環境問題の杞憂/藤倉 良
納豆のダイエット効果をうたった生活情報番組に関する一連の騒動が、ネット上のあちこちで取り上げられています。僕自身はこのテレビ番組を見ておらず、騒動の情報はマスコミを通して知るだけだから、内容についてあれこれ言えません。
ただ、健康や環境問題て、ひとつひとつの細分化された事象は、それはそれで正しいけれど、総体としてみるとなんだかおかしいということが、結構あると思います。
ちょうど、藤倉 良の「環境問題の杞憂」を読み終えたところだったので、そんなことを感じたのかもしれません。
「環境問題の杞憂」は、環境問題に対する世間一般の理解と科学的に検証した場合の差異がまとめられています。
たとえば、近年、環境が悪化し健康に影響を及ぼしていると一般に思われているが、実際は日本人の平均寿命は伸びているとか。
ただ、筆者も記していますが、全体を通して歯切れが悪い印象を受けます。
あることを安全だとか危険だとか、効果があるとか無いとかを科学的に言うとなると、歯切れが悪くなるのは当然だと思います。
どんなものでもリスクはあるものだし、結局は背負い込むリスクと得られる便益で判断せざるを得ないのかな。
そして、その判断の基準は、判断する人の置かれている環境で変わってしまう場合もあるのだから。
納豆だって、人によっては必ずしも食べやすい食品ではないけれど、日本の食生活に定着しているのは、便益がリスクを相当上回っているからでしょう。
余りにも便益やリスクを断定して語るのは問題があるし、聞き手としては疑ってかからなければね。
でも、それでは番組にならないのかな。
この本は読みやすい本だから、健康や環境問題が話題になった時、こういう見方や考え方もあるんだと、ワンクッション置く意味で、読んでみても良いかもしれません。
環境問題の杞憂
藤倉 良/新潮新書/2006
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