BSE発症に遺伝子が関与
BSE(牛海綿状脳症)が、遺伝子の変異によって発症するとの米国農務省の研究結果を朝日新聞が報じていました。
BSEの原因物質は、異常型のプリオンたんぱく質とされています。BSEに感染した牛を原料にした肉骨粉を餌として食べた牛が、異常型プリオンたんぱくを体内に取り込み、脳などで異常型が正常型プリオンを変異させ発症するというのが、現時点での定説となっていると思います。
ですから、BSE感染防止対策として、肉骨粉を含んだ飼料の流通が厳しく規制されているのだと。
今回の米国農務省のチームの発表は、恐らくこの定説を否定するもではないにしても、新たな可能性を示唆するものですね。
遺伝子の異常により、原因物質の異常型プリオンたんぱく生成されるというのは、わかりやすい説です。
ただ、遺伝子異常が見つかる確率は1/2000以下で極めて低いとのこと。
今後、この研究結果がどのように評価されるのか興味があります。
参考エントリー:プリオン説はほんとうか?/福岡伸一(2006.02.11)
遺伝性のBSE牛、米で確認 食べ物経ず自然発症
牛海綿状脳症(BSE)で、原因物質の「異常プリオンたんぱく」に感染したのではなく、遺伝子の変異で自然に発病したとみられる牛を、米農務省のチームが見つけた。遺伝性のBSEが確認されたのは初めてだ。12日付の米科学誌プロス・パソジェンズに発表した。
約10歳の雌で、アラバマ州で見つかった。遺伝子を調べたら、プリオンたんぱくの構造を決める遺伝子に変異があった。この変異は、BSEに似た病気で人間がかかるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)のうち、遺伝性の症例で見つかる変異と同じだった。
BSEは1980年代に英国で大発生した。BSEに似た病気(スクレイピー)にかかった羊の肉骨粉を含んだ飼料を牛が食べ、羊の異常プリオンたんぱくに感染したのが原因と考えられた。このため、現在は世界各国で飼料に肉骨粉が混入しないような対策が取られている。
チームは、今回の牛の遺伝子の変異が見つかる確率は2千分の1以下で、極めて低いと見積もっている。だが遺伝性のBSEが見つかったことで、BSEの発生は飼料対策だけでは防げないことになる。
2008/09/13/朝日新聞
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