死因不明社会/海堂 尊
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「チーム・バチスタの栄光」(宝島社文庫 上下巻)が、僕の読んだ海堂 尊の最初の作品です。「チーム・バチスタの栄光」は、優秀な心臓外科医とそのスタッフがバチスタという特殊な手術を立て続けに失敗する。その原因を、学生以来手術をしたことのないパッとしない神経内科医と、変人ではみ出した厚生労働省の官僚が、解き明かすという医療ミステリーです。
その謎解きの決め手となったのが、死亡時画像病理診断(Autopsy imaging)です。
「死因不明社会」は、「チーム・バチスタの栄光」のキーとなったAiの必要性をわかりやすく論じた本です。
僕らは、誰でも何時かは何らかの原因で死にます。死亡の原因が死因で、死因がわからないものを異常死と言うそうです。そして、全死亡者数の15%が異常死と筆者は記します。
外から観察して死因がわからない場合、解剖をして死因を特定しようとするのだけれど、日本の解剖実施率は全死亡者の2%。これでは、死因が不明な事象が増え、医学の進歩に寄与せず、犯罪の特定も難しくなると問題提起します。
死因を特定する有力な方法の解剖は、労力や費用、制度など、現在の医療をとりまく様々な要因で行われなくなってきているそうです。
その問題を解決し死因不明社会を無くすために有効なのは、CTやMRIを利用した死亡時画像病理診断の導入だと筆者の持論を展開します。
現在、医学界で死因不明がどの程度問題視され、その解決策としての死亡時画像病理診断がどの程度議論されているのか、その世界に疎い僕にはわかりません。
でも、今まで生きている人間に対する医療への意識はあるにはあったけれど、死んだ後の医療にほとんど意識がなかった僕には、なかなか興味深い内容の本です。
また、「チーム・バチスタの栄光」で登場した厚生労働省の変人官僚 白鳥圭輔と記者の別宮葉子のコミカルな対話もはさんだりして、読みやすい構成になっています。
死因不明社会 - Aiが拓く新しい医療 -
海堂 尊/講談社(ブルーバックス)/2007
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コメント
itchy1976さん、コメントとトラックバック、ありがとうございます。
itchy1976さんから、僕のサブブログ「風の雑記帳」のエントリー「死因不明社会/海堂 尊」にトラックバックをいただいたので、感想を書いた本エントリーからトラックバックしました。
itchy1976さんのブログにお邪魔しますので、よろしくお願いします。
投稿: Kaze | 2009.01.30 22:56
はじめまして、itchy1976でございます。
TBありがとうございます。
こちらからも、TBさせていただきました。
気長に当サイトでも書評をアップしますので、
これから、よろしくお願いします。
投稿: itchy1976 | 2009.01.30 22:21