解剖学教室へようこそ/養老孟司
出張の宿泊先で飲み歩いたり食べ歩いたりしない僕は、荷物になららない文庫本を持っていて、大抵は夜、ホテルでその本を読んでいます。
今回の出張には、たまたま出張前の週末に本屋で見つけた養老孟司の「解剖学教室へようこそ」を持っていきました。
養老の著作は、以前紹介した「唯脳論」をはじめ、折に触れて読んでいるけれど、「解剖学教室へようこそ」は読んでいなくて、文庫本ということもあり、出張に持っていくことにしました。
この本は、解剖学者の養老の経験をとおして、解剖学の歴史や意義が語られます。そして、人体構造や生と死についても言及しています。
「バカの壁」に代表される最近の著作のようなわかり易さやまとまりのよさはありませんが、中高校生を意識して書かれているので、全体を通して読みやすい本です。
そして、研究者や技術者の書いた本は、やはり現役時代のものが面白いとあらためて感じました。
現役時代に書かれたものは、時として専門的であり広がりに欠けることがありますが、現在進行形で書かれているため、新鮮な印象を受けます。そして、洗練されず不完全な分、読み手の想像力を掻き立ててくれます。
ただ、当然、現役の時は本業に忙しいわけで、本として出版される機会が少ないのが残念ですが。
「解剖学教室へようこそ」もそんなことを感じた一冊です。
解剖学教室へようこそ
養老孟司/ちくま文庫/2005(初版1993)
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コメント
ニャンゴロさん、こんにちは。
今日の静岡は、最高気温が30℃を超え、5月1日とは思えない暑い1日でした。
僕の読んだ「解剖学教室へようこそ」は、書かれたのは現役中ですが、文庫化は東大を退官した後です。
そして、文庫版のあとがきに、「今度書くなら、虫の解剖にする。」と記しています。
科学の分野で活躍する(した)人に、昆虫少年が多いのは、何か関係があるのだろうか?
投稿: Kaze | 2006.05.01 21:26
養老孟子の書く本、本当に楽しいですね。僕が最近読んだ中では「私の脳はなぜ虫が好きか?」です。kazeさんの言うように、現役時代に書かれたものではないけれども、この内容からすると、むしろ今が養老氏にとって現役時代と言えるかもしれません。
彼のように科学を楽しく分かりやすく著す人が増えたら、きっと理科が好きな少年少女も増えるような気がしますね。
投稿: ニャンゴロ | 2006.05.01 02:30