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2008.01.12

日本は世界有数の資源国!!

独立行政法人物質・材料研究機構がこの1月11日に発表した「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵 -わが国に蓄積された都市鉱山の規模を計算- 」を読んで、アハハと笑ってしましました。勿論、資源素材学会に発表されるような分析だから、内容は真面目なものです。

参照:「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵」(PDF:616KB)/独立行政法人物質・材料研究機構

最近、原油やら穀物、メタルなどの価格が急上昇し、それら生活の基本となる資源の多くを海外からの輸入に頼っている日本が、これからどうなるんだろうと少し暗い気持ちに僕はなっていました。
安い資源を海外に依存し戦後の繁栄を築いてきた日本だけど、これから始まる(もう始まっている)国際的な資源の争奪戦の中で、僕などの一介の市民はなすすべもなく波に飲み込まれていくものね。
そんな鬱々としていた時に、日本は"世界有数の資源国"なんて分析を読んで、少しやけくそ気味の明るい気持ちでアハハと笑ってしまったのです。

この資源は、日本が海外から原材料を輸入したものから製品として輸出したものを減じた国内に残っている金属類です。初めて知ったのですが、このような資源を"都市鉱山"と呼ぶそうです。

表1は、「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵」から作成した日本の各金属の都市鉱山蓄積量です。
金属名が、元素記号で表されていたのでAlとかSbとかTaとか、即座にわからず、また名前がわかってもいったい何に使われているのかわからない金属がいくつかありました。
調べてみると、多くは合金の材料や触媒など工業の基本的なところで重要な役割をしている金属のようです。

蓄積量としてのわが国の都市鉱山の推定計算結果

図1は、各金属の世界の埋蔵量に対する日本の都市鉱山の蓄積量の割合をグラフにしたものです。
Al(インジウム 液晶やプラズマ薄型ディスプレイの電極に利用される金属だそうです)は、61%を日本の都市鉱山が蓄積しているとしています。Ag(銀 これは馴染みの金属です)は22%、Sb(アンチモン 工業材料として様々な使われ方をしているそうです)は19%、Au(金 これもお馴染みです)は16%などの割合が高くなっています。
また、「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵」の2ページの表には埋蔵量の国別順位も示され、Au、In、Pb(鉛)、Agで日本は1位、Cu(銅)が2位、Sb、Pt(白金)、Ta(タンタル コンデンサに使われるそうです)が3位となり、分析対象の20金属のうち一番順位が低いのはAl(アルミニウム)の12位です。
※ REは、レアアース(希土類元素)で、原子番号57番のLa(ランタン)から71番のLu(ルテチウム)までのLn(ランタノイド)、21番のSc(スカンジウム)、39番のY(イットリウム)を加えた計17種類の元素で、75番のRe(レニウム)と最初間違えてしまいました。ややこしいね。

各金属の世界の埋蔵量に対する日本の都市鉱山の蓄積量の割合

表1や図1を見ていると、日本も有数の資源国だなあなんて思ったりします。まあ、工業製品のために海外からせっせと輸入した原材料が、製品やその廃棄物として日本に蓄積しているてことだけどね。

当然、これら製品や廃棄物から資源として再回収するためには、原材料を購入する以上のコストやエネルギー、そして技術も必要なんだろう。
だから、単純に資源国だなんて喜んでもいられないけれどね。

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