした提言をまとめ、公表した。治療や予防に使う抗インフル薬の備蓄量をほぼ倍増する方針も正式に決めた。
提言では、海外で新型インフルが発生した場合などのワクチンの「優先接種」は、若年者や医療従事者、治安・ライフラインの維持者、人口密集地など「感染率が高い地域の住民」を基本とした。
世界保健機関(WHO)調査では、新型インフルのもとになるとされる鳥インフルに感染した10~30代患者の死亡率は70%台。この日、会見した川崎座長は「他国で現実に起こっている例をみると、若年者の優先接種を考えなければならない」と説明した。
抗インフル薬の備蓄では、タミフルに耐性ができて効かなくなるウイルスが広がる事態に備え、同じ効果のある薬リレンザの割合を高めるとした。研究推進のため、インフルエンザウイルスに焦点を絞った研究センターを国立感染症研究所内に置くことなども求めた。また、ワクチン製造では、全国民分を作るのに1年半かかる期間を6カ月以内に短縮できるよう態勢を整備することも盛り込んだ。
2008/06/21/朝日新聞
タミフルの影響見られず=臨床試験2件公表-厚労省
インフルエンザ治療薬「タミフル」について、厚生労働省は17日、服用時の睡眠や心電図への影響を調べた2件の臨床試験結果を公表した。いずれも服用と異常行動や突然死との因果関係を示す結果は得られなかったという。
試験は2件とも、タミフル輸入販売元の中外製薬が専門家に依頼する形で昨年7月~12月に健康な成人男性を対象に実施。睡眠中の脳波などを調べる「睡眠検査室試験」は31人、心電図を調べる「夜間心電図試験」は12人(1人は解析から除外)が対象。
この結果、偽薬を投与したケースと比較し、睡眠や心電図への影響について、統計的に有意な差はなかったという。
2008/06/17/時事通信/P>
中枢神経系への影響なし=タミフルの動物実験-厚労省
インフルエンザ治療薬「タミフル」と異常行動や突然死との因果関係を動物実験など基礎研究面から調べていた厚生労働省の作業部会は19日、脳の中枢神経系への影響は認められないとする見解をまとめた。
製造販売元の中外製薬に指示し、ラットの脳にタミフルを注入するなど計8種類の実験を実施した。同社からは、投与後の行動に目立った変化は中間報告と同様認められなかったと報告を受けた。作業部会は同社の実験内容に特に問題点はないとの見解で一致した。
17日には臨床研究面から調べていた別の作業部会が、睡眠や心臓への影響はなかったとする見解をまとめている。
厚労省は、服用後の飛び降りなどが相次いだ10代への投与を原則禁止とする措置を昨年3月から継続。同省は、今後まとまる疫学調査の結果と合わせ、現在の措置が妥当か検討する。
2008/06/19/時事通信
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