カテゴリー「書籍の紹介」の157件の記事

2020.09.10

電車を止めるな! ~呪いの6.4km~/寺井広樹

「電車を止めるな!」は、経営不振にあえぐ銚子電気鉄道が、起死回生のために企画した「心霊電車」。それが、本当の心霊電車になってしまったという物語です。

この小説が、映画化され今公開されています。 ただ、残念ながら静岡では今のところ公開されていません。

銚子電鉄は、慢性的に経営状況が悪く、「ぬれ煎餅」や「まずい棒」を販売したり、駅舎をメルヘン風?にしたり、様々な企画をしています。
先日も。「お先真っ暗オーバーサングラス」、「すべらない くもらない メガネ拭き」などがセットになった「お先真っ暗セット」が販売になったので購入しました。

経営危機は深刻なのでしょうが、銚子電鉄のどこかとぼけた開き直りを応援したくなります。

映画された「電車を止めるな!」。静岡でも上映しないかなあ。


冒頭3分間を特別公開! 映画「電車を止めるな!」本編映像映画「電車を止めるな!」公式

関連エントリー:銚子電鉄の「お先真っ暗セット」が届きました 2020.05.08

本電車を止めるな! ~呪いの6.4km~
寺井広樹(Terai Hiroki)
PHP文芸文庫/2019

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2020.07.20

コロナの時代の僕ら/パオロ・ジョルダーノ

6月下旬頃から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の陽性者数が増えてきています。行動制限の緩和によるウイルスの伝播はある程度予想されていたことですが、連日テレビでは専門家もそうでない人もいろいろな見解を述べ、不安になるばかりです。

僕もSARS-CoV-2と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を知りたくて、少しづつ本を読んでいて、「コロナの時代の僕ら」もその1冊です。

作者のパオロ・ジョルダーノは「素数たちの孤独」の筆者です。「素数たちの孤独」は偶数を挟んで隣り合う双子の素数に重ね、近づけど決して交わらないふたりを描いた恋愛小説で面白かったです。素粒子物理学を専攻したジョルダーノが、COVID-19に関するエッセイを書いているというので読みました。

このエッセイは、今年の春、感染爆発が起こり非常事態宣言が出されたイタリア・ローマで書かれています。

ジョルダーノはCOVID-19の専門家ではありませんが、科学的な視点で冷静にそれでも異常事態のもとで様々な考えが書かれています。

下の引用はエッセイの最後に書かれた一文です。恐らく、ジョルダーノが書くようにSARS-CoV-2の陽性者が増加すれば行動制限し、減少すれば緩和することを何度か繰り返し終わりを迎えるのでしょう。そしてSARS-CoV-2は、新型インフルエンザといわれたA/H1N1pam2009のように定着してしまうと思います。

ただ、その時に次に起こる他の病原体によるパンデミックに僕らは備えられるかというところですね。

もっとも可能性の高いシナリオは、条件付きの日常と警戒が交互する日々だ。しかし、そんな暮らしもやがて終わりを迎える。そして復興が始まるだろう。
支配階級は肩を叩きあって、お互いの見事な対応ぶり、真面目な働きぶり、犠牲的行動を褒め讃えるだろう。<中略>一方、僕らはきっとぼんやりしてしまって、とにかく一切をなかったことにしたがるに違いない。<中略>
もしも、僕たちがあえて今から、元に戻ってほしくないことについて考えない限りは、そうなってしまうはずだ。まずはめいめいが自分のために、そしていつかは一緒に考えてみよう。僕には、どうしたらこの非人道的な資本主義をもう少し人間に優しいシステムにできるのかも、経済システムがどうすれば変化するのかも、人間が環境とのつきあい方をどう変えるべきなのかもわからない。実のところ、自分の行動を変える自信すらない。でも、これだけは断言できる。まずは進んで考えてみなければ、そうした物事はひとつとして実現できない。
コロナの時代の僕ら 114~115ページ/パオロ・ジョルダーノ/飯田亮介(訳)

関連エントリー:素数たちの孤独/パオロ・ジョルダーノ 2009.09.30

本コロナの時代の僕ら
パオロ・ジョルダーノ(Paolo Giordano) 訳:飯田亮介
早川書房/2020

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2020.01.08

北斎漫画/葛飾北斎

この3巻BOX本は、葛飾北斎の「北斎漫画」全15巻を、「江戸百態」「森羅万象」「奇想天外」の3テーマにわけたものです。

200108
・ 北斎漫画1. 江戸百態 2. 森羅万象 3. 奇想天外 全3巻 /葛飾北斎/青幻社

葛飾北斎はCOOL JAPANの代表格。「北斎漫画」はヨーロッパに北斎が知られるきっかけになった本です。

江戸の生活や風景などが描かれたイラスト集で、そもそもが江戸末期から明治初期に絵描きの手本本として出版されたそうです。

一枚一枚が緻密にユーモアたっぷりに描かれており、ぼんやりと眺めていても楽しい本です。見る人が見れば当時の様子を知る貴重な資料なんだろうな。

本北斎漫画
葛飾北斎(Katsusika Hokusai)
1. 江戸百態 2. 森羅万象 3. 奇想天外 全3巻BOX
青幻社/2011

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2018.12.03

日本海/蒲生俊敬

静岡に住んでいると海は太平洋で、これまで日本海にはあまり意識がいきませんでした。
興味も駿河トラフとか南海トラフとかフィリピン海プレートとか、太平洋側の現象です。

ただ、「日本海」を読んで意識が変わりました。

日本海が存在することによって、大陸とは違う日本列島の気候、そして日本人の生活や考え方にまで影響を及ぼす大きな存在であることを知りました。

また、間宮、宗谷、津軽、対馬の水深の浅い海峡により、閉じた海になっているため深層から表面に至る独自の海流をつくっているそうです。

この本によって、太平洋側に住む僕には馴染みの薄かった日本海が、現在の日本列島の形成に関わっていることを知りました。

本日本海 その深層で起こっていること
蒲生俊敬(Gamo Toshitaka)/講談社(ブルーバックス)/2016

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2018.10.16

フォッサマグナ/藤岡換太郎

静岡には、日本列島を東西に分断する糸魚川静岡構造線と西日本を南北に分断する中央構造線のふたつの大地溝が走っていいます。
そして糸魚川静岡構造線は、フォッサマグナの西の縁にあたります。

ブルーバックスの「フォッサマグナ」は、タイトルどおりフォッサマグナについての一般向けの解説書ですが、日本列島を構成する重要な地溝にもかかわらずよくわかっていないことが多いのですね。

僕は単純に北米プレートにのった東日本とユーラシアプレートにのった西日本とに海で分断された日本列島に、南からフィリピン海プレートがぶつかってできたのがフォッサマグナだと思っていました。

「フォッサマグナ」を読むと、単純なものではなくフォッサマグナ自体も北と南では地質的に違いがあり、成り立ちが違っているようです。

また、フォッサマグナの深さも6000mまでは分かっているけれど、それ以上はよく分かっていないらしいです。
さらに中央構造線はフォッサマグナの下にあり関東まで伸びているとか、とても複雑な構造をしているみたい。

日本列島を構成する重要なフォッサマグナがよく分かっていないことに、日本列島の成り立ちの特殊性を感じます。

この本は、身近にあるけれどほとんど静岡では姿を見せないフォッサマグナを考えるいい機会になりました。

本フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体
藤岡換太郎 (Fujioka Kantaro)/講談社(ブルーバックス)/2018

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2018.09.07

カンテラ日記/中島 博

「カンテラ日記」は、先日廃棄処分が報じられた富士山測候所の職員が毎日の出来事や感想をつづった「カンテラ日誌」からの抜粋に富士山測候所に11年間勤務した中島 博さんが解説を加え、1985年に発行されたものです。

日誌は、1937年から無人化される2004年まではほぼ完全に残っていたそうですが、廃棄された今では「カンテラ日記」でその片鱗を知ることができます。ただ、「カンテラ日記」も絶版のようで中古本市場にもほとんど出回っていないようです。

この本では測候所が剣ケ峰に移転した1937年から、戦中、敗戦、気象レーダーや新庁舎の建設を経て、1983年までの日誌の極一部が掲載されています。
ごく一部といっても時代ごと内容に特徴と深みがあって読み応えがあります。

「カンテラ日誌」が廃棄され残っていないので、せめて「カンテラ日記」が復刻されはいかな。

関連エントリー:富士山測候所「カンテラ日誌」が廃棄された 悲しいニュースです せめて単行本「カンテラ日記」を復刻できないものか 2018.08.15

本カンテラ日記 富士山測候所の五〇年
中島 博 (Nakashima Hiroshi)/筑摩書房(ちくま少年図書館 90 社会の本)/1985

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2018.06.15

錯覚の科学/クリストファー・チャブリス、ダニエル・シモンズ

「錯覚の科学」は、「注意」「記憶」「自信」「知識」「原因」「可能性」の6つの視点から、ヒトが逃れられない錯覚について書かれた本です。

それぞれが、実験結果をもとに何故錯覚を起こすのかが述べられているので、面白く読めます。

脳は、刻一刻と変化しインプットされる大量の情報を処理しきれないので、これまでの経験や知識をもとにしたアルゴリズムで処理するため錯覚が起こるということだろうか。

6つの錯覚のサブタイトルがその錯覚をよく表しています。
・ 注意の錯覚:えひめ丸はなせ沈没したのか?
・ 記憶の錯覚:捏造された「ヒラリーの戦場体験」
・ 自信の錯覚:冤罪証言はこうして作られた
・ 知識の錯覚:リーマンショックを招いた投資家の誤算
・ 原因の錯覚:俗説、デマゴーグ、そして陰謀論
・ 可能性の錯覚:自己啓発、サブリミナル効果のウソ

錯覚の怖いところは、錯覚していることに本人は気がついていないところだけど...

下のビデオは、バスケの試合に乱入したゴリラに気がつかない注意の錯覚を紹介した「見えないゴリラ」です。


The Invisible Gorilla (featuring Daniel Simons) - Regional EMMY Winning Video

本錯覚の科学 (The Invisible Gorilaa and other ways our intuitions deceive us)
Christopher Chabris,Daniel Simons/木村博江 (Kimura Hiroe)(訳)/文藝春秋 (文春文庫)/2014

書籍の紹介一覧 B0151

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錯覚の科学 (文春文庫)
クリストファー チャブリス, ダニエル シモンズ
文藝春秋 ( 2014-08-06 )
ISBN: 9784167901769

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2017.11.30

バースデイ・ガール/村上春樹

新作かと思って読み始めたら、どこかかなり前の村上春樹の雰囲気がする物語だと感じました。
あとがきを読むと、15年ほど前にバースディ・ストーリーを集めて翻訳した本に、村上が書き下ろした短編だそうで、それで納得しました。読んでいませんでした。

「バースデイ・ガール」は、彼女が二十歳の誕生日に経験した不思議な出来事とその後についての物語です。

村上作品らしく物語には結論がありません。

ただ、

人間というのは、何を望んだところで、どこまでいったところで、自分以外にはなれないねっていうこと。ただそれだけ
という彼女の言葉が何を意味するのか、考えるより感じることかも。

そして、

あなたはきっともう願ってしまったのよ
と、主人公の「僕」に向けられる彼女の言葉は、読んでいる僕にも向けられた言葉です。

村上の短編を久し振りに読んで、はっとさせられました。

本バースデイ・ガール
村上春樹 (Murakami Haruki) イラストレーション:カット・メンシック(Kat Manschik)/新潮社/2017

書籍の紹介一覧 B0150

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バースデイ・ガール
村上 春樹
新潮社 ( 2017-11-30 )
ISBN: 9784103534358

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2017.11.23

小澤征爾さんと、音楽について話をする/村上春樹 小澤征爾

発売当初に購入したもののずいぶん長い間積んでおいて、ようやく読み終えました。
なんでもっと早く読まなかったんだと思うほど面白かった。

「小澤征爾さんと、音楽について話をする」は、2010年冬から'11年夏にかけて療養中の小沢征爾に対する6回にわたる村上春樹のロングインタビューをまとめたものです。

小沢があとがきに「音楽好きの友人はたくさん居るけれど、春樹さんはまあ云ってみれば、正気の範囲をはるかに越えている。」と記すように、村上の豊富でマニアックな知識と感性で行うインタビューは、長期療養中の小沢を刺激したようで、実に興味深く面白く読めます。

インタビューというより小沢と村上の対話です。

バーンスタイン、カラヤン、ボストン、サイトウ・キネン..... 小澤が深く関わった指揮者、演奏家、オーケストラをとおして、小澤の音楽が語られます。

特に面白かったのはマーラーについての対談です。
マーラーの交響曲は、様々なものが一緒に出てくる脈絡のなさというか、難しく聴くのに骨が折れます。そんなわけで、僕は何枚かマーラーのCDやLPを持っていますが、ずいぶん久しく聴いていません。

小澤は楽譜を深く深く読み込むそうです。そして、自らの思いよりも音楽を音楽として捉えているのだと。
そうかと思い、このところマーラーを聴くようになりました。

また、この本の中で語られた楽曲について3枚組のCDが出ていて、あわせて聴くととても興味深いです。

音楽について村上は他にも書いているし、彼の小説中にも描かれていますが、村上の文章は音楽を聴ききたくなります。

 「小澤征爾さんと、音楽について話をする」と「『小澤征爾さんと、音楽について話をする』で聴いたクラシック」
・ 「小澤征爾さんと、音楽について話をする」と「『小澤征爾さんと、音楽について話をする』で聴いたクラシック」

本小澤征爾さんと、音楽について話をする
村上春樹 (Murakami Haruki) 小澤征爾 (Ozawa Seiji)/新潮社/2011

書籍の紹介一覧 B0149

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小澤征爾さんと、音楽について話をする
小澤 征爾, 村上 春樹
新潮社 ( 2011-11-30 )
ISBN: 9784103534280

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2017.07.06

サラダ記念日/俵 万智

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
サラダ記念日/俵万智

7月6日はサラダ記念日ということで俵 万智の「サラダ記念日」を読み返しています。

言わずと知れた俵 万智の最初の歌集でベストセラーになりました。

短歌には縁のなかった僕でも、五七五七七 31文字に凝縮された新鮮な言葉による心に惹かれました。

また、朝日パソコン(廃刊)で俵さんがPCと奮闘する連載があって親しみを持って、その後の歌集やエッセイを折に触れて読んできました。

改めて読み返してみると、どこかふんわりしていて20代の心が表れています。その後の作品は、どんどん情念が滲み出て怖いなあと凄みを感じるものね ^^;

本サラダ記念日
俵 万智 (Tawara Machi) /河出書房新社(河出文庫)/1987

書籍の紹介一覧 B0148

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サラダ記念日 (河出文庫―BUNGEI Collection)
俵 万智
河出書房新社 ( 1989-10-01 )
ISBN: 9784309402499

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