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2009.06.25

脳死/立花 隆

臓器移植法改正法案が国会で審議されています。
マスコミでもこのことに関わる記事を目にすることが多いのだけど、そこであれと思ったのは、「脳死は人の死か」という点です。
10年前くらいにそのことは議論されて、脳死は人の死とされているんじゃなかったけ、ということです。
平成9年に制定された「臓器の移植に関する法律」では、第6条第1項で脳死を人の死のひとつとして定義しているものね。
あ、人の死がいくつかあって、脳死がそのひとつというところが混乱の原因なんだろうか。

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臓器の移植に関する法律 (平成9年7月16日法律第104号)
(臓器の摘出)
第6条 医師は、死亡した者が生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がいないときは、この法律に基づき、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。
2 前項に規定する「脳死したものの身体」とは、その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたものの身体をいう。

臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案 (第164回 衆第14号)
(臓器の摘出)
第6条 医師は、次の各号のいずれかに該当する場合には、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。
一 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないと気又は遺族がいないとき。
二 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合及び当該意思がないことを表示している場合以外の場合であって、遺族が当該臓器の摘出について書面により承諾しているとき。

2 前項に規定する「脳死したものの身体」とは、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたの身体をいう。

青字は改正部分 (改正案は衆議院通過時)
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どの時点からを人の死とするかは、臓器移植のようなケースでない限り余り問題にならないでしょうし、そもそも人は、個々の器官や細胞がある時点で一斉に死んでしまうのではなく、だんだんとその機能を停止していくのだと思います。
また、脳死という状態も、人工呼吸器のような医療機器とそれを利用する技術が進んで、脳が不可逆的に機能を停止した後も、心臓や肺を動かしておくことができるようになってきたのでしょう。

以前、脳死とはいったいどういった状態なんだろう? と思って、脳死関係の本をまとめて呼んでいた時期がありました。
立花 隆の「脳死」もその中の一冊です。
発行日が昭和61年10月25日になっているから、もう20年以上前の話なんですね。

「脳死」では、脳死とはどういう状態なのか、脳死と臓器移植の関係、脳死の判定基準と問題点などが、詳しく書かれています。

この本を読んで、脳死を人の死とすることは納得できました。ただ、脳死であることを判定するのは難しい点もあると思いました。
その時から20年以上も経っているから、判定技術も進歩しているのかな。

20年以上も前に書かれた内容だから、それ以降状況は変わっていると思います。ただ、脳死とはどういったものなのかを知るのには、読んでおいて損のない一冊だと思います。

他人の臓器を移植する医療は、いろいろな意味で過渡的な技術だと思います。ただ、その方法でしか助からない命があることも事実だよね。
本当はiPSなどの技術を利用した再生医療が本命なんだろうけど、再生医療が一般的に利用されるまでには、相当の時間がかかりそうだし。

脳死/立花 隆

本脳死
立花 隆/中央公論社/1986

・ 書籍の紹介一覧 B0093

・ MediaMarker

立花 隆
中央公論社 ( 1986-10 )
ISBN: 9784120015281
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

※ 「おすすめ度」は、Amazon.co.jpのカスタマーレビューにおけるおすすめ度です。


引用文社説ウオッチング:臓器移植法改正 毎日・朝日「参院で審議尽くせ」
◇読売・日経・産経、A案可決を積極評価
臓器移植法改正4法案をめぐる採決が18日、衆院本会議で行われ、最初に採決された「A案」が可決された。現行法で禁止している15歳未満の子どもの臓器提供に道を開き、大人の場合も含めて家族の承諾があれば提供を可能にする内容で、脳死を人の死とした。
A案可決により、死の定義は変えずに、臓器提供可能な年齢を下げるB、D案や現行法の脳死判定条件を厳格化するC案は採決されなかった。
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19日社説は「死生観を問われる難しい問題だが、これ以上、結論を先送りすることはできない」とする読売と日経、産経が積極評価派、「各案が十分に検討されたとはいえず、議員や国民の間に理解が行き渡っているとは思えない」とした毎日と朝日が慎重審議派と、一応は分類できる。しかし、各社とも本文は一本調子ではなく、衆院議員同様、死生観や幼い子の命の重さに悩んだ跡が見える。
積極評価派は(1)脳死を「人の死」とするのは世界保健機関(WHO)の指針や主要各国の臓器移植法とほぼ同じ(2)現行法が規定する臓器提供の条件が世界の中で突出して厳しいため法律施行約12年で脳死移植は81例にとどまり、毎年数千例の米国、数百例の欧州主要国と比べあまりにも少ない(3)多くの子どもが海外で移植を受けてきたが、外国頼みに国際的な批判も強く、WHOも渡航移植自粛を求める新指針を決めようとしている(4)3年後としていた現行法の見直し時期が過ぎて10年近く、これ以上の放置は許されない--などを理由にA案を評価した。
慎重審議派は(1)本人同意を条件から外しても提供が確実に増えるとは限らない(2)子どもは脳死判定が難しい(3)親の虐待による脳死を見逃さないようにする課題が残る(4)親族に優先的に臓器提供できる規定は公平性の点で問題がある(5)医学の進歩で生まれた新しい死である脳死を法律で人の死と定めることの影響は多方面に及び、まだ国民的合意ができていない--などをあげ、参院でより良い法案に修正することを期待している。
◇多くの地方紙は懐疑的
地方紙にはA案に懐疑的な社説が目立った。インターネットの各紙ホームページで見ると、<参院でこそ徹底論議を>(北海道新聞)、<国民合意へもっと議論を>(東奥日報)、<禍根残さぬ議論不可欠>(秋田魁)、<参院でさらに議論深めよ>(北日本新聞)、<参院はしっかり審議を>(岐阜新聞)、<議論は十分尽くされたか>(山陽新聞)、<まだ議論の余地がある>(中国新聞)、<国民の合意得る努力を>(南日本新聞)、<国民的なコンセンサスを>(琉球新報)などの見出しが並ぶ。
<ともかく一歩踏み出した>(西日本新聞)、<15歳未満に光は見えたが>(神戸新聞)との積極評価派もあるが、逆に<成立を急いでは禍根残す>の新潟日報は、わずか9時間という拙速の委員会審議は現行法を根幹から変えるのに不十分とし「国民合意のないまま、国会の多数決で死の定義を決めることには疑問がある」、「疑問を残したまま法が成立すれば大きな禍根を残す。参院ではゼロから徹底審議すべきだ」と結んでいた。<あまりに乱暴な改正だ>の信濃毎日新聞は「『脳死は人の死か』という命にかかわる重い問いを、あまりに乱暴に決めてしまった。とても納得できない」、「参院は法案の問題点を細部まで詰めて、修正を図るべきだ」と主張した。
地方紙の分布を見る限り、保守性の強い旧来の地域コミュニティーが残る地域の新聞ほどA案への違和感が強いようにも見える。
「海外依存からの脱却」などを前面に、積極推進派の日経など都会派新聞や都市部にターゲットを絞った新聞が「クリアできる」と判断した「国民合意」の一点について、地方紙が疑問を呈していると言えるかもしれない。
18年前に出た岩波新書「医療の倫理」の中で京都大学医学部教授・倫理委員会初代委員長を歴任した星野一正氏は「人の死として社会が容認する死の定義は、国や社会によって異なってしかるべき」としたうえで、医学・医療技術の進歩で日本の社会的死生観、生命観が将来、急速に大きく変化する可能性を指摘。「それゆえ、死の現象などについての法制化は好ましくないと考える」と書いた。
◇死生観、変化せず?
その後、臓器移植法が成立したものの、日本人の死生観はそれほど変化しなかったことを今回の法案採択への反応が示したのかもしれない。グローバル化した世界の中で生命倫理問題をどう考え、対処するか--。参院が大きな責任を負っていることは間違いない。
2009/06/21/毎日新聞

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