フード・セキュリティー/レスター・ブラウン
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このところの米国のバイオエタノールの増産で、その原料となるトウモロコシを含めた穀物の相場が昨年の秋頃から上昇しています。
このトウモロコシのエタノール化は、米国としてみれば、二酸化炭素の削減という温暖化対策もあるのでしょうが、むしろ国際情勢に左右される石油への依存の軽減や国内の農業対策といった意味合いの方が強いと思います。
このことは、家畜の餌としてトウモロコシをはじめとする穀物の多くを米国に依存している日本への影響は大きいでしょうし、主食として穀物を輸入している国々がトウモロコシなどを買えなくなるなんてことが起こるかもしれません。
そんな中、先日、東京のイイノホールで行われた独立行政法人農業環境技術研究所主催の農業環境シンポジウム 「食料 vs エネルギー - 穀物の争奪戦が始まった -」 に行ってきました。
今日的テーマを取り上げているし、基調講演をレスター・ブラウンが行うこともあって、800人ほど収容できる会場は、ほぼ満員でした。

シンポジウムは、ブラウンの「バイオ燃料が食卓を脅かす」と題された基調講演と、ブラウンを加えた5人の専門家によるパネルディスカッションで構成されていました。
ブラウンの基調講演の内容は、「フード・セキュリティー -だれが世界を養うのか」のダイジェストで、特に新しい内容や見解を聞くことはできませんでした。
・ シンポジウムの様子は、農業環境技術研究所のウェブの「シンポジウム・研究会・ワークショップの開催記録」にテキスト、PDF、動画がアップロードされています。(追記 2007.06.21)
今、石油とバイオエタノールとトウモロコシ、エネルギーと食料が、連動して経済が構成されるという、新たな時代をむかえていると思います。そして、現状ではその動きは経済の原理にのみまかされ、大局的に動きをコントロールする組織や機関がないことなどを考えさせられました。
最近、環境問題に関わる本を少しずつ読んでいます。
「フード・セキュリティー」を読む少し前に、ビョルン・ロンボルグの「環境危機をあおってはいけない - 地球環境のホントの実態」を読みました。こちらは、環境問題を広範に扱っていますが、「フード・セキュリティー」の対極にある本です。
環境問題については、是非の両面からいろいろと本を読みたいと思っています。でも、両方ともそれはそれで正しいように感じてしまって、そうした中で僕は何をしたら良いのか考えることって難しいね。
いずれ「環境危機をあおってはいけない」も紹介しようと思います。
フード・セキュリティー -だれが世界を養うのか
(OUTGROWING THE EARTH - THE FOOD SECURITY CHALLENGE IN AN AGE OF FALLING WATER TABLES AND RISING TEMPERATURES -
Lester R.Brown/福岡克也(監訳)/ワールドウォッチジャパン/2006
・ 書籍の紹介一覧 B0050
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コメント
ニャンゴさん、北の大地での生活は始まりましたか?
僕はこのところやけに忙しくって・・・
ところで、僕の個人的な作戦というか妄想。
30aの農地が欲しいです。10aは水田、10aは露地畑、5aは簡単なパイプハウス、残りの5aは、残飯処理係の豚と雑草処理係の山羊、そして数羽の鶏・・・。やれやれ、これではダッシュ村というか、昔の農家だね。
これで、1家4人くらいは飢えずにすむと思うけれど、これを日本人全員がやると、農地が足りないんです。
フード・セキュリティを人口が多く国土の狭い日本で成立させるには、よっぽど上手くやらないとダメてことかな。
投稿: Kaze | 2007.06.07 20:05
昨日、町内にあるT農園へ行ってきました。道道から入ること3km弱。最後の500mは砂利道です。そこにわざわざ行った理由は、そこには平飼いのニワトリとその卵、雑草ぼうぼうの中から顔を出すアスパラがあるからです。
要は無農薬とか、自然体でやっていて、その分ちと高い(2~3割くらい)。スーパーでその農園の品物を見つけて、直接農家まで買いに行ったと言うわけです。
奥さんと戯れる巨大な犬・・・、こんにちは、と入っていくと「いらっしゃい、犬大丈夫?」と言われるかどうかという間に自分の背より大きな犬が抱きかかってきました。ずしりと受け止めるとペロリとやられた。
結局すべてが経済優先になってしまうのは、変える事が難しい事実でしょうね。マクロで政策的にどうするかは、一筋縄では行かない難題だと思うけれども、モノを食べる僕達自身が、多少の知識武装と、「価値」を判断する気持ちを持たないと。何にもこだわらないくったくのないT農園の奥様も、「無農薬」ってうたっちゃいけないんだって、ヘンよね。使ってないのに、とそのことだけは気にしていました。農水省の決めていることに、僕も疑問を持ったのは事実です。
コロンブス、アメリカ大陸発見ってのもそりゃ重大な知識の一つだと思うけれども、今目の前で自分の口の中に入れようとするモノのことをほとんど知らないって、どうなんですかね?最近の少年達はお魚の名前も知らないらしい。サンマかキスかアジか、まぁマグロはメジャーで話題性もあるから知っているが、今日食べたのはお魚だった。これだけじゃフード・セキュリティの道は遠いっすよ。教育のプライオリティから考えると、食とか倫理とかって案外ないがしろなのかも知れませんね。
もっともいかがわしい「安全おじさん&おばさん」が突然茶の間のテレビに登場して、あれだめこれだめ、そっちもだめ。世の中全部間違いだらけだ!とぶちまけてもらっても疲れちゃうし。
kazeさんの個人的な作戦は何かありますか?
投稿: ニャンゴロ | 2007.06.07 09:44