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2012.11.07

冥王星を殺したのは私です/マイク・ブラウン

2005年にNASAのサイトで太陽系10番目の惑星が見つかったというニュースを見たとき、冥王星の外にまだ惑星があるんだと強く印象に残りました。

名前はどうなるのか、肉眼では見ることのできない惑星 Uranus、Neptune、Plutoには天王星、海王星、冥王星と深遠な名前がついているから日本語名がどうなるのかと思っていました。
結局、国際天文学連合は後にエリスと命名されたこの天体を惑星とせず、さらにそれより小さい冥王星も惑星からはずし矮惑星(現在は準惑星と呼ばれている)とする決定がなされました。

え!!といった感じです。

関連エントリー
10番目の惑星 (2005.07.30)
幻の10番目の惑星は「エリス」 (2006.09.17)

「冥王星を殺したのは私です」は、エリスの発見者のマイク・ブラウンがそのいきさつを小説にしたものです。

ブラウンは冥王星の外側を中心に新たな惑星を探している天文学者で、エリス発見の前にも冥王星よりも小さいけれど惑星の候補となる天体をいくつか発見しています。

そして冥王星よりも大きいエリスを発見します。普通に考えるとこの天体が冥王星に次ぐ太陽系の第10惑星となるのですが、冥王星の特殊性のため冥王星を巻き込んだ大きな議論に発展します。

現在の太陽系の惑星の中でも一番小さい水星に比べても冥王星はとても小さい球形の天体です。(直径は水星の約1/2、体積は約1/10) また太陽系の惑星は太陽に対しほぼ同じ平面を公転しているのに対し冥王星はそれとは違った軌道で公転していたり、衛星とされるカロンとの双子星ではないかといわれたりと他の惑星と違った特徴をもっています。
そうしたことから以前から冥王星を惑星とすべきではないという議論があったそうです。

僕は小学校だったか中学校だったか、太陽系の惑星は水・金・地・火・木・土・天・海・冥と教わり、それを疑わなかったけれど、そもそも「惑星」の定義はあいまいのようです。(太陽系の惑星の名前は多くの人が言えるのに、惑星の定義は?と問われると答えられない。)

こうした中で冥王星より大きなエリスを惑星とすべきか(エリスが惑星でないとすれば冥王星も惑星ではなくなる)といった科学的・感情的な議論の経過が書かれています。

ブラウン自身は、新惑星の発見者という栄誉を捨て科学的な観点からエリスは惑星ではないという判断でしたが・・・

エリスやそれ以前の天体の発見の過程やエリスを惑星とするか否かの議論、それにともなう冥王星の惑星としての取扱いが、新惑星発見の研究者間の競争と陰謀、ブラウンの恋愛・結婚・子育などプライベートを交えてテンポよく語られ物語が進みます。

また、天文学者が書いているので惑星をはじめとした太陽系を知るには面白く、解説書よりもわかりやすかったりもします。

なんだかんだで、冥王星はエリスが見つかったおかげで惑星から準惑星に降格?されましたが、このことに対する時に感情的な抵抗を思うと、天体望遠鏡を使わないと見えない天体が多くの人に愛されているんだ感じます。

面白い本です。

カッコウはコンピュータに卵を産む」のクリフォード・ストールもそうでしたが、天文学者の中にはロマンティックでスリリングな物語を書く人がいますね。

本冥王星を殺したのは私です (How I Killed Pluto and Why It Had It Coming)
Mike Brown/梶山あゆみ (Kajiyama Ayumi)(訳)/飛鳥新社 (ポピュラーサイエンス)/2012

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