ガイアの復讐/ジェームス・ラブロック
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先日、職場に出勤した時、打合せテーブルに並べられた朝刊の中の「2040年夏、北極の氷ほぼ消滅」という見出しの産経新聞の記事が目にとまりました。ちょうど前の晩にジェームス・ラブロックの「ガイアの復讐」を読み終えたのばかりだったので、特にその見出しが目にとまったのかもしれません。
僕が初めて読んだラブロックの著作は、もう20年近くも前の「ガイアの時代」(工作舎)でした。
その中に記された、環境が低温の場合は黒いデイジーが優勢で太陽光を吸収し自身と周辺環境を暖め、高温の場合は白いデイジーが優勢で太陽光を反射し自身と周辺環境を冷やし、生育に適した環境に調整するというデイジー・モデルが、特に印象に残りました。
このような地球上の生命が自ら最適な環境に調整するというラブロックとリン・マルグリスのガイア仮説(その後のガイア理論)は、環境への適応により生物は進化すると思っていた僕には新鮮でした。
1990年代に入り、地球環境問題がグローズアップされ、'ガイア'という言葉をよく耳にするようになりました。
そして、その言葉の使われ方に、ラブロック達が唱える'ガイア'との違いを感じていました。
ガイアが地球環境の文脈の中で使われる時、その多くはあくまで人間にとっての地球環境として使われているように思います。でも、ラブロックは、人間もガイアの一部で、むしろガイアにとってその調整機能を破壊する有害な存在として捉えています。
「ガイアの復讐」はそのことが端的に語られています。さらに、ガイアは人間を排除にかかっていると。
ガイアが人間を受け入れるためには、人間の数が多すぎるとも。
その多すぎる人間を支える基本となっている電気は、核融合や水素エネルギー技術が確立するまで、環境にもっとも負荷の少ない核分裂エネルギーに頼るしかないと記します。
ラブロックの危機感が伝わってくる一冊ですが、日々、電気による快適な生活を享受している僕にとって、手厳しい本です。
大江健三郎は作家を未来の危機を予測する「炭鉱のカナリア」と言いました。ラブロックも科学者としての「炭鉱のカナリア」なのかもしれません。
ラブロックが地球温暖化の臨界点を二酸化炭素濃度500ppmとしています。北極の氷の溶ける量が増加すれば、氷の中の二酸化炭素が放出されて温暖化に拍車がかかると思います。気温の上昇による海水の膨張により、日本の海岸に面した平野は水没を逃れるために、防波堤に囲まれるようになるのだろうか?
ガイアの復讐(The REVENG of GAIA)
James Lovelock/秋元勇巳(監修)・竹村健一(訳)/中央公論社/2006
2040年夏、北極の氷ほぼ消滅
地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスの増加をこのまま放置すれば、北極の氷はこれまでの4倍のスピードで減少、2040年夏にはほぼ消滅するという試算結果が12日、米国地球物理学連合の学会誌「地球物理学研究レター」で発表された。
2006/12/12/産経新聞
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