パンデミック・フルー/岡田晴恵
このところのタミフルの副作用に関する報道を見聞きしているうちに、マスコミの新型インフルエンザに対する怖さの認識が弱いのかなと思うようになりました。
まあ、これから起こるかもしれない問題を想定に入れて、今起こっている問題を論じると、話がわかりづらくなって面白くないのかもしれないけれど。
新型インフルエンザに対する積極的な対策がない中で、ウイルスのノイラミニダーゼの働きを阻害するタミフルなどの薬が実用化されたと聞いたとき、十分でないにしろ対抗手段が出てきたと思いました。
ですから、昨年1月に僕がインフルエンザに感染し、タミフルが処方されたとき、タミフルの実物にちょっと感激したのとともに、普通のインフルエンザでも処方されるのが意外にも思いました。(→ 関連エントリー 2006.01.27 インフルエンザに感染したかも)
今回紹介する「パンデミック・フルー」の著者、国立感染研究所の岡田晴恵さんが、少し前のNHKのテレビニュースに出ていました。
新型インフルエンザの対策として、一般人の僕らは、ウイルスに感染しないこと、そのために2週間程度だったかもっと長かったか、食料の備蓄をすることなどを説明していました。
特に印象に残ったのは、終わり際に、お願いしますと頭を下げたことです。
そこに、新型インフルエンザに対する僕らの対抗手段は多くないという、恐ろしさを垣間見たような気がしました。
新型インフルエンザとして、懸念されている鳥インフルエンザA/H5N1型は、ニワトリに対して全身症状を出し極めて致死率の高い高病原性に分類されています。
新型インフルエンザとして問題となった、スペインかぜA/H1N1型、アジアかぜA/H2N2型、香港かぜA/H3N2型も鳥インフルエンザがヒトに感染するように変異したものと言われていますが、H5N1型のような高病原性鳥インフルエンザではありません。
ですから、鳥インフルエンザH5N1のヒトのインフルエンザへの変異に、専門家は相当な危機感を持っているのだと思います。
「パンデミック・フルー」は、一般向けにインフルエンザの歴史や性質、現在の鳥インフルエンザの状況、そして新型インフルエンザへの僕らがとれる対策などが、わかりやすく書かれています。
ちょっと、危機感を煽りすぎかなと思いますが、病原性の強い新型インフルエンザのパンデミックが起こった場合、この本に書かれていることが実際に起こるかもしれません。
ただ、巻末に参考文献の一覧をつけてくれれば、あれこれ情報が手に入ってありがたかったけれど。
鳥インフルエンザが新型に変異するとき、ヒトと折り合いをつけて病原性を弱めてくれればいいけれどね。それは淡い期待かな?
パンデミック・フルー 新型インフルエンザ Ⅹデー ハンドブック
岡田晴恵/講談社/2006
関連エントリー:2007.03.22 タミフルと副作用と新型インフルエンザ
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