カテゴリー「書籍の紹介」の160件の記事

2021.01.13

宇宙に行くことは地球を知ること/野口聡一・矢野顕子

この本は、現在、国際宇宙ステーション(ISS)で3回目のミッションに取り組んでいる野口聡一さんと矢野顕子さんが、ミッション前に行ったロングインタービューをまとめたものです。

宇宙飛行士本人が書いたりインタビューをまとめた本はいろいろあるけれど、この本は矢野さんの視点で質問がされ、野口さんが詳しく答えているところが面白いです。矢野さん自身宇宙関係の知識が豊富でその上で彼女の感性で質問しているところが親しみが持てます。

船外活動での死との隣り合わせの絶対的な孤独と、眼下の圧倒的な生命の星 地球の美しさは、実際に経験したことしか味わえない特殊な感覚なのでしょう。

それと、読んでいて思ったのはISSは技術も運用も徐々に民間に移っているということです。

今回、ISSまで行ったクルードラゴン1号機はスペースX社のものだし、民間の宇宙利用の始まりですね。

そしてNASAをはじめとした公は、月や火星の有人ミッションに力を入れていくことでしょう。

この本は気楽に読めて、それでいて内容が充実しているので面白いです。

本宇宙に行くことは地球を知ること -「宇宙新時代」を生きる
野口聡一(Noguchi Souichi)・矢野顕子(Yano Akiko)・取材・文:林 公代(Hayashi Kimiyoi)
光文社新書/2020

書籍の紹介一覧 B0160

-----
Amazon.co.jp アソシエイト

| | コメント (0)

2021.01.08

地球科学入門 地球の観察 地質・地形・地球史を読み解く/平 朝彦・海洋研究開発機構

この本は、海洋地質学や地球史が専門の平 朝彦さんと海洋及び地球に関する研究・開発をする海洋研究開発機構(JAMSTEC)が地球科学の入門書としてまとめられたものです。入門書といっても内容はかなり専門的ですが...

JAMSTECの有人潜水調査船「しんかい6500」や地球深部探査船「ちきゅう」などによって、調査された結果などが図や写真をふんだんに使って視覚的に表されています。

また、別冊のや用語解説、追加説明にQRコードによりネットなどを参照でき情報量が豊富です。

1. 地球を眺める 海洋底と大陸の大地形 2. 海底の世界 3. 地層のでき方 4. 火山の脅威 5. プレートの沈み込みと付加体の形成 6. 地質学的に見た東北地方太平洋沖地震・津波 7. 地球史と日本列島の誕生 8. 海洋・地球を調べる と、どれも興味深い8章にわかれています。

とても面白い一冊です。 

本地球科学入門 地球の観察 地質・地形・地球史を読み解く
平 朝彦(Taira Asahiko)・国立研究開発法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)
講談社/2020

書籍の紹介一覧 B0159

-----
Amazon.co.jp アソシエイト

| | コメント (0)

2020.11.12

新型コロナウイルスを制圧する/河岡義裕,河合香織

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)そのもに対峙し、その性状と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策に関与している研究者の本です。
多忙な河岡義裕さんのSARS-CoV-2の考え方を河合香織さんがインタビュー形式でまとめられています。

新型コロナウイルス感染症は、マスメディアで専門家もそうでない人も様々な考えを言っているけれど、本当のところはどうなのかと不安になります。
そうした中で、ウイルスそのもの対峙している研究者の現在進行形の話は参考にもなり面白くもあります。

この本は今年の7月までの状況が書かれたもので、それまでに分かっていることや不明な点がわかりやすく書かれています。

中には、マスクの効果について実験中の記述もあり、これについては最近、結果が公表されました。

 Effectiveness of Face Masks in Preventing Airborne Transmission of SARS-CoV-2 September/October 2020 Volume 5 Issue 5 /American Society for Microbiology

この冬の感染拡大が心配されていますが、今、PCR陽性者が増えつつあるウイルスか、これまでのウイルスと同等なのか変異しているのか気になるところです。
この点もいずれ河岡さんの研究チームが明らかにしてくれるでしょう。

関連エントリー
・ インフルエンザ危機/河岡義裕 2006.02.03
インフルエンザ パンデミック/河岡義裕,堀本研子 2009.11.12

本新型コロナウイルスを制圧する ウイルス学教授が説く、その「正体」
河岡義裕(Kawaoka Yoshihiro) 聞き手:河合香織(Kawai Kaori)
文藝春秋/2020

書籍の紹介一覧 B0158

-----
Amazon.co.jp アソシエイト

| | コメント (0)

2020.09.10

電車を止めるな! ~呪いの6.4km~/寺井広樹

「電車を止めるな!」は、経営不振にあえぐ銚子電気鉄道が、起死回生のために企画した「心霊電車」。それが、本当の心霊電車になってしまったという物語です。

この小説が、映画化され今公開されています。 ただ、残念ながら静岡では今のところ公開されていません。

銚子電鉄は、慢性的に経営状況が悪く、「ぬれ煎餅」や「まずい棒」を販売したり、駅舎をメルヘン風?にしたり、様々な企画をしています。
先日も。「お先真っ暗オーバーサングラス」、「すべらない くもらない メガネ拭き」などがセットになった「お先真っ暗セット」が販売になったので購入しました。

経営危機は深刻なのでしょうが、銚子電鉄のどこかとぼけた開き直りを応援したくなります。

映画された「電車を止めるな!」。静岡でも上映しないかなあ。


冒頭3分間を特別公開! 映画「電車を止めるな!」本編映像映画「電車を止めるな!」公式

関連エントリー:銚子電鉄の「お先真っ暗セット」が届きました 2020.05.08

本電車を止めるな! ~呪いの6.4km~
寺井広樹(Terai Hiroki)
PHP文芸文庫/2019

書籍の紹介一覧 B0157

-----
Amazon.co.jp アソシエイト

| | コメント (0)

2020.07.20

コロナの時代の僕ら/パオロ・ジョルダーノ

6月下旬頃から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の陽性者数が増えてきています。行動制限の緩和によるウイルスの伝播はある程度予想されていたことですが、連日テレビでは専門家もそうでない人もいろいろな見解を述べ、不安になるばかりです。

僕もSARS-CoV-2と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を知りたくて、少しづつ本を読んでいて、「コロナの時代の僕ら」もその1冊です。

作者のパオロ・ジョルダーノは「素数たちの孤独」の筆者です。「素数たちの孤独」は偶数を挟んで隣り合う双子の素数に重ね、近づけど決して交わらないふたりを描いた恋愛小説で面白かったです。素粒子物理学を専攻したジョルダーノが、COVID-19に関するエッセイを書いているというので読みました。

このエッセイは、今年の春、感染爆発が起こり非常事態宣言が出されたイタリア・ローマで書かれています。

ジョルダーノはCOVID-19の専門家ではありませんが、科学的な視点で冷静にそれでも異常事態のもとで様々な考えが書かれています。

下の引用はエッセイの最後に書かれた一文です。恐らく、ジョルダーノが書くようにSARS-CoV-2の陽性者が増加すれば行動制限し、減少すれば緩和することを何度か繰り返し終わりを迎えるのでしょう。そしてSARS-CoV-2は、新型インフルエンザといわれたA/H1N1pam2009のように定着してしまうと思います。

ただ、その時に次に起こる他の病原体によるパンデミックに僕らは備えられるかというところですね。

もっとも可能性の高いシナリオは、条件付きの日常と警戒が交互する日々だ。しかし、そんな暮らしもやがて終わりを迎える。そして復興が始まるだろう。
支配階級は肩を叩きあって、お互いの見事な対応ぶり、真面目な働きぶり、犠牲的行動を褒め讃えるだろう。<中略>一方、僕らはきっとぼんやりしてしまって、とにかく一切をなかったことにしたがるに違いない。<中略>
もしも、僕たちがあえて今から、元に戻ってほしくないことについて考えない限りは、そうなってしまうはずだ。まずはめいめいが自分のために、そしていつかは一緒に考えてみよう。僕には、どうしたらこの非人道的な資本主義をもう少し人間に優しいシステムにできるのかも、経済システムがどうすれば変化するのかも、人間が環境とのつきあい方をどう変えるべきなのかもわからない。実のところ、自分の行動を変える自信すらない。でも、これだけは断言できる。まずは進んで考えてみなければ、そうした物事はひとつとして実現できない。
コロナの時代の僕ら 114~115ページ/パオロ・ジョルダーノ/飯田亮介(訳)

関連エントリー:素数たちの孤独/パオロ・ジョルダーノ 2009.09.30

本コロナの時代の僕ら
パオロ・ジョルダーノ(Paolo Giordano) 訳:飯田亮介
早川書房/2020

書籍の紹介一覧 B0156

| | コメント (0)

2020.01.08

北斎漫画/葛飾北斎

この3巻BOX本は、葛飾北斎の「北斎漫画」全15巻を、「江戸百態」「森羅万象」「奇想天外」の3テーマにわけたものです。

200108
・ 北斎漫画1. 江戸百態 2. 森羅万象 3. 奇想天外 全3巻 /葛飾北斎/青幻社

葛飾北斎はCOOL JAPANの代表格。「北斎漫画」はヨーロッパに北斎が知られるきっかけになった本です。

江戸の生活や風景などが描かれたイラスト集で、そもそもが江戸末期から明治初期に絵描きの手本本として出版されたそうです。

一枚一枚が緻密にユーモアたっぷりに描かれており、ぼんやりと眺めていても楽しい本です。見る人が見れば当時の様子を知る貴重な資料なんだろうな。

本北斎漫画
葛飾北斎(Katsusika Hokusai)
1. 江戸百態 2. 森羅万象 3. 奇想天外 全3巻BOX
青幻社/2011

書籍の紹介一覧 B0155

-----
Amazon.co.jp アソシエイト 

| | コメント (0)

2018.12.03

日本海/蒲生俊敬

静岡に住んでいると海は太平洋で、これまで日本海にはあまり意識がいきませんでした。
興味も駿河トラフとか南海トラフとかフィリピン海プレートとか、太平洋側の現象です。

ただ、「日本海」を読んで意識が変わりました。

日本海が存在することによって、大陸とは違う日本列島の気候、そして日本人の生活や考え方にまで影響を及ぼす大きな存在であることを知りました。

また、間宮、宗谷、津軽、対馬の水深の浅い海峡により、閉じた海になっているため深層から表面に至る独自の海流をつくっているそうです。

この本によって、太平洋側に住む僕には馴染みの薄かった日本海が、現在の日本列島の形成に関わっていることを知りました。

本日本海 その深層で起こっていること
蒲生俊敬(Gamo Toshitaka)/講談社(ブルーバックス)/2016

書籍の紹介一覧 B0154

-----
amazon

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.10.16

フォッサマグナ/藤岡換太郎

静岡には、日本列島を東西に分断する糸魚川静岡構造線と西日本を南北に分断する中央構造線のふたつの大地溝が走っていいます。
そして糸魚川静岡構造線は、フォッサマグナの西の縁にあたります。

ブルーバックスの「フォッサマグナ」は、タイトルどおりフォッサマグナについての一般向けの解説書ですが、日本列島を構成する重要な地溝にもかかわらずよくわかっていないことが多いのですね。

僕は単純に北米プレートにのった東日本とユーラシアプレートにのった西日本とに海で分断された日本列島に、南からフィリピン海プレートがぶつかってできたのがフォッサマグナだと思っていました。

「フォッサマグナ」を読むと、単純なものではなくフォッサマグナ自体も北と南では地質的に違いがあり、成り立ちが違っているようです。

また、フォッサマグナの深さも6000mまでは分かっているけれど、それ以上はよく分かっていないらしいです。
さらに中央構造線はフォッサマグナの下にあり関東まで伸びているとか、とても複雑な構造をしているみたい。

日本列島を構成する重要なフォッサマグナがよく分かっていないことに、日本列島の成り立ちの特殊性を感じます。

この本は、身近にあるけれどほとんど静岡では姿を見せないフォッサマグナを考えるいい機会になりました。

本フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体
藤岡換太郎 (Fujioka Kantaro)/講談社(ブルーバックス)/2018

書籍の紹介一覧 B0153

-----
amazon

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.09.07

カンテラ日記/中島 博

「カンテラ日記」は、先日廃棄処分が報じられた富士山測候所の職員が毎日の出来事や感想をつづった「カンテラ日誌」からの抜粋に富士山測候所に11年間勤務した中島 博さんが解説を加え、1985年に発行されたものです。

日誌は、1937年から無人化される2004年まではほぼ完全に残っていたそうですが、廃棄された今では「カンテラ日記」でその片鱗を知ることができます。ただ、「カンテラ日記」も絶版のようで中古本市場にもほとんど出回っていないようです。

この本では測候所が剣ケ峰に移転した1937年から、戦中、敗戦、気象レーダーや新庁舎の建設を経て、1983年までの日誌の極一部が掲載されています。
ごく一部といっても時代ごと内容に特徴と深みがあって読み応えがあります。

「カンテラ日誌」が廃棄され残っていないので、せめて「カンテラ日記」が復刻されはいかな。

関連エントリー:富士山測候所「カンテラ日誌」が廃棄された 悲しいニュースです せめて単行本「カンテラ日記」を復刻できないものか 2018.08.15

本カンテラ日記 富士山測候所の五〇年
中島 博 (Nakashima Hiroshi)/筑摩書房(ちくま少年図書館 90 社会の本)/1985

書籍の紹介一覧 B0152

・ MediaMarker

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.06.15

錯覚の科学/クリストファー・チャブリス、ダニエル・シモンズ

「錯覚の科学」は、「注意」「記憶」「自信」「知識」「原因」「可能性」の6つの視点から、ヒトが逃れられない錯覚について書かれた本です。

それぞれが、実験結果をもとに何故錯覚を起こすのかが述べられているので、面白く読めます。

脳は、刻一刻と変化しインプットされる大量の情報を処理しきれないので、これまでの経験や知識をもとにしたアルゴリズムで処理するため錯覚が起こるということだろうか。

6つの錯覚のサブタイトルがその錯覚をよく表しています。
・ 注意の錯覚:えひめ丸はなせ沈没したのか?
・ 記憶の錯覚:捏造された「ヒラリーの戦場体験」
・ 自信の錯覚:冤罪証言はこうして作られた
・ 知識の錯覚:リーマンショックを招いた投資家の誤算
・ 原因の錯覚:俗説、デマゴーグ、そして陰謀論
・ 可能性の錯覚:自己啓発、サブリミナル効果のウソ

錯覚の怖いところは、錯覚していることに本人は気がついていないところだけど...

下のビデオは、バスケの試合に乱入したゴリラに気がつかない注意の錯覚を紹介した「見えないゴリラ」です。


The Invisible Gorilla (featuring Daniel Simons) - Regional EMMY Winning Video

本錯覚の科学 (The Invisible Gorilaa and other ways our intuitions deceive us)
Christopher Chabris,Daniel Simons/木村博江 (Kimura Hiroe)(訳)/文藝春秋 (文春文庫)/2014

書籍の紹介一覧 B0151

・ MediaMarker

錯覚の科学 (文春文庫)
クリストファー チャブリス, ダニエル シモンズ
文藝春秋 ( 2014-08-06 )
ISBN: 9784167901769

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧