ラッシュライフ/伊坂幸太郎
僕が、初めて読んだ伊坂幸太郎の作品は「アヒルと鴨のコインロッカー」です。この本、ストリーの展開が面白くって、伊坂作品をもう一冊読もうと思いました。
そして選んだのが「ラッシュライフ」、ジョン・コルトレーンが演奏する曲と同名のタイトルに魅かれました。
物語は、金ですべての物を手に入れてきた初老の画商の戸田と本意ではないが彼に従わざるを得ない新進画家の志奈子、己の美学に基づき盗みを働く泥棒の黒澤、新興宗教の教祖に心魅かれる絵の上手な青年河原崎、お互いの配偶者の殺害計画を進める精神科医京子とプロサッカー選手青山、不本意にもリストラにあい就職活動中の中年豊田と老いた野良犬、を軸にその他の人物がからみ、別々の話が、数日の時間、仙台という空間で進みます。
2つの物語がひとつの話に収斂していく小説は割りとあるけれど、5つの物語が重なり合うとのは珍しいんじゃないかな。
ひとつの物語で語られる話題、アイテム、背景の風景が、別の物語で登場し、ハッとさせられます。
なかなか新鮮なストーリー設定で面白い作品です。
「ラッシュライフ」は、やはりコルトレーンの曲として、冒頭の戸田と志奈子との会話で登場します。また、キース・ジャレットやボブ・ディラン、ビートルズと1971年生まれの伊坂にとっては過去の音楽が物語の中に織り込まれています。でも、背景によく溶け込んでいて、いい感じです。
ラッシュライフ
伊坂幸太郎/新潮社(新潮文庫)/2005
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