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2009.01.17

厚労省がタミフル耐性インフルエンザウイルスの調査をするそうです

1月13日の読売新聞にタミフル耐性インフルエンザウイルスに関係する記事が掲載されていました。
まとまった興味深い記事だったので、全文を引用しました。
ただ、残念なのは、記事の元となった詳細なソースが示されていないので、その記事を足がかりに内容の詳細を調べられないことです。これは、この記事や読売新聞に限ったことではなく、マスメディア全般感じる不満です。情報の受け手が、その情報の真偽を判断したり、内容を深める機会を奪っていると思うのだけど。

まあ、それはさておき、厚生労働省がタミフル耐性のインフルエンザウイルスの全国的な実態調査を実施するそうです。このブログでは、タミフル耐性インフルエンザウイルスのニュースなどを折に触れて紹介してきたけれど、厚労省が全国的な実態調査を行うということは、耐性ウイルスの存在が点から面への広がりをみせ始めているのでしょうね。

タミフル耐性インフルエンザウイルスに関連するエントリー
インフルエンザ特効薬に耐性ウイルス出現? (2005.10.18)
二例目のタミフル耐性鳥インフルエンザウイルス (2007.01.23)
タミフル耐性ウイルスと市中型MRSA (2007.04.05)
タミフル耐性インフルエンザウイルス発現の新たな可能性 (2007.06.07)
欧州では、タミフル耐性のインフルエンザウイルスが高率で確認されているそうだ (2008.02.05)
タミフル耐性のインフルエンザウイルスの集団感染が国内で確認された (2008.02.29)
鳥取ではインフルエンザウイルスA/H1N1の30%がタミフル耐性 (2008.10.21)
米国のタミフル耐性インフルエンザウイルス (2008.12.22)

1月16日の日本経済新聞は、この冬のAソ連型インフルエンザ(H1N1)について、全国11都道府県の患者の検体のうち97%が耐性という、厚労省の調査結果を報じています。

僕は今シーズンまだインフルエンザに罹っていませんが、リレンザを処方されたという話を感染した人のうち2人から聞きました。これがタミフル耐性を考慮しての処方なのか、単純にタミフルとリレンザの選択の中での処方なのかはわかりませんが。

タミフルと同じノイラミニダーゼ阻害薬のリレンザがタミフル耐性ウイルスに効果があるということは、作用点がこの2剤で若干違っているのでしょうか。

ただ、リレンザだって使い方によっては、耐性ウイルスが出現する可能性があるわけで、悩ましいところですね。

以前、紹介した橋本 一さんの「薬はなぜ効かなくなるか」や三瀬勝利さんの「薬が効かない!」には、細菌の巧みな抗生物質に対する耐性の取得の仕組みが説明されていました。
細菌より構造が単純で、おまけにRNAウイルスであるインフルエンザウイルスは、変異が起こりやすく、耐性の獲得のスピードが速いのだろうな。

読売新聞の記事でもうひとつ興味を引いたのは、東南アジアを中心に鳥インフルエンザA/H5N1亜型に感染した人で、早期にタミフルを服用しなかった人はすべて死亡しているということです。

以前から不思議に思っていたことのひとつは、このH5N1の致死率が、国によって大きな差があることです。インドネシアとベトナムは、100人以上の人が鳥インフルエンザH5N1に感染していますが、致死率はインドネシアは8割、ベトナムは5割と、大きな開きがあります。

鳥インフルエンザ(A/H5N1)の国別患者数と死亡者数(2009.01.14現在)/WHO

タミフルを初期に服用し亡くなられた人の割合がどの程度か、記事からはわからないのでなんとも言えないけれど、国による致死率の差にタミフルの早期服用の有無が関係しているのだろうか。

病原性の強い新型インフルエンザがパンデミックした時、そのウイルスがタミフルやリレンザに耐性を持っていたら恐ろしい話です。
対抗手段として、プレパンデミックワクチンやパンデミックワクチンに期待するのか、これから実用化されるかもしれない新たな抗ウイルス薬に期待するのか…

最後の切り札は、感染しないための篭城作戦しかないのかなあ (>_<)

関連エントリー:タミフル耐性インフルエンザウイルスに関する厚生労働省の中間報告 (2009.01.21)

引用文欧米で猛威「耐性インフル」、治療策探り全国調査へ…厚労省
インフルエンザ治療薬「タミフル」が効かない耐性ウイルスについて、厚生労働省は今冬、緊急の研究班を設置し、耐性ウイルスに感染した患者の全国的な実態調査に乗り出すことを決めた。
欧米などで耐性ウイルスの急増が次々と報告されているが、世界最大のタミフル使用国である日本国内で耐性ウイルスが広まると医療現場が混乱する可能性があるためだ。
国立感染症研究所によると、国内の耐性ウイルスの出現率は昨冬で2.8%と低いが、米国では昨冬が11%、昨年秋に実施した50試料を対象にした予備調査では98%に跳ね上がった。このため、米疾病対策センター(CDC)は先月、今冬の主流は耐性ウイルスであると判断し、薬を投与する際には、別のインフルエンザ治療薬であるリレンザなどを併用することを勧めた緊急の治療指針を発表した。
欧州全体でも昨冬、調べたウイルスの20%が耐性を獲得し、ノルウェーでは67%に達している。タミフルの使用頻度が低い国でも耐性を獲得していることから、耐性ウイルスは自然発生して流行しているとみられている。
新型インフルエンザへの変異が心配される高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染した東南アジアなどの外国の患者で、タミフルを早期に服用しなかった人はすべて死亡している。このため国などは、新型インフルエンザ対策として、流通分も含め2800万人分のタミフルを備蓄している。
しかし、耐性ウイルスが国内でも広まった場合、そこに人が免疫を持っていない新型インフルエンザが来襲すると、同時に感染するうちに新型インフルエンザが耐性を獲得、備蓄されているタミフルが効かないまま感染が拡大しかねない。
調査は、国立国際医療センターなどが中心となり、「Aソ連型インフルエンザウイルス」の3割以上に耐性が見つかった鳥取県を含め、北海道から九州まで全国6~7か所で、流行状況を調べる。タミフル使用との因果関係や、家族内や学校内での集団感染などの患者情報も収集する。タミフル以外の薬の使用状況も調べ、研究班では新たな治療指針を作成する方針だ。
国立感染症研究所によると、今冬も、宮城県や滋賀県の小学校児童から耐性ウイルスが見つかっている。厚労省は「耐性ウイルスがさらに広まったときに備え、治療薬の適切な使い方を検討したい」としている。
2009/01/13/読売新聞

引用文タミフル耐性インフルエンザ増加 11都道府県、Aソ連型の97%
厚生労働省は16日、今冬に流行しているAソ連型のインフルエンザウイルスで、インフルエンザ治療薬「タミフル」が効かない耐性を持つタイプが高い割合で見つかったと発表した。全国11都道府県で患者から見つかった検体のうち97%が耐性だった。インフルエンザの治療薬はほかにもあるが、同省は全国の医療機関に注意を呼びかける考えだ。
人間がかかるインフルエンザウイルスは主に「A香港型」「Aソ連型」「B型」の3種類あり、Aソ連型は今冬に検出されたインフルエンザ全体の36%を占める。
耐性ウイルスが検出されたのは、8日までに国立感染症研究所にウイルスの検体を提出した北海道、東京都、大阪府、宮城、千葉、静岡、三重、滋賀、兵庫、広島、山口各県の11都道府県。インフルエンザに感染した患者から集めた35件のウイルスを調べたところ、34件が耐性だった。残る府県も今後、調査する。同省は研究班を設置し、耐性ウイルス患者の症状などの調査に乗り出す方針だ。
2009/01/16/日本経済新聞

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