鼻から接種するインフルエンザワクチンの開発
3日続けてインフルエンザがらみの話題です。
今日は、鼻腔の粘膜に接種するインフルエンザワクチンの開発を厚生労働省の研究班が進めているという話です。朝日新聞が掲載していました。
インフルエンザワクチンは、普通、腕に注射することによって体内に抗体を作り、体内に侵入したウイルスを攻撃して、インフルエンザの症状を軽減するもです。
研究班が開発いているワクチンは、鼻腔の粘膜に吹き付け粘膜に抗体を作り、粘膜を通して体内に侵入する段階のウイルスをブロックするようです。
この場合、鼻腔の粘膜上にできた抗体は、体内の他の場所に広がるのだろうか?ウイルスが体内に侵入する場所は、他にもあるように思うので、他の場所から侵入したウイルスには効果があるのか、少し疑問に思いました。
このワクチンは、ベトナムでヒトに感染した鳥インフルエンザH5N1亜型から作っているとのことです。そして、香港やインドネシアのH5N1にも効果があったとのことだから、プレパンデミック・ワクチンとして、新型インフルエンザに変異したH5N1にも効果が期待できるのでしょう。
ヒトでの治験は2年後とのことですが、いい方向に開発が進むといいですね。
ところで、ヘマグルチニン(HA)16種類とノイラミニダーゼ(NA)9種類で亜型は144種類、そのうち136種類は採取済みとのことで心強いけれど、未採取の8種類はどんな組み合わせ?
鼻に噴射、新ワクチン開発 新型インフルで厚労省研究班
世界的な流行と大被害が予想される新型インフルエンザに、すばやく対応できる新ワクチンを厚生労働省研究班が開発した。新ワクチンは鼻に吹きつけるだけなので、注射器などがいらず、途上国でも使いやすい。マウスとサルで効果を立証した。人での治験を2010年から始める予定だ。
研究班長の長谷川秀樹・国立感染症研究所感染病理部第二室長らは、ベトナムで04年に高病原性鳥インフルエンザH5N1に感染した患者から得たウイルスを使い、病原性をなくす処理をした。これに、粘膜の免疫を刺激する補助剤をまぜて新ワクチンをつくった。
従来のワクチンは、血中の免疫細胞だけを刺激してウイルスに対抗する抗体をつくる。このため、ウイルスが体内に感染しないと効果は出ない。
新ワクチンは粘膜を刺激し、粘膜の外に抗体を分泌する免疫反応を起こさせる。鼻腔(びくう)に入ったウイルスが粘膜にくっつく前に、この抗体が撃破する。従来の抗体と働き方が違うため、遺伝子の細かな違いにかかわらず防御効果を発揮するのが特長だ。新型ウイルス登場前に製造でき、発生直後からすばやく対応できる。
研究班は、このワクチンをマウスの鼻に1カ月間に2回吹きつけ、2週間後にウイルスにさらし、ワクチンの効果を調べた。その結果、新ワクチンを吹きつけたマウス5匹はすべて生き残ったが、吹きつけなかったマウスは12日以内にすべて死んだ。
また、同じH5N1型でも遺伝子の一部が異なる株への効果をみるため、97年の香港株と05年のインドネシア株でも調べ、同様に死亡を防ぐことを確かめた。H5N1型なら、流行年や地域による遺伝子の違いを超えて高い効果があった。
サルの実験でも、ワクチンを使わなかったサルは肺炎を起こしたが、使ったサルは元気で、鼻やのどからもウイルスは見つからなかった。
インフルエンザウイルスの型は理論上144通りある。新型インフルエンザはH5N1型から出る可能性が高いとみる専門家は多いが、予測は難しい。H5N1型以外の新型インフルエンザ発生も視野に入れ、研究班メンバーの喜田宏・北大教授(獣医学)は、人に感染する可能性が高い136通りのウイルスを収集した。長谷川室長は「集めたさまざまな型のウイルスをもとに、新ワクチンの事前準備が可能で、発生直後にすばやく対応できる」と話す。
2008/03/12/朝日新聞
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