安心社会から信頼社会へ/山岸俊男
Web2.0の底流に、他者に対する信頼という考えがあるのだと思います。それは、魅力的ですが、これからの社会の基本的な考え方になるのか、単なる幻想に過ぎないのか、興味があります。
そんなこともあって「信頼」という言葉が、最近、気になっていました。
僕は、山岸俊男の「安心社会から信頼社会へ」を読むまでは、「信頼」があって「安心」があると、漠然と思っていました。
しかし、この本では、「信頼」と「安心」を明確に分けています。
安心は、社会における不確実性を最小限にすることで得ることができ、信頼があるとかないとかとは直接は関係ないということに、読んでいて気がつきました。
そして、信頼は不確実な状況の中で、他者に対する考え方の問題でであるということ。
本では、社会心理学の多くの実験結果を例に、そのことが語られます。
この実験結果自体は興味深く説得力のあるものですが、0.4程度の相関係数をかなり強い正の相関としているところがちょっと気になりました。
監視や規制により得られる安心社会より、不確実な状況の下で他者を信頼する社会のほうが、素敵ではあるけれど、どうしたらそういった社会を作れるのか難しい問題ですね。
安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方
山岸俊男/中央公論新社(中公新書)/1999
・ 書籍の紹介一覧 B0051
・ MediaMarker
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 大江健三郎さんが亡くなられた(2023.03.13)
- 「週刊朝日」が2023年5月をもって休刊(2023.01.19)
- 週刊少年ジャンプをダブって買ってしまった(2023.01.16)
- 書店がひとつもない自治体が全国で26%(2022.12.09)
- 週刊少年ジャンプは2023年(2022.12.05)
「書籍の紹介」カテゴリの記事
- 見えない絶景 深海底巨大地形/藤岡換太郎(2021.10.13)
- ゆでめん/野上眞宏・鈴木 茂(2021.10.02)
- 緊急提言 パンデミック/ユヴァル・ノア・ハラリ(2021.07.25)
- ナミヤ雑貨店の奇跡/東野圭吾(2021.07.05)
- 大滝詠一 A LONG VACATION読本 40th ANNIVERSARY /大瀧詠一(2021.04.03)
コメント